MF18 イッペイシノヅカ【マンスリープレーヤーインタビュー】


中断期間に芽生えた思い

明治安田生命J2リーグの再開が近づいてきた。イッペイ シノヅカの表情には、餓えた思いと、高揚感と、感謝と、連帯といったものが浮かんでいる。

「6月4日の全体練習が始まる前から、少人数でのトレーニングをやっていたので、ある程度のコンディションは維持することができていました。27日の再開初戦へ向けて、いい状態になってきていると思います」

新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言の発令、不要不急の外出の自粛要請といった未知の体験を通して、気づかされたことがある。周囲のサポートをあらためて感じた。

「チームの全体練習が再開できているだけでもう、すごく感謝ですよね。その状況を作ってくれているのは、クラブの皆さんのおかげなので。トレーニング場の芝生も、いつも丁寧に管理していただいた。そうやって選手を支えてくれている人たちがいることで、サッカーができているんだとつくづく思いました」


再開への自信

リーグ戦の延期が発表された当初から、シノヅカは「足りないところを補えるいい時間」と前向きに受け止めていた。コミュニケーションやコンビネーションの深まりについて聞かれると、声のトーンが一段高くなる。好感触を得ている、ということだ。

「シーズン前のキャンプを含めて1カ月ちょっとぐらいで開幕を迎えて、今年は新しいことも取り入れているので、開幕の水戸ホーリーホック戦は正直に言ってちょっと難しかった。それから試合が延期になって、新外国籍選手、移籍してきた日本人選手を含めて、単純にチームのみんなが仲良くなりました。みんなの距離が縮まったのはすごくいいことです。外国籍選手も日本語を少しずつ勉強していて、今はもう自分たちから日本人選手に話しかけたりしています」

戦術的な積み上げも進んでいる。

「1月に始動してからずっと、高木監督が『今年はこういうことをやりたい』というものを明確に示してくれているので、戦術的な共通理解はできていた。監督がやりたいことは分かっていて、チームとしてそれを継続するところから始まって。それぞれにコンディションの問題はあったと思いますが、キツいフィジカルトレーニングもこなしてきているので、今はもう最終調整という感じで、いい感じできているんじゃないかと思います。中断期間中に、新しいことにもトライしています。詳しいことはここでは言えないので(笑)、再開後の試合を楽しみにしていただければ」

再開後は7月に6試合、8月に7試合、9月に8試合と、厳しいスケジュールで試合を行っていく。ナイトゲームが続くものの、陽が落ちても日中の暑さはしぶとく居座る。コンディショニングは例年以上に難しくなりそうだが、「そこはもう、やるしかないですよね」と、シノヅカは苦笑いする。

「高木監督も話しているように、誰も経験したことのないシーズンで、誰も予測できないような事態が起こるだろうから、その中でやるしかない。連戦になってくるので、コンディションは一人ひとりがいつでも試合に出られるように、試合後に少しでも疲労を和らげるようなメンテナンスも大事になってくるでしょう。メンタルのリカバリーも大事になります」


たかぶる気持ち

12月20日の最終節までノンストップで走り抜けた先には、当然のことながらJ1昇格を見据える。新型コロナウイルスの影響で今シーズンはJ1参入プレーオフがなくなり、リーグ戦の上位2チームが昇格するシンプルなレギュレーションとなった。

「プレーオフがあったとしても、2位以内でJ1に上がるんだと考えていました。優勝争いをしなきゃいけないチームですから、気持ちの変化はありません」

J1昇格を手繰り寄せるために、シノヅカに求められるのは得点に絡むプレーだ。対戦相手の包囲網が厳しくなっている中でも、決定的な仕事が求められていく。

「去年の後半ぐらいからマークが厳しくなってきましたが、1対1の局面なら崩せる自信はあります。1対2でも勝負できないことはないですが、夏場の連戦で自分が仕掛けてばかりいたら、体力的に持たなくなってしまう。同サイドの選手と意思疎通をしながら、崩しのイメージを共有していきたいですね」

6月27日と7月4日の2試合は、「リモートマッチ」と呼ばれる無観客での開催となる。リーグとして、7月11日以降は有観客へ移行する予定だが、「観客数5,000人か収容人数の50パーセントの少ない方」との条件が付く。NACK5スタジアム大宮のキャパシティや状況と鑑みると、さらに厳しい案内になるかもしれない。

「リーグ戦が開催されないことで物足りない思いをしていたファン・サポーターの皆さんに、必ずいいサッカーを見せるんだという気持ちで準備をしてきました。ずっと待ってくれていた皆さんへの感謝の気持ちを、プレーで示していきたいと思っています。もちろん、J1昇格のために勝利にこだわっていきます」

話をしているうちに、気持ちがたかぶってきたのかもしれない。再開初戦への意気込みを聞かれると、ちょっと荒っぽい言い回しで気持ちを表現した。

「やっとリーグ戦が再開するので、これまで溜め込んできた気持ちを全面に見せていきたい。対戦相手をボコボコにするぐらいの闘争心で、再開初戦からやっていければと思います」

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