小島幹敏【ちょい出しVAMOS】

今月末の発売に向けて制作中の『VAMOS』最新号は、小島幹敏選手が表紙を飾り、巻頭インタビューも掲載します。今回は、聞き手を担当したオフィシャルライターの粕川哲男さんが、取材秘話をちょい出ししてくれました。

話を聞いてみたい、そのわけとは

文=粕川 哲男/写真=早草 紀子

表紙の人選は難航していた。

年3回発行の大宮アルディージャマガジンVAMOS。高木琢也監督、黒川淳史選手に続いて、2020年の最後を締めくくる選手は誰がいいのか――。会議の参加者からは、何人かの名前が挙がっていた。

だが、長期中断、過密日程、続出したケガ人、まさかの順位を含めてあまりに想定外だった今シーズンだけに、個人成績を見ても適任と言い切れる選手が見当たらない。その時点で戦列に復帰していない選手が多かったことも、決定を長引かせた。

そんな中、僕の頭には一人の名前が浮かんでいた。小島幹敏選手である。

アカデミー出身の24歳は今年、苦しみながらも確かな成長を遂げていると感じていた。なかなか試合に絡めなかった序盤戦、徐々に出場機会をつかみながらも思うような結果を残せなかった中盤戦、小野雅史選手と一緒に中盤の底に定着してチームを支えた終盤戦と、少しずつではあるが階段を上っているように見えたのだ。

ゴールの枠を外れることが多かったシュートが枠内に飛び、時には得点にもなった。軽い守備は影をひそめるようになり、味方のカバーリングに走る場面やしっかりと体を張ってボールをつなぐ頑張りが目につくようになった。

試合を重ねるごとに攻守両面に及ぼす影響力が増し、気がつけば、背番号26はチームに不可欠な存在になっていたような気がする。

かつてないほど苦戦した今シーズンの大宮アルディージャにあって、それでも最後まで戦い抜き、選手としての幅を広げ、来シーズンへの希望と言える存在ではないだろうか。

第36節・ザスパクサツ群馬戦の翌日、リモートでの合同会見で記者仲間に語った「最近声を出すようになってきたんですよ。DAZN越しだと分かりませんかね」も、僕の心に引っかかっていた。彼に聞いてみたいことが、たくさんあった。

だから、提案させてもらった。

そうして実現したインタビューでは、十分に話を聞かせてくれた。正午前のスタートで昼食は食べていないとのことだったので、なるべく早く終わらせるつもりだったのだが、ICレコーダーの録音時間は、あっと言う間に50分に迫ろうとしていた。

VAMOSの表紙撮影&取材と言っても、予想どおり「特に思うことは……」と言っていたが、こちらの意図と思いを伝えると「それはうれしいですね」と、ニヤリとしてくれた。

 どんなときも飄々として、感情をあまり表に出さない小島選手が、今シーズンに感じ、考え、学び、実感として残った「成長の糸口」について。あるいは、サッカーの楽しさ、あるチームメートに対する思い、自身のこれからについて――。

それらの詳細は、ぜひ、VAMOSの巻頭インタビューでお楽しみください。

粕川 哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。

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