Vol.021 番記者座談会後編【オフィシャルライター聞きたい放題】

左からMCタツさん、渡邉大剛さん、須賀さん


クラブOBの渡邉大剛さん、MCタツさん、エルゴラッソの大宮担当・須賀記者を迎えたシーズン総括座談会。前半戦を振り返った前編では、監督交代に至った過程や原因について、様々な意見が飛び交った。後編では霜田正浩監督就任以降の戦いや、今シーズン印象に残った選手・試合について忖度なしで語り合っていただきました。
※3名のゲストの意見は、クラブの公式見解ではありません

失点の仕方と時間帯

須賀:第18節・栃木戦から霜田監督が指揮を執り、残留争いをするなかでも攻撃的なサッカーを貫きました。

大剛:攻撃的にいくのか、守備的にいくのか、そこに正解はないと思います。どちらもやらないといけないです。そのなかでも、「一体感」というのはすごく抽象的な言葉ではあるけど、霜田さんになってからの試合を見ていると、一体感がすごく生まれたと感じます。選手が固められた型から少し解放されつつ、でも、野放しではなく、しっかりと規律はあるなかでプレーできていたと思いました。

須賀:霜田さんは「一体感」「躍動感」「規律の中の自由」という言葉をよく言われていましたね。

大剛:最初は少し時間がかかったけれど、その後にグッとよくなりましたよね。ただ、最後に失速したときはどうしても失点が多くなってしまっていました。その失点も、安い失点だったことを考えると、攻撃から着手したぶん、守備にまでアプローチ仕切れなかったことが最後まで残留争いに巻き込まれてしまった原因かなと思います。

タツ:あとはセットプレーでの守備ですね。シーズンの最初からセットプレーでの失点が多く、第2節の甲府戦も2つともセットプレーでの失点です。特にCKでやられることが多かったですね。だから、セットプレーの守備に関しては来シーズン思い切った施策を入れてほしいと思っています。
 セットプレーの守備で一番大事なのはメンタルだと思います。「入れられちゃう」、「俺らはセットプレーが弱い」と思ってしまうメンタルが、失点が増えてしまう一番の原因だと思うので、何か「去年からは変わった」と精神的に感じられるような分かりやすい施策を入れてほしいですね。そうなると選手のメンタルは絶対に替わると思います。松本GKコーチが主導してやっていると思いますが、彼はとても優秀なコーチなので、やっていることはすごくしっかりしていると思います。だからこそ、変えないといけないのは精神面だと思います。

須賀:霜田監督になって、セットプレーの守備時に掛ける言葉を決めて、一時期、失点が減る時期はありましたけど、年間を通して失点が減るようにしていかないといけないですね。

タツ:あとは…生意気なことを承知の上でいうと、終盤の失点を減らすことが、“霜田サッカー”が一つ上のフェーズに行くための課題かなと思っています。終盤に1点リードしている、または、このまま引分けでもいいという場合の残り5分のシチュエーションを徹底的に練習したほうがいい。それは決して守るという発想ではないです。欧州チャンピオンズリーグのような世界のトップレベルの試合を観ていても、試合をクロージングできているチームはベタ引きでガチガチに守る時間は本当に少なくて、どうしても受けには回るけど、絶妙なラインコントロールと前からのプレッシングでハメていくことで後ろから蹴らせています。ラインは上げるけどペナルティーエリアのちょうど外ぐらいに設定するなど下げ過ぎず、とにかく中盤が最終ラインに吸収されません。そういう試合のクロージングの練習をしっかりとやるべきだと思っています。それをやっていただけで、今シーズンはかなり勝点を拾えていたと思います。

須賀:試合終盤を想定した練習は日頃からやるものなんですか?

大剛:やりますよ。よく覚えているのは讃岐のときにやっていました。大宮でもやったことはありましたね。通年ではないですけど、勝っているとき、負けているときなど、スコアや状況を考えながらやることはありました。終盤の失点が続いたときにはちょっとやろうよとなりますし、課題が出たところのアプローチをする感じですね。

須賀:そういう練習をやるとやらないではぜんぜん違うものですか?

大剛:ぜんぜん違いますね。だって、同じやられ方を繰り返したら、サポーターも「お前ら学習しているのか」となるでしょ(笑)。自分たちでもそう思うことはあります。試合の終わらせ方は大事ですね。それは守るだけでなくて、チャンスがあれば一人でカウンターで仕留められる選手を前線に置いておくとか。それだけで相手はイヤですし、そこで仕留めてしまえば終わり。そういうトレーニングをやり、意識を植え付けておくことは大事ですね。



勝点を積み上げたかったあの3連戦

須賀:終盤戦の戦いぶりを振り返ると、第36節・磐田戦、第37節・京都戦、第38節・山口戦の3連敗が残留争いを語る上で全てだったと思います。その前の5試合では順調に勝点を積み重ねられていましたが、この3連敗は負け方もよくなく、残留争い直接対決で唯一負けたのがこの山口戦でした。結果的にこの結果を最後まで引きずってしまったと思います。

タツ:またしてもすごく生意気な言い方をさせてもらうと、僕は山口時代から霜田さんのサッカーを見ているけれど、霜田さんには良くも悪くも引分けのマインドがない。全試合で勝ちにいってしまう。結果論ですが、磐田戦、京都戦は引分けで問題なかった。特に京都戦はアウェイで、あのスタジアムで勝ちにいかなくてよかったと思います。もっと言えば、“引分けの匂いをさせて、相手がやばいと思ったところで刺す”みたいな、駆け引きがこのチームは足りなかったかなと思います。一瞬でもそう思わせることが大事で、絶対に大宮は最後までノーガードで殴ってくるチームだと、どのチームも分かっていた。そうなると、相手からすれば対策は簡単。磐田戦、京都戦の結果を第39節・山形戦でも引きずってしまっていたと感じました。今シーズンの大宮は、正直、駆け引きのないお人好しなサッカーを展開してしまった感があります。

須賀:それは、残留争いという状況が邪魔をしたというわけではないですか?

タツ:霜田さんを前から見ていると、どの試合も勝ちにいってしまう傾向はあると思います。ベンチでの様子を見ていると、「蹴れ」と言っているときもあるけど、会見を聞いていても、トライすることを褒めている感じがある。それが霜田さんのスタイル、考えなのかもしれないけれど、もっとしたたかさを強調してもいいかなとは感じています。監督がそれを言えば、自発的に言い出す選手も出てきたりするもの。監督を無視して、選手から言うことは難しいですからね。

大剛:監督があまりそういうことを言ってくれないと、選手たちからは「どうするの?」みたいな感じが出てしまいます。そこで監督が「こうしよう」と言ってくれているものがあれば、「でも、ピッチのなかではこうです」となったときでも、すり合わせることは可能です。監督がいくら近くで見ていても、選手と意見が違うことはあることですから。

須賀:その意味ではラスト4試合はリスクの取り方を少し変えたと霜田さんは話していたし、非公開練習時は様々な状況を想定してのトレーニングも行っていたと聞いていました。

タツ:それでも山形戦を見ていると、残り10分はしたたかさが一番ほしい局面だったと思います。80分までは霜田さんのノーガードで打ち合う形でやっていいから、そこから先の10分、いや5分でもいいから最後はしたたかに戦ってほしいと思いました(笑)

須賀:時間帯で言えば、霜田さんは磐田戦後の週明けの囲み取材で「アディショナルタイムまでを考えれば、85分に守備的になって、引分けを狙いにいくのはまだ早いと考えていた」と話してくれました。霜田さんは、「勝ちにいった上で、引分けで終わることは何も問題ない」と言っていますが、少しでも勝ちにいく可能性を下げてしまうことが許せないんでしょうね。

タツ:そこが霜田さんのプライドですよね(笑)

大剛:気持ちは分かりますけどね……(笑)


気持ちを見せてほしかった京都戦

須賀:先ほどの3連戦では、アディショナルタイムや終了間際の失点が続きましたが、それは戦術ではない部分に問題があった感じでしょうか?

大剛:僕は磐田戦と京都戦のどちらの失点も見ましたけど、特に京都戦のあのやられ方には選手に厳しい意見を言いたくなりました。

須賀:あのシーンはCKが3本続いた3本目でやられていますよね?

大剛:そうですし、もっとさかのぼると、相手陣地で自分たちのスローインをロストしてゴール前まで運ばれたことが原因でCKになってしまった。あそこは後ろからユニフォームを引っ張ってでも止めてイエローカードをもらってもいいくらい、めちゃくちゃ大事な場面だったと思います。そういうこともなく、普通に失点してしまったので……。もっと気持ちを見せてほしかったです。

須賀:最後のCKの対応も、クロッサーに対して出て行くのか、行かないのか、中途半端でした。

大剛:そうそう。結局そこでフリーにして、やられてしまったわけじゃないですか。すごく大きな代償をここで払ったと思います。結果的に残留できたからよかったですけど、ホームで逆転負けした第40節の水戸戦も展開としてはよくなかったですからね……。

須賀:霜田さんになってからずっと連敗がなかったなか、一気に3連敗してしまいましたから、この3試合は残留争いのなかで大きな意味を持ちましたね。

大剛:その3試合の前までは何とか残留できるかなと思っていたけど、ここで一気に下に巻き込まれました。

タツ:まさに、分岐点でしたね。

須賀:よりによって3連戦でこの負け方で、さすがの霜田さんも「悪夢の1週間」と言っていました。

タツ:よりによって3連戦の最後の相手が山口というのも何とも言えなかったですよね。たださえ、山口は昨年までチームを率いていた霜田さんに、大宮の監督としての初勝利を献上しているわけで、勝ってやろうと強く思っていただろうから、山口が高いモチベーションで来ることは分かっていたと思う。実際、最後まで山口の集中力は切れなかったですし、山口からすればあの勝利で残留が決まったようなもんですからね。

須賀:何というか、山口はその後の試合で勝っていないですからね……。



輝きを放った黒川と河田

タツ:ポジティブな面を言えば、霜田さんが来るまで無得点だった黒川選手が9得点したことはすごいことで、評価されるべきだと思います。もっと褒めてあげていい(笑)。彼がシーズンの頭からフィットしていたら13〜14ゴールは決めていたと思います。それは霜田さんの手腕でもありますよね。

大剛:2ケタ取れる選手がいるのといないのでは全然違いますね。(黒川)淳史は、FWの位置でプレーすることもありますけど、中盤の選手ですからね。そこで2ケタ取れればすごいです。

タツ:あとは河田選手。夏に来ていきなりスーパーな活躍をしてくれました。

大剛:彼がいなかったら残留は難しかったと思います。

須賀:河田選手がゴールを決めた試合は4勝3分けと負けなしです。

タツ:何よりもボールが収まりますからね。そして守備もします。でも、力を抜くところは抜いている。メリハリがすごくはっきりしている選手で見ていて面白いですね。あとはパーソナリティの部分でもよいモノをもたらしてくれました。“ザ・関西人”の性格でレフェリーにもねちねち言う(笑)。ただ、それも必要なことで賢くないとできない。ある程度考えて、駆け引きでやっていると感じます。
 もう一つ、霜田さんになって良かったことはコーチ陣がすごく元気になったことだと思います。霜田さんが監督をやったのはまだ山口での3年とベトナムでの時間だけですけど、監督経験がある人がやると、コーチ陣の働きが違う。監督はいわゆる上司だから、自分でやるよりコーチにやってもらったほうが絶対にいい。結局チームも組織なのでコーチ陣が能動的にやって、組織で面倒を見ることが大事です。そこが霜田さんはさすがだなと思いました。

須賀:時間がなかったこともあり、霜田さんは選手よりもコーチへの落とし込みに時間をかけていたと話していました。自分を含めてスタッフ5人全員が、誰が何を言っても同じになるようにコーチに落とし込んだと言っていました。

タツ:それだとコーチもやる気になりますからね。

須賀:練習を見ていると、メニューや日ごとに仕切っているコーチが違うことが多かったので、確かにそこは変わった部分であったと思います。

タツ:岩瀬さんは自分でやってしまう雰囲気がキャンプを見ていてもあったので、岩瀬さんのときも監督経験のある人がいれば、アドバイスができたと思います。そこが残念でしたね。



心も体も強い選手が必要

須賀:霜田さんは、「いまの大宮には“うまい選手”はいるけど、“強い選手”はいない」とよく言っていました。

タツ:それを外国籍選手の補強で埋めるのは一つの手だと思いますけどね。例えば韓国人選手とか。少し前まで大宮には素晴らしい韓国人選手は多かったですからね。

大剛:ただ、それは大宮だけの話だけでなくて、いまの日本のサッカー界全体に言えると思いますね。うまい選手はたくさんいるけど、強い選手や戦える選手など、「他のことはできないけどこれだけはすごい」といったような選手は少なくなったとすごく感じます。

タツ:性格的にも“尖った”選手が減りましたよね。

大剛:これは指導者の育て方もあると思いますし、生まれ持ったものや教育の部分もあると思います。癖のある選手が排除されがちみたいな部分が良くなかったりするとも思います。

須賀:大剛さんは、癖の強い世界で生きて来られたと思います(笑)。

大剛:周りは個性ある奴しかいなくて、自分は個性が弱めでしたから(笑)。今シーズンの大宮の話を聞くと、ミスをしたときに怒る選手がほとんどいなかったのはダメで、そこでみんなで言い合わないとチームは強くならない。いまの大宮で言うと、アカデミーの選手が多くて、どうしてもそういう雰囲気になってしまったのかなと。アカデミー時代の延長線上みたいになってはいけないと思います。

須賀:そういう部分については三門選手も前半戦のころはけっこう強く言っていましたけど、終盤は変化が出てきたとも話していました。霜田さんも最初に戦う部分は植え付けたので、少しは変わったかなとも思います。

タツ:霜田さんがメスを入れているのはまさにそこ。この前の社長の会見でも1番差を感じたのはメンタリティだという話をしていました。そう考えると、補強も我の強い選手がほしいのかなと、そこの考えや思いは霜田さんとクラブで一致しているのかなと感じますね。

須賀:プロの世界でプレーしていたなかで、大剛さんは練習中や試合中に声を出すことは才能だと感じますか?

大剛:才能もあるかもしれないですし、声にもいろいろとあると思います。ムードメーカー的な雰囲気をよくする声を出せる選手と本当に厳しく言える選手。同じ声でもタイプが違います。また、そこは意識でも変わると思います。たとえば与えられた役職ですかね。キャプテンに任命されると、責任感が出てくるので、いままであまり喋らなかった選手が喋るようになるとか、そういうことはあると思います。

タツ:それは今年のレアンドロ・ダミアン(川崎F)を見ていると感じますね。副キャプテンになって、チームを鼓舞するシーンが今シーズンはめちゃくちゃ多かったですし、誰よりも走っていましたね。日本に来たときは大人しい選手かなと思いましたけど、だいぶ印象は変わりましたね。まさにポジションや役割で変わる部分は大きいと思います。


MVPとベストゲームは?

――今季のMVPとベストゲームを決めましょう。

タツ:僕は黒川選手ですかね。来シーズンは13〜14得点いけるでしょう、という期待を込めて。黒川選手がそれだけ取れると、他も一気に良くなる気がするから期待を込めて選びます。

須賀:小野選手ですかね。一番、感情を出してプレーしていた選手だと思いますし、「アカデミー出身選手が……」みたいに今シーズンは言われた部分も多かったと思いますけど、そのなかでも変わろうとしている感じはすごく伝わってきました。悩んでいる時期もありましたけど、最後は“ポジション雅史”を獲得したので。今シーズンは悔し泣きを何度もしていたので、来シーズンはうれし泣きをしてほしいと思います。

大剛:僕も(黒川)淳史ですね。全試合に出て、出場時間もトップクラス。9得点とフル稼働で苦しいときに彼がすごく引っ張っていたと思っています。今年は海外移籍がかなわなくて、戻ってきて、たぶん、いろいろな気持ちがあったと思いますし、難しさもあったと思います。開幕前に連絡をさせてもらいましたけど、そういうことを乗り越えて今シーズン1年頑張ったので、来年のさらなる活躍を期待しています。

須賀:ベストゲームは、気持ちの良さで言えばホームの(第27節)松本戦ですよね。

タツ:僕のベストゲームを決める基準として、相手の調子がよくなくて大差で勝つ試合は挙げたくないです(笑)。第27節・松本戦や第5節・長崎戦は4-0で勝っているけど相手がよくなかった。それでは勝って当たり前。そう考えると、今年の大宮は相手がよい状態で勝った試合はほぼないんですよね。開幕戦の水戸も正直そこまでよくなかったと思いますから。
 唯一、挙げるとすればアウェイの(第32節)栃木戦。内容としてはずっと押し込まれているけど、僕は霜田さんの可能性をすごく感じられた試合だと思っています。3-1で勝ちましたけど、カウンターで西村選手が飛び出していったことも含めて、「このしたたかさだよ」と思い、最後は河本さん。セットプレーも完璧でした。そういう試合で勝点3を拾えることが一番重要なことだと思うから、そういう意味でのベストゲーム。もっと言えば、霜田さんのベストゲームみたいな(笑)。

須賀:その意味では最終節の群馬戦もいい試合でしたね。霜田さんになって、初の逆転勝利ですから。

大剛:僕も同じ栃木戦ですかね。勝ち方を含めて。栃木は決して美しいサッカーはしていないですけど、やる側からすると、ああいうチームは嫌だったりするんですよ。そういうチームに、終わってみたらすごい消化不良だけど負けたな、みたいなことはけっこうある。そこでしっかり勝てた。3点取って勝てたことは本当によかったと思います。

タツ:来シーズンは、ああいう試合をどれだけ増やせるか。相手がよくないときに、そこで取りこぼさないことは霜田さんの強みですよ。



目標は昇格と明言すべき?

須賀:最後に聞きたいのですが、大宮は来シーズンも昇格を目指すべきですかね? しっかりとしたビジョンなり道筋なりを示すことが先だと思っています。

大剛:僕もそう思います。

タツ:そこで一番難しいのは営業面だと思います。これはすごくリアルな部分ですけど、営業の方が、あまりサッカー界の事情を分かっていない法人企業に行くときに、「昇格目指します」、「昇格争いに絡んで」と言わないと、スポンサー営業がしづらいですからね。

須賀:もちろん、営業はとても大事だと思いますけど、そこでいままでと変わらずに昇格を掲げるのは違うような気もします。

タツ:どのクラブも、ファン・サポーターも、「また昇格って言っているよ」となるかもしれないけど、現実はそうなんですよ(笑)。営業の方たちは「来年こそ、上がるのでもう一年お付き合いしてください」と営業するんです。

須賀:それは難しいですね……。選手の立場としては、「今季はチームを作る年にする」と言われたら、モチベーションは下がってしまうものですか?

大剛:上を目指す気がないんだと思ってしまう部分もあると思います。

須賀:そう考えると、選手への伝え方も難しいですね。

タツ:選手には「あまり順位のことを気にするな」と言ったほうがいいと思います。「自分を超えるトライをしてくれ」と言い続けることが指導者にとって大切なことだと。

須賀:それだと、ファン・サポーターが一番ヤキモキしませんか?

タツ:ここで僕がクラブにお願いしたのはもっとサポーターと“共犯関係”を作ってほしいということです。「いま、ウチのクラブはここが足りません」と明確にサポーターに伝えて、だから「一緒に助けてください」と言う。そうなったら共犯になる。例えば札幌というクラブはそういうやり方で、飛躍的に伸びました。Jリーグのクラブくらいの発信力があれば、助けてくれる人はいるはずなんですよ。でも、そこで自分たちの弱みを隠してしまうと、助けてくれる人も助けてくれない。僕はしっかり課題を表に出してほしい。大宮を助けたいと思う人はたくさんいると思います。それをすごく伝えたいです。

須賀:いろいろと厳しい意見も含めて話してきましたが、こうやってシーズン終了後に座談会ができているのも、残留できてこそのことですね。残留が決まって本当に良かったです。すでに来シーズンが待ち遠しいですし、開幕前にまたこういう機会を作れたらよいですね!

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