第4回:大山啓輔【私のベストイレブン】

ここまで、3回にわたってクラブOBにベストイレブンを選んでいただきましたが、今回は現役アルディージャ選手から大山啓輔選手の登場です。選定基準に縛りなし! 加入7年目の大山選手は誰を選ぶのか!?
構成:戸塚啓

第4回 大山啓輔

FW:ラファエル(2009-2012/83試合/24得点)
FW:家長昭博(2014-2016/92試合/28得点)
MF:小林大悟(2006-2008/90試合/14得点)
MF:斉藤雅人(1999-2009/289試合/13得点)
MF:小林慶行(2006-2009/91試合/10得点)
MF:渡邉大剛(2011-2015/148試合/12得点)
DF:下平匠(2012-2013/64試合/1得点)
DF:河本裕之(2012,2015-/153試合/11得点)
DF:菊地光将(2012-2019/211試合/13得点)
DF:和田拓也(2013-2017/109試合/2得点)
GK:塩田仁史(2015-2019/44試合/0得点)
監督:伊藤彰(2017 ※選手として2002-2003所属、スタッフとして2007-2017所属)
※カッコ内はJリーグ参入後の所属年/大宮でのJリーグ戦出場試合数/得点数

プレーを参考にした選手で中盤を構成。バランスの取れた11人

いやぁ、悩みました。選び終えた今でも、まだ悩んでいます……が、この11人も、もちろんベストと呼べるはずです。システムは4-4-2としました。

 GKはシオさん(塩田仁史)です。シオさんがFC東京から移籍してきたのは2015年で、僕はまだプロ2年目。「ベテラン」という言葉から連想される存在感をストレートに感じました。最後尾からチームメートにカツを入れつつ、褒めながら鼓舞することも忘れない。トレーニングでも試合でも、シオさんの言葉には奮い立たせられました。GKとしての能力はもちろん高いと思いますが、チームをまとめ上げる姿が強く印象に残っています。

最終ラインは右からタクくん(和田拓也)、キクさん(菊地光将)、コウモさん(河本裕之)、下平(匠)さんで構成します。

右サイドバックのタクくんは、チームにいたらものすごくありがたいタイプの選手です。最終ラインからボランチまで、どのポジションもしっかりこなすことができるので。アルディージャでも複数のポジションでプレーし、最終ラインでは左のイメージがあるかもしれませんが、このチームでは右サイドを担当してもらいます。僕自身は中盤で一緒にプレーしたことがあるのですが、とにかく気の利く選手でした。周りの選手と調和を取るのがうまくて、彼がいることでチーム全体がスムーズに機能していくのです。

キクさんとコウモさんのセンターバックのコンビは、僕の中では鉄板です。他の組み合わせは考えられない。J1クラブのセンターバックの中でも、この二人のコンビは鉄壁と言っていいはずです。一人ひとりのレベルが高く、二人が並ぶとさらに安定感が増す。ボランチの僕からすると、キクさんとコウモさんが後ろに控えている安心感は絶大でした。

下平さんは公式戦で一緒にプレーをしたことがありません。下平さんがアルディージャでプレーしたのは12年と13年で、僕がトップチームに昇格したのは14年です。ただ、12年、13年と2種登録でトップチームに帯同させてもらったので、トレーニングで一緒になることはありました。ボール回しを一緒にやっただけで、うまさが分かりました。

足元の技術の高さには、驚かされました。左サイドバックとしては、僕の中では別格です。NACK5スタジアム大宮で試合を見ていたときには、「ああいう選手が左サイドバックで、自分がボランチだったら、どんな感じなんだろう」と思っていたものでした。好きなプレーもたくさんありました。例えば、左サイドバックのポジションで内側を見ながら、縦へスパンとパスを入れる(覚えている方もいるでしょう!)。ギリギリまで判断を待てる、ギリギリで判断を変えられるのも下平さんのすごさです。ボールの蹴り方については、ひそかに真似していたぐらいです。

MFの4人は、かなり、かなり悩みました。選びたい選手が多すぎで、絞り込めない!脂汗が出るぐらいに悩んだ末に、ダブルボランチにマサさん(斉藤雅人)と小林慶行さん、右サイドハーフに渡邉大剛さん、左サイドハーフに小林大悟さんを選びました。金澤慎さんは言うまでもなくクラブのレジェンドですし、マテウスの破壊力はすさまじいものがありました。それでもこの4人で中盤を構成したのは、自分の好きなサッカーというか、自分が参考にさせてもらった選手をピックアップした結果です。

大剛さんを右サイドにしたのは、同サイドのタクくんと同じようにユーティリティー性が高いことが理由です。左サイドから攻めているときに、二人でうまくバランスを取ってくれるでしょう。この中盤は誰がどこに入ってもできるはずで、流動的にポジションを取ったときにも、大剛さんが全体のバランスを整えてくれると思います。得点能力やキックの精度については、皆さんもご存じでしょう。個人的にはパーソナリティーも好きで、普段は温厚ですが試合では熱いところに惹かれます。

マサさん、慶行さん、大悟さんは、小さいころにスタジアムやテレビで見ていた憧れの選手ということも相まって、僕にとってはアイドルでありスター的存在です。ボールを持てるし、さばけるし、相手から奪うこともできる。大剛さんも含めて、FKは誰が蹴ってもいいでしょうね。この3人は06年から08年に在籍期間が重なっていますが、3人がそろってプレーしている中盤を見ると、ものすごくワクワクしたことを覚えています。「今日はどんなプレーをしてくれるのだろう」と、胸を躍らせていたのを思い出しますね~。

FWもかなり悩みましたが、アキさん(家長昭博)とラファエル選手にしました。外国籍のFWでは2種登録選手のときに一緒にトレーニングをしたノヴァコヴィッチやズラタン、トップ昇格後のチームメートだったムルジャも魅力的ですが、さいたまダービーで必ずと言っていいほど点を取ってくれたラファエルさんの勝負強さは、これぞ助っ人の外国籍選手と思わせてくれるものでした。この二人の2トップなら、前に構えることもできるし、モビリティーもあります。相手はつかめにくいでしょうね。中盤の4人からどんどんボールが出てくるでしょうから、2トップの能力が存分に引き出されるのでは。

監督はアキラさん(伊藤彰)にお願いします。アカデミーから指導を受けてきましたが、攻撃的なスタイルを標榜するアキラさんなら、一人ひとりの攻撃性能をうまく掛け合わせたサッカーをするんだろうな、と期待が膨らみます。4-1-4-1のような立ち位置にしても、このメンバーなら無理なく機能するでしょうね。

それにしても、選手を絞り込むことがこんなにも大変だとは……。監督のツラさが身に染みて分かりました(苦笑)。

大山啓輔(おおやま けいすけ)
1995年生まれ、埼玉県出身。大宮アルディージャジュニア1期生。アカデミー時代から数えてアルディージャ一筋14年目の生え抜き。5月に25歳の誕生日を迎えて中堅の域に入った。今シーズンはチームを引っ張る存在として、これまで以上に期待がかかる。

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