今野浩喜の「タダのファン目線記」新入社員

突撃インタビューシリーズ 今野浩喜 vs 新入社員

今野さんがタダのファン目線でアルディージャの関係者に逆取材を敢行! 今回は、新型コロナウイルスの感染防止のため窓を全開、テーブルの距離を離し、マスク着用の上でインタビューが行われました。理路整然と話す新入社員の渡邉さんに対し、本音を聞き出したい今野さんは、ソーシャルディスタンスを保ちながらも心の距離を詰めようと、あの手この手で切り込みます。
※インタビューは2020年4月3日(金)に実施しました。


雰囲気が、好き

今野「どうも今野です」

渡邉「渡邉尚哉と申します」

今野「新入社員さんですよね」

渡邉「はい」

今野「ぜひ、新入社員の方にお話を聞きたいと思いまして。何をされているんですか?」

渡邉「配属はホームタウンで、大宮区の担当になりました」

今野「大宮区ということは、大きなところを任された感じがしませんか?」

渡邉「めちゃめちゃありますね。スタジアムがあるのも大宮駅があるのも大宮区なので、大事な街を任せていただいたと感じています」

今野「ある意味、すでに根付いている部分はあるかもしれないですが、力を抜いてファンが離れたときは大打撃ですよね。キープしないといけない」

渡邉「おっしゃるとおり、これまで歴代の先輩たちが良い関係を築いてきてくれたので、『大宮アルディージャの渡邉です』と挨拶するだけで皆さん良くしてくださいます。そこから始めることができるありがたさを感じると同時に、崩してはいけない。ここから、さらに関係性を深めていくのが自分の役割だと考えています」

今野「会社員になったことがないので分からないんですが、いきなり任されるんですか?」

渡邉「前任の先輩について挨拶をして、お仕事を引き継いでいただきました」

今野「普段は何をしてるんですか?」

渡邉「自治会の会合が定期的にあるので、そこに出席させていただくとか。地域の商店街とか商工会の方々と、大宮の街をどうしていくかといったお話をさせてもらっています。あと、サッカー教室を開くとか。街に出て、街の方と話して、一緒に大宮を盛り上げていこうという仕事をさせてもらっています」

今野「今おいくつですか?」

渡邉「26歳です」

今野「本当に理路整然とお話ができるんですね。でも、何やら面接官みたいな気持ちになってきました。何でしょう。ダメ出しみたいになっちゃいますけど、この人の本音を引き出せるのかっていう感じが(笑)」

渡邉「あははは……」

今野「説明慣れが強いというか。それを言われても困ると思いますけど」

渡邉「はい。困ります(笑)」

今野「中途採用で大宮アルディージャに来るまでは、何をやっていたんですか?」

渡邉「長野県のアマチュアのサッカークラブで働いていました。でも、もともと幼少期の頃からアルディージャの大ファンだったので」

今野「えっ! そんな人いる?」

渡邉「いつか働きたいと思っていたんです」

今野「長野で、ですか?」

渡邉「出身は埼玉県の北本市なので」

今野「あぁ。そこを飛ばして長野と聞いたから、何で大宮ファンなんだろうって」

渡邉「すみません」

今野「昔から大宮のファンなんですか」

渡邉「そうですね。2001年くらいに初めて大宮公園に行きまして、その後アルディージャのサッカースクールに入って、大学生のときはスタジアムで応援していました」

今野「大宮ファンの人は全員聞かれると思うんですけど、何で浦和じゃなかった?」

渡邉「自分の場合、テレ玉のプレゼント企画でアルディージャのボールが当たって。じゃ大宮公園に行ってみようと。いざ行ったらすごくガラガラで、平和で」

今野「あぁ! 分かります。そういうところですね、大宮のファンになる理由は」

渡邉「そうですね」

今野「だって、前も言いましたけど、強いから好きになるチームじゃないですから」

渡邉「すごく分かります」

今野「気づいたら見ていて、雰囲気が好きって感じですよね」

渡邉「はい」

今野「何か、ようやくいい感じになってきましたね(笑)」

渡邉「ありがとうございます!」


私のベストイレブン

今野「試合がない最近は、どういう活動をしているんですか?」

渡邉「事務作業とか、やることを探しながらですかね。あとは、対面は難しいですけど、関係各所とのコミュニケーションを欠かさないようにしています」

今野「こういうときに本気で考えて何か思いつけば、明らかに他を出し抜けますからね。で、何かありました?」

渡邉「正直……まだ、ありません」

今野「いやぁ俺の場合は、前回のインタビュー(vs 國領浩子『アルディージャホットライン』パーソナリティー)でJリーグの案を出しちゃったんですよ。何か、すぐに浮かびましたけどね」

渡邉「どんなアイデアですか?」

今野「感染拡大の危険性がある飛行機や新幹線での移動を避けるため、東西に分けて試合をやろうって案ですけどね」

渡邉「素晴らしいですね! 昇降格もないわけですからね」

今野「こんないい案が、俺の場合はすぐに浮かぶわけですよ(笑)」

渡邉「すごい!」

今野「よく言われることですけど、ピンチはチャンスですから。しかも新入社員。ここで何か出したら、おそらく今後のパワハラもなくなるでしょう(笑)」

渡邉「いや、パワハラはありません!」

今野「自治会の集まりとか、仲良くしてもらっているんですか?」

渡邉「はい」

今野「若いと、社内で急に無理難題を振られることはないですか?」

渡邉「ないですね……」

今野「『お前がお茶を注ぐんだよ!』みたいなことは(笑)」

渡邉「あぁ。そんな言い方じゃないですけど、いろいろ教えてもらうことはあります」

今野「ホームタウン担当で昇進となると?」

渡邉「役職がつくんですかね。課長とか」

今野「課長とか部長を目指してるんですか?」

渡邉「いやぁ、まだ考えたこともないですね。今は目の前の仕事を一生懸命というか、結果を出して、いろいろな人に認めてもらいたい思いですね。先輩とか街の人に『お前が来てくれて良かった』と言ってもらえるように頑張りたいです」

今野「ほ〜。もともと大宮ファン。この仕事に就くと報告したとき家族は喜んだでしょう」

渡邉「そうですね」

今野「昔、好きだった選手は? ベストイレブンを教えてください」

渡邉「GKは……」

今野「システムは?」

渡邉「4-4-2の一択ですね」

今野「それしかないですよね! だから高木監督の3バック、最初は不安でした」

渡邉「そこは何とも言えません」

今野「じゃ、教えてください」

渡邉「GKは江角浩司さん。センターバックはトニーニョと奥野誠一郎さん」

今野「その2人以外だと菊地光将さん、河本裕之さんですよね」

渡邉「サイドバックは……右は西村卓朗さん、左は下平匠さん」

今野「あ〜」

渡邉「下平さんはガンバ大阪から来てくれたのがうれしかったですね。ボールを預けておけば必ずゲームを作ってくれる安心感がありました」

今野「下平さんのユニホームを買った年に、移籍しちゃったんですよね。中盤は?」

渡邉「真ん中は小林慶行さんと金澤慎さん。2008年の小林慶行さんのスーパー・ロングシュート(アウェイ川崎戦)、あれはすごかった

今野「いいですね。熱い空気が出てきました」

渡邉「慎さんは、いつも23番のユニホームを買っていたので。あとは、最終的に4-4-2に戻して金澤さんが中盤でプレーすると、残留できるってイメージがありました」

今野「あと中盤の2人は」

渡邉「小林大悟さんと、藤本主税さん」

今野「そうですね。FWは?」

渡邉「すごく難しいですけど、バレーは好きでしたね。あと、トゥットもよかった。J2のときからシュートがうまいイメージがありました。バレーは一生懸命」

今野「監督は?」

渡邉「やっぱり、三浦(俊也)さんのときが好きでしたね」

今野「結局、大宮をこうしたのは三浦さんですもんね。スーパーサブを1人」

渡邉「森田浩史さんですね」

今野「あぁ!」

渡邉「石原直樹さんも良かったですけどね」

今野「そうでしたね。ポジション争いが厳しくて……」

渡邉「ラファエルとかがいましたね」

今野「これまで、こういうベストメンバーとか考えたりしませんでした?」

渡邉「いやぁ、初めて考えました」

今野「そうですか。こういうこと、みんなやってると思ってたけどな」

渡邉「楽しいですね」


裸には、なりません

今野「スタジアムに通っていたころは、どんな感じで見てたんですか?」

渡邉「ゴール裏で、はねていましたね」

今野「ほ〜。騒いでたタイプなんだ。そういう人たちは、じっとしてる人に対してはどう思うんですか?」

渡邉「う〜ん……」

今野「いや、私があまりスタジアムに行かない理由は人に見られたくないからで。それは何でかって考えると、あんまり応援してないからなんですよ。試合を見てるだけだから。中には恐い人がいるじゃないですか。『もっと声出せ』みたいな」

渡邉「そういう考えの方もいますね」

今野「各々の性格ってもんがあるのに……。子どものころから『元気ないね』と言われるのがすごく嫌で。『元気はあるよ、明るくないだけだ』って」

渡邉「人それぞれですよね」

今野「こういう仕事してると、ゴール裏で騒いでないとダメな感じじゃないですか。でも、自分はそうじゃないんですよ」

渡邉「……応援の見栄えとか盛り上がりとかもあるので、一緒に盛り上がってもらえたらうれしいですけど、強制できるわけもないですしね」

今野「見栄えね……」

渡邉「でも、アルディージャの場合はゴール裏でも家族で楽しくって感じがあるので」

今野「裸には?」

渡邉「なってないです」

今野「あれは何で裸になるんですか? 暑いからじゃないですよね」

渡邉「不思議ですよね。だけど、どのチームにもいますよね」

今野「あれは外国の影響ですね、完全に。日本に、人前で裸で騒ぐ文化はないはずです」

渡邉「そうですね」

今野「渡邉さんは、試合のときスタジアムにいるんですか?」

渡邉「はい、います」

今野「そのときどうですか、1回裸でいるっていうのは」

一同「あははは……」

渡邉「間違いなくオッケーが出ないので」

今野「ダメですか。誰から言われるんですか?」

渡邉「誰から言われるのか、想像もつかないです(笑)」

今野「堂々とやってた場合、誰かがオッケーしたんだな、と思われないですか?」

渡邉「……」

今野「だって、新入社員の渡邉が誰の許可も取らずに裸になってるなんて、誰も思わないじゃないですか」

渡邉「そうですけど……」

今野「では最後、何か言い残したことはありませんか?」

渡邉「大丈夫です。ありがとうございます!」

今野「何でこれを聞かないってことは?」

渡邉「いや、過去のアルディージャの話ができたので、本当に大満足です!」

今野「それは良かった。今日は、どうもありがとうございました」



インタビュアー:今野浩喜
構成:粕川哲男

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