第3回:橋本早十【私のベストイレブン】

かつては選手として、現在はクラブスタッフとしてアルディージャを支えるOB選手に、ベストイレブンを選んでいただきました。今後、現役選手バージョンも!? 選定基準に縛りなし! 自分を入れるかは、本人の自由! 第3回の選定者は、2004年の加入から10年間プレーし、引退後の2016年からアカデミースタッフとして活躍している橋本早十さんです。
構成:平野貴也

第3回 橋本早十

FW:ラファエル(2009-2012/83試合/24得点)
MF:イ・チョンス(2010-2011/43試合/8得点)
MF:斉藤雅人(1999-2009/289試合/13得点)
MF:青木拓矢(2008-2013/127試合/11得点)
MF:小林大悟(2006-2008/90試合/14得点)
MF:小林慶行(2006-2009/91試合/10得点)
DF:下平匠(2012-2013/64試合/1得点)
DF:キム・ヨングォン(2011-2012/40試合/0得点)
DF:片岡洋介(2005-2009, 2011-2015/198試合/4得点)
DF:渡邉大剛(2011-2015/148試合/12得点)
GK:川島永嗣(2001-2003/41試合/0得点)
監督:鈴木淳(2010-2012)
※カッコ内はJリーグ参入後の所属年/大宮でのJリーグ戦出場試合数/得点数

左右に天才を配置し、アンカーに和製グアルディオラを据える

自分が選手として一緒に戦った監督、選手の中から選びました。布陣は、当時多かった4-4-2を考えましたが、選んだ選手で自分好みのサッカーをしようと考えたら4-1-4-1になりました。

GKは川島永嗣選手。2003年に特別指定選手として在籍した際に一緒にプレーしました。ともにプレーした期間は短いのですが、大宮でキャリアをスタートして日本代表の主力まで進んだ選手なので、外せません。現在、一緒に育成のスタッフとして頑張っている江角浩司さんも荒谷弘樹さんも頼りになる守護神でしたし、江角さんには特によくお世話になったので、控えは江角さんにします。

センターバックは左にキム・ヨングォン選手。移籍してきたときは、まだ若かったのですが、体のサイズとスピードがあって、左足のキックも良く、可能性のある選手だと感じました。実際、韓国のA代表に定着する成長を見せました。ここは、セットプレーで、私のアシストからゴールを決めてくれたマトとどちらにするか迷いました。

右は、よくお世話になった先輩の冨田大介さんと、私の地元である福井県のレジェンド奥野誠一郎さんも候補として考えましたが、片岡洋介にしました。一緒にプレーした選手の中で、対人戦では間違いなく一番強いディフェンダー。1対1の勝負は、抜ける気がしませんでしたし、後ろにいると安心できる選手でした。

サイドバックは左に下平匠選手。技術が高く、落ち着いて、周囲が見える選手でした。私が左サイドハーフでプレーして、相手の背後を狙って前線へ走るときは「こんなに完ぺきなタイミングでパスが出るのか!」と驚きました。別の意味でプレーしやすかったのは、村上和弘さんと波戸康広さん。2人とも頼りがいがあって、攻撃に専念させてくれました。

右は、渡邉大剛です。本職はMFですが、サイドバックでも攻撃的で面白いサッカーを体現してくれると思います。話をしていて、試合の展開について「同じ絵」を描ける選手だなと感じていましたし、非常に組みやすい選手でした。

中盤の底は小林慶行さん。技術があって賢く、パワーがあるわけではないけど、守備もうまい選手。パスワークのバランスが良く「和製グアルディオラ」と言ってもいいくらい、アンカーにはうってつけの選手だと思います。

インテリオール(中央の攻撃的MF)の2人は、斉藤雅人さんと青木拓矢選手。マサさんは、シャビのように技術とインテリジェンスで勝負した選手。見ていて勉強になることばかりで、多くのことを学ばせてもらいました。青木選手は、新人のときから「代表まで狙える選手だな」と思っていました。あらゆる面でポテンシャルが高く、中盤から点を奪いにいける選手でした。

あと、セントラルMFとして金澤慎の名前は挙げておきたいです。守備面で頼りになる存在ですし、本当に長く一緒に戦った仲間で、チームを組むならメンバーには絶対に入れておきたいです。

サイドハーフはイ・チョンスさんと小林大悟選手。イ・チョンスさんは、本当に「天才」。練習でのパス回しも抜群にうまく、プロが見ても「うまい!」と思わせてくれる選手でした。ワールドカップに主力で出る選手はやっぱり違うなと身を持って感じました。小林選手もボールタッチが繊細。私はボールを扱う技術には自信を持っていたのですが、彼を見たときに「ちょっとレベルが違うな……」と思わされました。彼の活躍と日本代表選出には、同じ攻撃的MFとして強い刺激を受けました。

影響を受けたという意味では、藤本主税さんも外せない存在です。プレースタイルは違いますが、陰ながら「この人に勝たないと試合に出られない」とライバル視していましたし、彼がいたからこそ自分も頑張っていけた、大きな存在でした。

FWはラファエル選手。さいたまダービーでは、私のパスからヘディングシュートを決めてくれました。点を取れるだけでなく、キープもうまいし、ゴール前でも常に冷静でアシストもできるので、1トップで機能すると思います。守備も献身的に頑張ってくれますし、人間性の面でも魅力的で素晴らしい選手です。控えも選べるなら、森田浩史さん、桜井直人さん、石原直樹選手といった高さ、ドリブル、速さといった武器を持つ個性派を選びたいです。

最後に、監督には鈴木淳さんを選びました。あまり起用してもらえなかったので意外な選出かもしれませんが、特に攻撃面でサッカーを学ばせていただいた監督です。淳さんの練習の後に、当時のバルセロナの試合などを見ると、サッカーを深く理解できて楽しかったですし、その経験は指導者になった今も生きています。ただ、選手としては苦しい思いもたくさんしましたし、私を重用してくれた張外龍さんには、本当に感謝しています。

橋本早十(はしもと はやと)
1981年生まれ、福井県出身。丸岡高校から駒澤大学に進学し、4年生のときに特別指定選手として大宮に登録された。翌2004年に加入し、主に左サイドハーフとしてプレー。左足から繰り出す高精度なパスで、幾度も決定機を演出した。2013年限りで退団したが、2016年にアカデミースタッフとして復帰。U12コーチとして活躍している。

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