【ライターコラム「春夏秋橙」】VAMOS優勝記念号発売直前企画。
インタビューの未掲載部分をご紹介!第1弾

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、11月24日に発売開始となる雑誌VAMOSの明治安田J3優勝記念号で、掲載し切れなかったインタビューの一部を紹介!クラブオフィシャルライターの戸塚啓さんが取材を担当した長澤徹監督、笠原昂史選手のインタビューと、浦上仁騎選手、村上陽介選手、市原吏音選手の鼎談の未公開部分をお届けします。

【ライターコラム「春夏秋橙」】戸塚 啓
VAMOS優勝記念号発売直前企画。
インタビューの未掲載部分をご紹介!
長澤徹監督、笠原昂史、浦上仁騎×村上陽介×市原吏音 編


未来への種蒔き

長澤監督の指導歴は幅広い。育成年代からJ1、J2のトップチームで、監督とコーチを務めてきた。

FC東京のU-15を預かっていた当時に、日本代表の練習へ足を運んだそうだ。FC東京で一緒に仕事をした大熊清さんが代表のコーチだった縁で、当時の日本代表のイビチャ・オシムさんと話をする機会を得たという。

「育成のコーチとは?という質問をしたら、『何歳の選手を見ているんだ?』と聞かれて、『13歳から15歳です』と答えると、『6年後を見ろ。そこを想像して仕事をしろ』と」

目の前の中学生がプロサッカー選手となるときに、世界のサッカー界はどうなっているか。今の子どもたちを今のサッカーに当てはめて考えるのでない──オシムさんはそう言ったという。

「めっちゃ深いなあ、と思いました」

トップチームを指揮する現在は、目前の勝利が何よりも求められる。今シーズンは1年でのJ2復帰がマストだった。そんな中でも、長澤監督は未来への種蒔きをしていたのではないだろうか。2024年に大宮でプレーした選手たちの6年後を、ゆっくりと、楽しみに、待つこととしたい。

GKでもあれがほしい

インタビューの終盤に、笠原選手が意外な告白をした。

「でもやっぱり、点取りたいっすよ。現役のうちに1点ぐらい、取りたいなあって……。引退するまでに、ですよ。1点ぐらい記録残したいな、なんて欲はありますけど」

そこからGKで得点を決めた選手の話になり、「PKを蹴らせてもらう、というのは?」と聞く。笠原さんはかぶせ気味に「蹴りたいなあ」と答えた。

「ひそかに、たまに練習しているんですけど、僕が選ばれることはないかなあ。でも、点取るより無失点のほうがうれしいかなあ、やっぱり」

1点ぐらい取りたい、という気持ちは良く分かる。クリーンシートのほうがうれしい、という気持ちはもっと分かる。

3人の連係に救われたピンチ

浦上選手、村上選手、市原選手による鼎談で、しくじってしまった。村上選手に話を振るところで、「藤井さん」と呼び掛けた。自分でも分からないけれど、なぜか、そう言ってしまった。

「???????????」

村上選手だけでなく浦上選手と市原選手も、頭の中は「?」でいっぱいだっただろう。僕が気づかないと、鼎談は止まったままだ。

3秒後か、5秒後か。10秒は経たなかったと思う。自分のやらかしに気づいた僕は、「村上さん、ごめんなさい!!」と謝った。村上選手は「全然大丈夫です、大丈夫です」と、こちらが恐縮するぐらいに優しい。浦上選手と市原選手は「そこはうまく笑わせなきゃ」と、村上選手に笑顔で突っ込む。やってはいけないミスをしたおかげで、はからずも3人の連係の良さに触れることができた。


VAMOS優勝記念号では、長澤監督、笠原選手が単独で、浦上選手と村上選手、市原選手が鼎談形式で今シーズンの戦いを振り返っています。11月24日(日)からオレンジスクウェアとNACK5スタジアム大宮で発売を開始! ぜひお買い求めください。


戸塚 啓(とつか けい)
1991年から1998年までサッカー専門誌の編集部に所属し、同年途中よりフリーライターとして活動。2002年から大宮アルディージャのオフィシャルライターを務める。取材規制のあった2011年の北朝鮮戦などを除き、1990年4月から日本代表の国際Aマッチの取材を続けている。

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