第1回:河面旺成【PICK UP !!】
総力戦を戦う覚悟。どんな状況でもブレずに優勝を狙う
DF 6 河面 旺成

約4カ月にわたるリーグ戦の中断が終わり、待望の再開が今週末に迫ってきた。アルディージャは6月4日から全体トレーニングを再開し、6月27日の第2節・ジェフユナイテッド市原・千葉戦に向けて急ピッチでコンディションを上げている。今シーズンから副キャプテンを務める河面選手が、再開に向けた意気込みを語ってくれた。
構成=岩本 勝暁

攻撃にも絡んでいきたい

――明治安田生命J2リーグの日程が決まりました。再開後の初戦は6月27日、アウェイで千葉と対戦します。今の心境を聞かせてください。
「新型コロナウイルスはまだ完全に終息したわけではなく、油断できない状況が続きます。それでも、ひとまず日程が決まってホッとしています。今は相手どうこうよりも、自分たちがやるべきことをしっかりやる。そこを強く意識しています」

――リーグ再開に向けてトレーニングをしていく中で、特にどういうことを意識していますか?
「守備の部分では、(ボールの)奪いどころを決めること。それから、相手にペナルティーエリアに入られないような全体のプレスの掛け方を意識しています。攻撃の部分では、アタッキングサードにどれだけ早く入れるか。そこに掛ける人数などを意識しながら取り組んでいます」

――夏場のリーグ再開になります。疲労が蓄積しないように、プレスの掛け方など工夫が必要ですね。
「暑い時期に連戦が続くので、総力戦になると思います。そこを全員が意識することが大事だと思います。みんながすごく意識して取り組んでいるし、モチベーションも常に高い状態で練習できているので、現段階ではとてもいい状態だと思います」

――河面選手自身のやりたいプレーは?
「守備はもちろんですが、特に攻撃の部分ですね。相手の背後など後ろから決定的なボールを出したり、あとは自分が前に行って攻撃にも絡んでいきたいです」

目指すところは変わらない

――あらためて水戸ホーリーホックとの開幕戦を振り返っていただけますか?
「キャンプから取り組んできたことが、新加入選手が多い中でもしっかりと出すことができました。攻め込まれる時間が多かった中で、失点はしたけれどチーム全体として我慢しながら守り切れた点、追加点が奪えたという点では非常に良かったと思います」

――昨シーズンはチーム最多の41試合にフル出場しました。河面選手にとって良かった点、特にコンディショニングの面で今シーズンも継続したいところはありますか?
「食事の部分は非常に大きかったと思っています。曜日によってトレーニングがきつい日があって、その日の夜の食事は疲労回復を早めるものを出してもらっていました。試合の2日前から炭水化物を多めに摂ることも意識していましたね。あとはストレッチなど体のケア。そのおかげでちょっとした体の異常に早く気づき、すぐに対処することができました」

――今年の夏の連戦は、どうやってコンディションを整えていきますか?
「夏はどうしても体温が上がります。それを落とすために、冷たい風呂に入るなどのケアが必要になってきます。疲労回復という点で、食事にも気を配りたいと思います」

――再開後は交代枠がこれまでの3人から5人に拡大されます。影響はありますか?
「DFの僕からすれば、交代枠を使うことはあまり考えない方がいいと思っています。前線の選手に関しては、交代枠がある分、スタートのところからしっかりハードワークできるようになるでしょう。疲れたときに交代できる選手がいるというのは、プラスの部分だと思います」

――相手も終盤に背の高い選手や足の速い選手を投入してくる可能性があります。
「自分たちのしんどい時間帯に、相手チームにフレッシュな選手が入ってくるのは注意しないといけないですね。その前に2点くらいリードしておくのが理想ですが、ディフェンスラインを中心に最後までしっかり声をかけてやることがより大事になると思います」

――J1参入プレーオフは開催されず、上位2クラブの自動昇格に大会方式が変更されました。自動昇格を目指すというところに変わりはありませんか?
「もちろんです。そこを一番に置いて、今までやってきました。そこはブレずにやらなければいけないところだと思っています」

総力戦。一丸で戦う

――第2節、第3節はリモートマッチ(無観客試合)での開催となります。イメージはできますか?
「練習試合やトレーニングをスタジアムでやることはあったので、ある程度はイメージができています。普段は届かない声やボールを蹴る音が響くというのは不思議な感覚ですね。でも、アウェイでの試合は相手サポーターの声援がない状態なので、ホームとアウェイの勝ち負けにあまり影響しないのではないでしょうか。そういう意味では、アウェイでどれだけ勝点が取れるかが重要になると思います」

――DAZNで試合を見るサポーターにはどういうところに注目してほしいですか?
「ピッチの中で発している選手の声というのは、普段なかなか聞けないと思います。そこは新鮮だと思うので、ぜひ注目してほしいですね。それから、テレビなどだと全体の動きが見やすいと思うので、ボールがないところで選手がどういう動きをしているかというところも見てほしいです」

――練習試合もいくつか消化したそうですね。手応えはいかがですか?
「練習の中で取り組んでいる部分が選手の間ですごく整理されていて、練習試合の中でも何度かいい形を作ることができました。プラス材料が多かったです。課題が出ても、選手同士が思ったことを言い合いながら修正できている。とてもいい状態だと思います。

――ところで、外出自粛中はどんなふうにして過ごしていましたか?
「サッカー以外だと、トレーニングの一環として縄跳びをやっていました。メニューとしては、5分を3セットです」

――そういう意味では、トレーニング再開後もすぐにコンディションを戻せたのでは?
「自粛期間中もコンディションを落とさないようにずっと体を動かしていました。多少は落ちている部分もありましたが、トレーニングが再開してすぐに戻った感覚です」

――世界中のスポーツが止まっていた中、あらためてサッカーやスポーツの価値というものを感じましたか?
「今まで当たり前にできていたことができなくなり、どこか心苦しいところがありました。ファンやサポーターの皆さんからも、SNSを通じて『またアルディージャのサッカーが見たい』という言葉をいただきました。そういう意味でも、サッカーの価値をあらためて感じることができましたね」

――最後に今シーズンにかける意気込みを聞かせてください。
「連戦が続き、総力戦になると思います。大事なのは、全員がチームの戦術を理解し、それを試合で発揮すること。そこが、昇格できるかできないかの差になって表れると思います。その部分は、全体としてこだわりながらやっていかなければいけません。個人的にも、去年、一昨年とあと一歩のところで昇格を逃しました。今年こそJ 1に昇格できるように、そこを一番に考えて取り組んでいきたいと思います」


河面 旺成(かわづら あきなり)

1994年5月3日生まれ、京都府出身。183cm/76kg。セレッソ大阪西U-15→作陽高→明治大を経て2017年に加入。2年目の2018シーズンから左サイドバックのレギュラーとして活躍。昨シーズンは3バックの左でチーム最多の41試合に先発した。精度の高い左足のキックで後方から攻撃にアクセントをつける、ユーティリティーなサイドプレーヤーだ。

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