NEWS

ニュース

新監督就任記者会見レポート
大宮アルディージャは、本日6月5日(火)NACK5スタジアム大宮にて、ズデンコ ベルデニック新監督の就任記者会見を行いましたので、その模様をお伝えいたします。





■鈴木茂代表取締役社長からのご挨拶

  すでに昨日4日に発表いたしましたが、大宮アルディージャは鈴木淳前監督の後任として、ベルデニック監督を招へいいたしました。ベルデニック監督はJリーグでの経験も実績もあり、かつ、人間的にも非常に魅力的で紳士的な人物で、サッカーの指導以外に選手に対する教育もしっかりやっていただけると期待しています。大宮アルディージャに新たな風を吹き込み、チームを強くしていただけるのではないか、と今回契約させていただきました。ビザ取得の関係で指導は来週の11日からを予定していますが、16日のJ1第14節 柏レイソル戦からは指揮を執っていただける、と考えております。

  それから、井上ヘッドコーチとも、今回トップチームのヘッドコーチとして契約させていただきました。ベルデニック監督が市原(現千葉)にいた当時に一緒だったという経歴、また、井上ヘッドコーチがドイツのケルン大学で勉強している時から交流があったという経験も踏まえ、今回契約させていただきました。
  16日からのJ1リーグ戦残り21節、良い結果を出してくれると確信しています。よろしくお願いいたします。

Q:ベルデニック監督契約までの経緯は?
  鈴木社長:鈴木淳前監督の交代を発表した29日の後から、ベルデニック監督一本に絞って積極的に話をさせていただいていました。今月2日に私がベルデニック監督と会い、「ぜひお願いしたい」と話をして決まりました。

Q:ベルデニック監督のどんな点を評価したのか?
  鈴木社長:経験ということと、テクニックや戦術だけでなく選手としての振る舞いなどを大事にする監督という印象がありました。非常に勉強熱心で、向上心の強い監督です。以前から大宮にはそういうところが若干足りないと感じていたので、ちょうどいい監督だと思いました。初めて日本に来られるわけではないので、日本の文化や生活面にも慣れています。コミュニケーションについても、通訳もできる井上ヘッドコーチがいますし、日本語も少し話はできるので心配する必要はないと判断しました。

Q:ベルデニック監督就任について選手にはいつ伝えたのか?
  鈴木社長:昨日4日の練習前のミーティングで、岡本GMおよび古矢強化部長から正式に伝えました。

Q:ベルデニック監督の契約期間はいつまでか?
  鈴木社長:今シーズン残りの試合を見ていただく、という契約にしてあります。





■ベルデニック監督からのコメント

  再び日本に戻ってくることができ、大宮アルディージャという有名なクラブで監督という仕事に就けることを非常にうれしく思います。クラブは大きな目標を掲げており、それはJ1に残留するということではなく、今よりも前進していくという大きな目標です。我々に課された責任は非常に重いと感じています。
  そのために我々は、ゲームの結果を良くしていくことと同時に、プレーの内容についての改革も求められていると思います。我々はクラブに安定性を持ち込まなければなりません。まずは結果に対する安定性を持ち込むことで、毎年のようにJ2に降格する恐れから逃れることを第一にやっていきたいと思います。往々にして、試合結果はいかにプレーしているか、いかに組織立ったゲームをしているか、ということとは関係ない場合もありますが、我々は毎試合勝利を求めて戦うことと同時に、試合内容、いかに戦うかというところにも力を注いでいきたいと思います。

  これまでのところ、失点が多く、得点が少ない。まずこの点を改善していかなければなりません。攻撃の組織を改善しなければならないと同時に、守備面での改善も求められているわけです。チーム戦術をしっかりと取り入れていかなければならないのですが、それは試合を通して、あるいは試合形式の練習を通して、という形になると思います。どのようにすればいいか、どのようなことができるか、というたくさんのアイデアをトレーニングの中で選手たちに示すことで、いい連係でのプレーができるように改善していきたいと思います。個々の選手がいかにいいアイデアを持っていたとしても、そのアイデア同士がうまくつながっていかなければ、連係が取れていなければ、良い結果には結び付けることができません。そこで求められるのがトレーニングです。あるいは、我々と選手間での意思の疎通だと思います。

  いかに連係するか、というアイデアを提供していくことは、攻撃においても守備においても、その両面にわたって必要になってきます。いかにコレクティブにプレーをしていくか、というアイデアを提供し、それと並行して、いかにダイナミックなプレーを、ダイナミックな動きを出していけるかということも求められてきます。個々が犯すミスを改善していくことももちろん大事ですが、まずはいかにチームとして戦術を理解し、チームとしてプレーできるか、というところを大前提に考えていきたいと思います。選手たちにもそれをしっかりと理解させて、そのための準備を求めていきます。100%の準備、100%のモチベーションがない限り、戦術の話をしたところで全く意味のないものになってしまいます。そういう意味から、大宮に携わるすべての人たち全員で、この前進への第一歩を踏み出していきたいと思います。

Q:これまでの大宮の試合を見た感想は?
  ベルデニック監督:ポジティブな面で、今の時点でできていることをさらにいい方向に持っていけるだろうという印象があります。ネガティブな部分、特に守備面での問題は、結果を求めていく以上はできるだけ早く改善していかなければいけない、という印象を持っています。

Q:どんな戦術を試みたいと考えているか?
  ベルデニック監督:まず、自分がやりたいと考えているサッカーと、現実的に今の大宮の状況で結果を得るためにやらなければならないサッカーの2つがあると思います。
  これまでの私の戦い方はカウンターが多かった。けれど、自分の求めるもの、目指すものも変化してきて、より攻撃的に、またはより攻撃の時間を長く、自分たちがボールを持っている時間を長く、という方向性になってきています。相手よりもたくさん得点を挙げていく戦い方を好んでいます。守備を固めてカウンター攻撃というチームは、やはり降格に近いところで戦っている状況が多いと思います。逆に、ボールをしっかりとつなぐ、ボールをポゼッションする、相手に対してプレッシャーを掛けていく、そういう戦い方ができているチームが、やはり順位でも上にいると思っています。
  これまで私が見た中では、大宮は少し守備的な布陣を敷いて、そこからのカウンターという形の攻撃が多いように感じていますが、時間帯によってはボールを保持している時間が長い場面もありますし、相手に対して積極的にプレッシャーを掛けることができているゲームもあります。大宮の戦い方も、より前に向かっていく、より長く攻撃している時間を持つ、ということを目指していきます。相手のカウンター攻撃を受けるというリスクも背負うことになりますが、それについては、システマティックなトレーニングを積んでいかなければならないと考えています。
  守備面においては、よりコンパクトさを保って相手にプレッシャーを掛けていくことが必要です。また、最終ラインの選手は1対1の状況で負けない形をとっていかなければなりません。

Q:志向するサッカーが、カウンターサッカーから攻撃的なサッカーに変化していった大きなきっかけが何かあったのか?
  ベルデニック監督:皆さんが仕事をしている中でいろんな発展や変化を遂げていくのと同じで、私もこの世界の流れ、サッカーの流れを見ながら自分の考え方、自分のスタイルを発展、発達させてきた、ということだと思います。





Q:以前日本で指揮を執っていた際のシステムは3-5-2が多かったが、大宮でのシステムは選手を実際に見てから決めるのか?
  ベルデニック監督:過去の日本での仕事では3-5-2というシステムをたくさんとってきました。ただ、世界の流れを見ても、また自分がスロベニアでやってきた中でも、最近は4-4-2、あるいは4-2-3-1というスタイルが非常に多いです。そういう意味でも、4-4-2というシステムの中で、実際に大宮の選手を見た中で、そのバリエーションを考えていきたいと思っています。
  世界の多くは4バックでやっているチームが多いにもかかわらず、ここ日本では逆に3バックのチームがいい結果を残しているということは、私にとって少し驚きでもあります。   ですが、システムが一番重要なものではないということは、もちろん皆さんもお分かりだと思います。いかにアイデアが連係していくか、戦術や技術がいかにつながっていくか、ということがより重要です。
  そこで重要になってくることが2つあります。1つは創造性、クリエイティビティを持った選手が、ゲームの中でそれを発揮できるかどうか。もう1つは、監督がトレーニングを通して自身のアイデアをいかに選手に提供していくことができるか。これは一夜にして改善されるものではありませんので、トレーニングを通して、時間を掛けて変化させていきたいと考えています。

Q:指導初日から2部練習だが、戦術的なものを早く落とし込む目的か、それともフィジカル面で多く練習をやりたいということか?
  ベルデニック監督:何回トレーニングするか、その回数が問われているのではなく、いかに中身の濃いトレーニングができるか、ということです。その中で我々は、練習量や練習の強度を処方していかなければなりません。最悪なケースは、ゲーム当日に一番疲れ切っている状況で、それは起こってはならないことです。そのコントロールはしっかりとやっていきたいと思います。
  また、現時点ですでに選手たちにとって、監督交代という大きなショッキングなことが1つ起こっているので、それに対してさらにまた大きな特別な変化を加えていくのは、あまり得策ではないと考えています。

Q:選手たちにサッカー以外で伝えていきたいことは
  ベルデニック監督:もちろんサッカーは我々にとって非常に重要ですが、それだけではなく、より人間的な部分…真摯に物事に取り組むであるとか、責任だとか、いかに振る舞うかとか、あるいはいかに文化を吸収するかとか、そういうことも伝えていきたいと思っています。サッカーももちろん文化の1つと考えますし、そういう文化的な思考を兼ね備えたものだけが、このゲームの中におけるストレスに打ち勝って、いい結果を出していけると考えています。
  それと、サッカー選手である期間というのは非常に短く、プレーヤーとしてのキャリアの後の時間のほうが長いわけですから、選手である間にいかにポジティブな経験をするか、それがいかにその後の人生の助けになるか、ということを彼らに感じ取ってほしいと思います。

Q:チームの目標である勝点50達成への自信は?
  ベルデニック監督:勝点50を達成できることを望んでいます。現時点で、100%その目標にたどり着けるか?ということに対する回答は出せません。ただし、目標の勝点50を上回る成績を出したいと望んでいますから、我々はすべての試合に100%で取り組み、その目標に向かって戦いたいと思います。非常に難しい目標だとは思いますが、辛いことばかりを考えていても難しいですし、理想を掲げて仕事をすることは大切です。

Q:サポーターからは最近の大宮の試合から覇気、熱気が感じられない、という意見があるが?
  ベルデニック監督:2つ挙げられると思います。1つは、サッカーに関するトレーニングを通して、いかに現状を変えていくか、というアイデアを選手たちに与えていくこと。それによって彼らは、プロフェッショナルな選手としてポジティブに取り組み、あるいはそれを受け入れて発展させていく。そういうことが彼らに求められていることだと思います。
  2つ目は、サッカーだけでなく人間的にどういう態度を示すか、ということ。それにはチームの中、クラブの中における人間関係が非常に重要になってくると思います。そのためには我々はどの選手も同等に扱わなくてはなりませんし、彼らも同等の扱いを受けているという感覚を持たなければなりません。さらに幸運というものが加わらなければ、今の状況を改善していくことにはつながらないかもしれませんが、それに関してはサポーターの皆さんの後押しを得ながら、負の現状からの脱出を図りたいと思います。

Q:11日の指導開始までは何をしたいか?
  ベルデニック監督:より多くの試合のDVDを見て、このチームの状況、現状を自分の中に取り入れること。もう1つは、チームスタッフにいろんな提案をしていくこと。この2つが、今の自分ができることのすべてだと思います。

Q:契約は今シーズン限りという説明があったが、勝点50という目標に対し、現有戦力を見て、残り期間で自分のサッカーを植えつけられる、という自信があるのか?
  ベルデニック監督:先ほども言いましたが、ここで今言っていることを実際の現場で実現させるのは簡単なことではありません。ただ、チーム戦術を徹底する、またはダイナミックな動きやプレーということを通して良い結果に結びつける、ということは現状の中でできることだと思います。ただし、選手たちが自分の能力を、得意とするプレーをどれだけ発揮できるか、我々が前進していくためにはそれが非常に大事なポイントになってくると思います。その点をしっかりととらえた上で、我々の全精力を注いでいきたいと思います。それによって選手が発展し成長できたが、例えば勝点50には届かず49であったとしたら、選手の成長という部分を判断した上で、私との契約を延長するしない、という話になってくるのではないかと考えています。
  どの部分にフォーカスしてトレーニングをしていくか、どの部分にフォーカスしてミーティングで話をするか、どの部分を引き上げようか、そうした判断はすべて自分の経験から来るものだと思います。実際に自分のやることがどれぐらいかかるかはわかりませんが、私の記憶では、かつてオシムさんが市原(現千葉)に来られた時に、彼のアイデアを実際に選手が理解しピッチ上で表現するまでに、6か月ぐらいかかったとも聞いています。





Q:それを踏まえた上で、現有戦力への印象は?
  ベルデニック監督:技術的には優れているし、スピードも兼ね備えている。ただ現時点では、精神面で少しダウンした状況にあって、消極的な姿勢が若干見えています。1対1という状況の中にも弱さが見えますし、また、1対1の状況に100%で臨めていないのではないかとも思います。これは前任者に対する批判ではありません。彼がこれまで築き上げてきたことに、さらに私のアイデアを加えて、今の選手たちのプレー状況に改善を加えていきたいと考えています。

Q:監督としてのキャリアから遠ざかっていることに対し不安を感じているサポーターもいるようだが?
  ベルデニック監督:仙台で監督を務めた後の1年間は静かな時間を過ごしましたが、その後は母国で指導者養成にあたり、同時に大学で教鞭をとり、スロベニア協会で各カテゴリーのコーチングスタッフに対するアドバイスをしていました。サッカーに関する専門的な、または教育的なビデオやDVDの作成にも携わっていました。昨年はスロベニアの2部リーグのチームを、経済的な事情から1部にはいけませんでしたが、昇格ラインの成績を収めました。そういう意味では、1年の休養を得た後はノンストップでサッカーに携わってきております。





■井上卓也ヘッドコーチ
  今回ベルデニック監督が来られると同時に、ヘッドコーチという職に就きました。いかに早く監督のアイデア、監督のコンセプトをチームに落とし込んでいけるか、ということが自分に課せられた課題だと思っています。監督をしっかりサポートし、また、選手や他のスタッフとのコミュニケーションを密に図りながら、チームを前進させていきたいと思います。





  • クラブ

FOLLOW US

パートナーバナー

アーカイブ