選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回は、2003年度生まれのオリオラ・サンデー 選手、若林学歩 選手、山崎倫 選手の仲良しトリオが登場。終始、にぎやかに普段の様子を話してくれました。
聞き手=戸塚 啓
3人それぞれの関係性は?
――同学年ということで、普段から一緒に行動することが多いですか?
山崎「まだあんまりないですね」
若林「3人一緒はまだないです。オレと倫、オレとサンデーっていうのが多い」
山崎「オフに一緒に出掛けよう、って話はしてるけどね」
若林「クラブハウスに居るときは、3人一緒が多いかも。サンデーが寮じゃないからなあ」
サンデー「寮の部屋がいっぱいで入れなかった。だから、ひとり暮らし」
若林「ときどき、オレがサンデーの家へ遊びに行くけど」
山崎「サンデーは印象どおりだよね。いつもワイワイ、ワイワイしてる。来る前からそんな感じなんだろうなと思ってて、そのとおり。社交的」
若林「オレはサンデーがアルディージャに来る前から知ってて。高校1年のときにサンデーの福知山成美高校とオレの狭山ヶ丘高校が対戦したんで、お互いに存在は知ってたよね」
サンデー「高校のときは、話したりはしなかったけどな」
若林「で、プロになってからInstagramとかでつながって、たまにメッセージのやり取りをしていました。時間があるときに遊ぼうなんて話してたら、チームメートになったからびっくり。同じアフリカにルーツがあるので、ノリとかテンションが似てる」
サンデー「雰囲気とかやることはほぼ一緒。今は一番仲が良い。アフリカの考え方を持ってるし。自分が学歩から勉強しているみたいな感じ」
若林「そんなこと普段言わないじゃん(笑)」
サンデー「倫は面白そうな人だな、というのが第一印象。ここに来て、最初に声をかけてくれた」
山崎「違うチームから来て大変だろうなあと思ってね。同い年だし」
若林「ノリとか波長が合う3人だよね。倫もちょっと日本人離れしてるって言うか、外国にルーツを持つ選手に慣れてる」
山崎「FC東京U-15深川にナイジェリア出身の選手が二人いて、メチャ仲が良かった」
若林「倫とは埼玉県選抜で一緒だったよね。で、寮に入るときに部屋が空いてなくて、一カ月ぐらい二人部屋になった。そしたら、ゴミをゴミ箱に捨てられない」
山崎「それは認める(笑)」
若林「一緒に住むのは無理だけど(笑)、寮にいたら連絡してるよね。買い物行ったり、ご飯食べに行ったり」
山崎「気が合うから」
若林「プロ1年目のシーズンにカタールW杯があって、大会中ずっと倫の部屋にいました。試合観て、寝て、ご飯食べて、また試合観て、の繰り返し(笑)」
山崎「学歩はメリハリがしっかりしてるよね。ピッチ内では真面目。あとさ、何か変なこだわりがあるよね」
若林「あるか~?」
山崎「何か、感じるときあるんだよ。サッカーでも、プライベートでも。何かちょっとあるんだよ~!」
若林「てか、サンデー、だいぶ馴染んでるよね」
山崎「ホント。すぐ馴染んだよね」
サンデー「自分は外国人だから、仲良くならないと自分が困る。早めに仲良くなって、何か問題があったら先輩とかに聞いて。それ、一番のストロングポイント。高校のときもめちゃ友だち多かった。日本語しゃべって、間違いを教えてもらって。学歩、何で笑ってる?」
若林「サンデー、俺のことすぐに馬鹿にするから」
サンデー「学歩がしゃべり過ぎやからや。てかさ、いつもご飯食べるのが遅い。あれ、ホンマにウザい」
山崎「確かに遅い」
若林「待たなくていいんだよ」
サンデー「一緒にご飯に行ったら、一緒に帰りたい」
若林「サンデーが食べるの早過ぎるんだよ。ここはナイジェリアじゃないんだから」
サンデー「また出た。すぐナイジェリアとか言う。すぐいじる」
若林「始める?ナイジェリアとガーナ(若林選手はガーナ人と日本人のハーフ)は、アフリカの中で一番バチバチな関係だから」
サンデー「でも、一番仲がいい」
若林「まあ、俺は日本で生まれて育ってるけど、サンデーは自分の国だからね」
サンデー「いじられても大丈夫だけど」
山崎「(杉本)健勇くんがご飯に連れて行ってくれたときも、いきなり始めたもんな」
――山崎選手は、ガーナとナイジェリアのどちらが好きですか?
山崎「学歩とは仲がいいですけど、ナイジェリアの人と多く接してきたというのはあるので……」
若林「うまく逃げたな(笑)」
山崎「それ以上は責めるな(笑)」
まとまらない共通の趣味
――3人共通の趣味などは?
若林「なんだろう、共通の趣味……」
サンデー「俺、卓球が好きやな。でも、やる場所がないな」
若林「(山崎を見ながら)卓球、うまいらしい。自分で言ってるだけだから、リアルかどうか分かんないけど」
サンデー「なんで?オレの言うこと信じろや。ホンマに強いで」
山崎「じゃあ行こうよ」
サンデー「3人で行きたいな。オレ、卓球とバドミントン、マジで強い」
若林「バドミントンは倫も好きだよね」
山崎「スポーツは何でも」
若林「オレ、他のスポーツったら何だろう……」
山崎「バスケじゃない?」
若林「バスケ、あんまりうまくないんだよなあ。ダンクシュートくらいしかできない」
山崎「それで十分(笑)」
若林「あ、高校生のときはスケボーやってた」
サンデー「スケボーはムズいわ。一番やりたいのは靴履いてやるヤツ……」
若林「ローラースケート?」
サンデー「うん、あれ。お兄ちゃんがナイジェリアでめっちゃやってて、ローラースケートで仕事に行ってた」
山崎「めちゃ面白いじゃん(笑)」
若林「ナイジェリアの道は大丈夫なの、ローラースケートできる?」
サンデー「ああ、車道ならコンクリートだから。学歩の趣味はゲームじゃない?」
若林「ゲームはサンデーといるときしかやらない。ああ、音楽好きだ。共通の趣味だ」
サンデー「オレはアフロビーツが好き」
若林「アフリカンの音楽ね。オレも聞かなくはない」
サンデー「日本の歌なら『ハナミズキ』。カラオケの文字は平仮名で書いてあるから、たぶんいけるで」
独特の発音問題
――サンデー、日本語の会話は問題ないけれど、読み書きは?
サンデー「カタカナは学校で習ったけど、最近は使わないので忘れてる。漢字は勉強してる」
若林「サンデーに英語教えてほしいわ」
サンデー「学歩、オレの英語めっちゃバカにする。アフリカの英語だから綺麗じゃないって」
若林「いや、分からないときがホントにあるんだって。アフリカ人特有のアクセントっていうか。オレらが日本で習っている英語と、サンデーたちの英語は違う。ホームセンターに一緒に行って、『学歩、コッターどこにある?』って聞かれて。サンデーが『見つけた』って言ったらカッターだった」
山崎「でも、サンデーの日本語は全然問題ないから」
若林「たまに分からない単語とかがあるぐらい」
サンデー「アルディージャに来る前、ヴァンラーレ八戸にいた。めちゃくちゃ寒いのを『やだら寒い』って言うんだけど、初めて聞いたときは意味分からんかった」
山崎「オレらでも分からないよ」
サンデー「電車の中で二人組が話していて、何を言ってるのか全く分からん。で、先輩に『あの人たちは日本人ですか、日本語をしゃべってますか?』と聞いたら日本語だよって。つがる弁は、全然分からなかった」
山崎「じゃあ、貫(真郷)も困ってるのかなあ」
若林「ラインメール青森FCだからな」
直してほしいことを言い合おう
――仲の良い3人ですけれど、ここは直してほしいな、ということがあれば。
サンデー「学歩はご飯を早く食べてほしい」
山崎「それはある」
若林「しつこい。迷惑かけてないだろ」
サンデー「倫に直してほしいことは、ここでは言えない(笑)。二人のときに言う」
若林「オレもあるけど、ここでは言えない。たぶん同じことだよ(笑)。あ、車の免許を取ってほしいわ」
山崎「普通にテストに受からない。真剣にやってるのに。ちょっともう、諦めてる。二人にも言いたいけど、ないんだよな。サンデーはまだ一緒に出掛けたこともないからなあ。学歩はマイペースなところかな」
若林「それがオレの良いところでもあるからな」
山崎「貫もマイペースだったけど」
若林「でも、倫だって遊びに行くとき、時間どおりに出たことないじゃん」
山崎「いや、あるわ。それは学歩が遅いから合わせてるだけ」
サンデー「学歩のマイペースはいいときも、悪いときもある」
若林「サンデーは二人でいるときに、誰かとやたらに電話する。あれは良くない。意味分からない」
――最後に、ちょっと真面目なお話を。若林選手はGK、二人はアタッカー。選手としていいな、と思うところを挙げてもらいましょう。
若林「倫はドリブルが特徴で、1対1になると嫌ですね。キュンキュンしてて動きも速い。ついていけないときも全然あるので。サンデーはシュートのパンチ力があって、いいコースに飛んでくる。タイプは違いますけど、それぞれ特徴があっていい選手だな、と思いますね」
山崎「学歩はセービングの伸びがすごいです。これは入ったろっていうシュートを止めちゃう、という感覚になることが多い。いろんなGK見てきたけど、すごいなって」
サンデー「身長が高いし、セービングにはいつもビックリさせられる。キックも長いのを蹴ることができる。徳島でスペイン人のホセ・アウレリオ・スアレスと一緒にやったけど、全然変わらない。それぐらいレベルが高い」
――うまくまとまりましたね。今日はありがとうございました。
3人「ありがとうございました」
戸塚 啓(とつか けい)
1991年から1998年までサッカー専門誌の編集部に所属し、同年途中よりフリーライターとして活動。2002年から大宮アルディージャのオフィシャルライターを務める。取材規制のあった2011年の北朝鮮戦などを除き、1990年4月から日本代表の国際Aマッチの取材を続けている。