今野浩喜の「タダのファン目線記」大宮銀座通り商店街会長さん



突撃インタビューシリーズ 今野浩喜 vs 大宮銀座通り商店街の会長さん


今野さんがタダのファン目線でクラブ関係者に逆取材を敢行! 今回のお相手は、大宮銀座通り商店街の会長を務める栗原さん。知られざる商店街の会長の実態について、今野さんが切り込みました。


大宮のフェライニ

今野「どうも、栗原さん。今野で〜す」

栗原「よろしくお願いします」

今野「髪の毛は天然ですか?」

栗原「ほぼ天然ですね」

今野「いいですねぇ。覚えやすくて」

栗原「すっかりキャラがついちゃいました。今日もクラブのハイエースが通って、えらい遠くから手を振られました。この頭で判断してるんでしょうね」

今野「あぁ〜(笑)」

大宮広報「クラブスタッフの間では『フェライニさん』って呼ばれてます」

今野「身長も高いんですか?」

栗原「180cmです」

今野「じゃあ、フェライニですね。サッカーの経験はあるんですか?」

栗原「僕はずっとバレーボール専門でして」

今野「大宮アルディージャ……興味ないんじゃないですか?」

栗原「いやいや。そもそも最初はサッカークラブということではなく、大宮にあるチームというところから接点ができた感じなので」

今野「うんうん。今、おいくつですか?」

栗原「46歳です」

今野「若く見えますね。俺よりも4、5個上なのに、なんでだろう?」

栗原「やっぱり、みんなここ(髪の毛)に目が引っ張られるんじゃないですかね」

今野「確かに、常人ではない感じがありますもんね」

栗原「あははは……」

今野「えっと、栗原さんのところは、大宮何商店街でしたっけ?」

栗原「大宮銀座通り商店街です」

今野「どのあたりですか?」

栗原「大宮駅の東口を出て目の前、線路に並行して左に伸びている通りです」

今野「商店街って、そんなに細かくわかれてるんですか?」

栗原「そうなんですよ。他の街はよくわからないんですけど、大宮は各通りになんらかの商店街というか、組織がある感じなんです」

今野「へ〜。もっとひっくるめて商店街と言ってるんだと思ってました。あの通りは大宮アルディージャを前面に押し出してるじゃないですか。何がプラスなんですか?」

栗原「選手の顔写真を使用した銀座通り独自の街頭バナーなど、商店街がお金を出している制作物もあるので、確かにどうなのって感じている人もいるかもしれないですけど、反面、大宮という町の看板を背負っているクラブと一緒にやっている実感はありますし、ファン・サポーターの方に認識してもらえているので、いいよねって声が多いですけどね」

今野「うんうん。いつから商店街の仕事をしているんですか?」

栗原「たぶん……10年以上前ですかね。僕は大学まで大宮に住んでいて、その後は都内に仕事をしながら住んで、30歳くらいのときに戻ってきたので。そのころから商店街の仕事を始めたので、もう20年近くですかね」

今野「商店街の仕事って全然イメージできないんですけど、具体的には?」

栗原「泥臭いところで言えば、役所からの配りものを配布するとか、種々の問題解決とか、クレーム対応とか。もう少し大きなところでは毎週日曜日に歩行者天国をやっているので、そこでイベントを開くとか。いまはコロナで難しいですけど」



西口vs東口の綱引き大会

今野「会長になったのは?」

栗原「それも10年以上前じゃないですかね」

今野「序盤から会長だったんですね。会長になって変えたこととかあるんですか?」

栗原「なんだろうな。イベントごとは多くなったかもしれませんね」

今野「各商店街の会長の集まりのようなものもあるんですか?」

栗原「ひとつの通りにひとつ商店街があって、それぞれに会長さんがいます。東口だけの商店街の集まりもあって、それが会長会のような感じですかね」

今野「会長会の会長もいるんですか?」

栗原「東口に関しては、自分が兼任しています」

今野「ははぁ〜、東口の長ですね。西口にも商店街あるんですか?」

栗原「東口は昭和感のある小さい建物がいっぱいですが、西口は早い段階でビルが並んだので、その時点でなくなった商店街が多いみたいです」

今野「戦うってなったら、東口の方が強そうですね」

栗原「どうですかね。雑多な、雑草のような感じはありますけどね」

今野「圧倒的に戦力が違いますよね」

栗原「でもそれが……。ご存知かもしれませんが、一昨年までは年に1回駅の構内で東口と西口で綱引きをやっていたんですね」

今野「えっ!? 駅の構内で」

栗原「そうなんですよ。それで結局、2勝1敗で西の方が勝っているんですよ……」

今野「え〜」

栗原「う〜ん、組織力の差かもしれないですね。西口の前の方には、ゴールドジムのムキムキの人たちがいっぱいいました」

今野「それは、ずるじゃないですか」

栗原「西口のお店なので……反則ではないような」

今野「そのときだけお店に入れた感じないですか?」

栗原「あははは……。助っ人外国人選手みたいな?」

今野「そうそう。へ〜、綱引き大会は知りませんでした」

栗原「大宮を盛り上げるという狙いでやっています」

今野「そうかぁ。誰に需要があるのかわからないような綱引きをやっているということで、ひとつ話が切り出しやすくなったところがあるんですけど」

栗原「はい。なんですか?」

今野「あの〜、まだやるかやらないか、このご時世なんでわからないんですけど、大宮アルディージャの試合を私がプロデュースする日があるんですよ」
※10/23・北九州戦(NACK)を予定。詳細は後日発表します。

栗原「ほ〜」

今野「そこで、これまでこの取材を受けてくれた方々でパレードしようかな、とか(笑)。商店街とかも歩けないかなと思いまして。どう思います?」

栗原「誰がパレードしてるんだろう感が、いいんじゃないですかね(笑)」

今野「絶対に選手は出すつもりないんで……」

栗原「いいですね」

今野「ちょっと恐いのが、ただただ普通の人たちがサッカーを見に行く途中みたいに見られることだけは避けたいな、と」

栗原「そういう方たちが、お店で働いているというのもいいんじゃないですか?」

今野「(笑)。さすがに気づかなさ過ぎて困ります。知らない人って言うのも失礼ですけど、そういう方たちがスター感を出して歩くところ、天狗さ具合が面白いかと思いまして」

栗原「裏方の人が、その気になるってことですね」

今野「まぁ、この話これ以上記事にしてもしょうがないので、話を変えますか」

栗原「確かに」



大宮の街を盛り上げるために

今野「会長の仕事をしていて、大変だと思うことは?」

栗原「お店を長くやっている方も多いので、それぞれプライドを持たれているんですね。そういう方たちの集まりなので、調整が難航するときはありますね」

今野「例えば?」

栗原「何かイベントをやろうとしたときに、みなさんそれに対して、これまで長く商売をやられてきた感覚から意見を出してくれる。かたや、そういったイベントをよく思わない方もいる」

今野「うんうん」

栗原「そこを、どうやって同じ舟に乗せてあげるか難しいと思うことはあります」

今野「たぶん、誰の意見も間違っていないんでしょうね」

栗原「そうなんですよ。正解がないんですね」

今野「そういうとき、どうまとめるんですか?」

栗原「基本的に、ひたすら話を聞く感じですね。年配の方と比べると自分は超後輩なので、自分で強引に推し進めることは避けようとは思っています。お茶を飲みながら話を聞いて、少しずつ信頼関係を築いて、なんとかやっていくスタイルですかね」

今野「最終的な決断は栗原さんが下されるんですか?」

栗原「そういう立場にあれば、自分が下します」

今野「へ〜。本当に偉いですね」

栗原「いやいや」

今野「逆に、会長をやってきて一番よかったことはなんですか?」

栗原「なんですかね」

今野「路駐が許されるみたいな特典はないんですか?」

栗原「ないですねぇ。一番よかったことは……知り合いが増えたことですかね。ひとりで飲みに行って『こんばんは』と言えば、『よう、栗ちゃん』って言ってもらえる。そんな店が増えたのは、うれしいことのひとつですね」

今野「他にはないんですか? 家電が何パーセント引きとか」

栗原「あははは……。ぜひ作ってもらいたいです」

今野「何もないんですね」

栗原「完全ボランティアの世界です」

今野「ただただ大変そうじゃないですか」

栗原「短期的な目線で見るとそうかもしれませんが、中長期的に見ると違うと思います。例えば、自分はイベント関連の仕事をしているので、街全体が盛り上がればいずれ仕事が回ってくるとか。あと、会長をしていると信用していただけることは多いですね」

今野「イベントのお仕事って、何をされているんですか?」

栗原「音響関係です」

今野「へ〜」

栗原「ショッピングモールでのイベントに呼んでいただいて、音楽を流すとか」

今野「じゃ、お笑いの営業とかも?」

栗原「そうですね。出囃子を流したり、頼まれた音を流したり、やったことはあります」

今野「じゃ、俺がデパートの屋上でお笑いをやっていたとき、そこの音響さんがどこかの会長さんだったこともあるわけですか?」

栗原「かもしれないですね(笑)」

今野「自分から『会長だぞっ、俺は!』みたいなことは?」

栗原「それはないですね。頭をイジられることはありますけど」

今野「あるいは、周りの人が『会長になにしてんだ!』みたいな」

栗原「言われたことないですね」

今野「会長という文字だけを見ると、『先生』と呼ばれている感じがありますけどね」

栗原「確かに、スーツを着ている方が多いかもしれないですね」

今野「普段はスーツなんですか?」

栗原「僕のスーツ姿を見たことがある人は、ほとんどいないと思います」

今野「周りの会長さんは、みんな年上ですか?」

栗原「最年少もいいところです。どんなに若くても60歳前後じゃないですかね」

今野「会長は、どうやって決まるんですか」

栗原「自薦他薦を問わず、ですね」

今野「選挙になったりも?」

栗原「うちではないですけど、そうなったことがあるって話は聞いたことがあります」

今野「やっぱり、商店街のお店の人がなるもんですか?」

栗原「基本的に会員さんの中からですね。やっぱり、地元のことを知っていないと、なかなかできない仕事なので」

今野「会員にはどうやって?」

栗原「お店を開いて、テナントさんになれば……」

今野「そういうことか。じゃ俺は、お店をやらなきゃ商店街の会長にはなれないのか」

栗原「ぜひ! 大宮駅からスタジアムの間のどこかで」

今野「……やりたい店がないな。やばい、もう時間だ。言い残したことはありますか?」

栗原「そうですね、これまでもクラブの方に声を掛けていただいてインタビューを受けたことが何回かあるんですが、これまでとはまったく雰囲気の違う感じだったので、すごくおもしろかったです」

今野「そうですか」

栗原「まったくサッカーに触れないインタビューっていうのは、とても新鮮でした」

今野「あぁ(笑)」

栗原「クラブ=サッカーではなくて、大宮についてゆる〜く話して、いずれ盛り上がりにつながればいいよねっていうか。こういう形のインタビューもありなんだと、やりながら認識した感じです」

今野「本当は『ガイアの夜明け』みたいなのを意識したいんですけどね」

一同「(爆笑)」

今野「どうにもならないですね(笑)」

栗原「そういう回も、ぜひ見てみたいですね」

今野「真面目な話、イベントをする機会があれば、ぜひよろしくお願いします」

栗原「こちらこそ、よろしくお願いします」

今野「ありがとうございました」

栗原「ありがとうございました!」




インタビュアー:今野浩喜
構成:粕川哲男

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