今月末の発売に向けて制作中の『VAMOS』最新号は、アカデミー出身者として初めて10番をつけている黒川淳史選手が表紙を飾ります。その撮影を担当した髙須 力カメラマンが、撮影の裏側を“ちょい出し”します。
文・写真=髙須 力
先日、今月末に発売予定の大宮アルディージャマガジンVAMOSの表紙撮影として黒川淳史選手を取材した。ご存知のようにVAMOSの表紙はクラブカラーのオレンジ色を背景にして、ストロボで強めの影をつけるのが定番になっている。これまでの撮影は室内で実施してきた。しかし、ウィズコロナ時代。新たな試みとして「外で撮影できませんか?」と編集者から持ちかけられたのだ。
今までに経験のない依頼だった。撮影環境についてあれこれ想像してみる。色味や風合いに大きな違いが出てしまわないだろうか。風が強いと背景紙は大きな影響を受けるだろう。しかし、何事も挑戦。やってみないと分からないことは、とりあえずやってみる。ダメなら改善の道を探ればいい。トライ&エラーの精神で、この話を受けることにした。
撮影場所はクラブハウス2階のテラス。日陰になるところに背景紙をつるし、ストロボをセットする。準備を手伝ってくれた広報のTさんを相手にテスト撮影。パシャッ。
「おおおおおお、それっぽい!」
屋外で撮ったなんて、言わなきゃ分からない写真がそこには写っていた。
そして、いざ撮影! VAMOSの表紙はちょっと睨みをきかせたような目に力を入れたカットが多い。だから僕が撮るときは「僕を睨みつけてください! そう! ああああ、カッコいい!!」なんてベタなカメラマン風に声をかけることもあるし、写真撮影が苦手な選手のときは「眉間にシワを入れてみてください。目に力を!」なんて言うこともある。
黒川選手はマイペースで飾ることのない好青年だ。睨んでみて、とリクエストをすると「そういうの苦手なんですよ〜」と言いながらも応えてくれた。何枚か撮った後、リラックスした表情をお願いして撮影は無事に終了した。個人的には睨みを効かせたカットよりも、自然な笑顔の方が彼の人間性を表現できているから好きだ。
このコラムに掲載している写真は、その中の1枚だ。僕は原稿を通じて編集者にリクエストを出すことにした。結果は今号の表紙を見てのお楽しみです!
髙須 力 (たかす つとむ)
1978年、東京都出身。2002年に独学でスポーツ写真をはじめ、2006年よりフリーランスとなる。サッカーを中心に様々な競技を撮影。2007年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務めている。