インタビューの未掲載部分をご紹介!第2弾
ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、11月24日に発売開始となる雑誌VAMOSの明治安田J3優勝記念号で、掲載し切れなかったインタビューの一部を紹介!クラブオフィシャルライターの粕川哲男さんが取材を担当した石川俊輝選手と小島幹敏選手の対談と、杉本健勇選手のインタビューの未公開部分をお届けします。
【ライターコラム「春夏秋橙」】粕川 哲男
VAMOS優勝記念号発売直前企画。
インタビューの未掲載部分をご紹介!
石川俊輝×小島幹敏、杉本健勇 編
今季は練習の雰囲気が違う
石川選手と小島選手の対談は10月30日に行われた。優勝を決めた今治戦から10日が過ぎており、さすがに目標達成の余韻は感じられなかった。
今シーズンの大宮は試合に勝っても負けても「次」が合言葉。試合に絡んでいる選手も絡んでいない選手も、みんなが日々の練習で全力を尽くしている。取材当日の午前練習は喜名哲裕ヘッドコーチが取り仕切っていたのだが、選手たちの本気度は少しも変わらず、いつもと同じく、質の高いプレーを求める声や仲間への檄が飛んでいた。
決して緩むことのない練習の緊張感について、キャプテンの石川選手は「(長澤)徹さんに言われてやっているようではダメだし、徹さんがいないからといって、質や熱量が下がるようなことはあってはいけない。そのような雰囲気が少しでも感じられるなら、まだまだ自分たちが甘いということです」と冷静で、レベルの高い日常が当然と言いたげだった。
今季は多くの選手が「練習がすべて」と言う。石川選手も同じだ。
「やっぱり、練習なんですよ。毎週ちゃんと練習でやっていることが試合に出ているので、選手同士で『細かいところこそ、こだわらないといけないよね』と言っています。ビッグプレーに見えても、実は普段の練習から出ていることなんですよ。最後まで諦めないとか、最後の一歩を出すとか、細かいところですけど、その一歩で大きく変わるっていうことを、みんなが実感しているはずです」
小島選手も選手全員が練習で発する気迫に関して、「(J2優勝を果たした)2015年が緩かったとは思わないけど、今年ほどピリッとしたムードじゃなかった」と、自分自身のプロ1年目と比較しつつ今季の充実ぶりを教えてくれた。
プロ10年目の小島選手は長澤監督の信頼を勝ち取り、ここまで全試合に出場している。
「いやぁ、徹さんに使ってもらって、信頼されてるのかなと思いながらですね。練習でも言われるんです。気を抜かせないような言葉を。ミスしたら『寝てんのか!』とか。その感じがいいんですよね。28歳とかになると、少しミスしたくらいじゃあんまり言われないじゃないですか。でも、違う。選手に気を抜かせない雰囲気を作ってくれるんです」
ちなみに、36試合を終えた今季のJ3リーグでフルタイム出場の可能性を残すのは笠原昂史選手、小島選手、三浦基瑛選手(相模原)の3人。小島選手は唯一のフィールドプレーヤーだ。
判定も含めてサッカーの面白さ
杉本選手は、今季自身10点目を決めた鳥取戦の5日後にインタビューに答えてくれた。誌面に未掲載の面白かった話は、審判について。今季はVARがないこともあって不可解な判定もあったが、不動のエースは「それもサッカーの面白さ」と気にしていない。
「どれだけ誤審があったんやろうって。それは今季のJ3の話じゃなく、サッカーの歴史で。たぶんすごい数でしょ。ただ、そこに関して逆らうことはできない。試合中は腹立つんで言ってまうこともあるけど、審判がいないと試合は成り立たないから、終わったら感謝とリスペクトの気持ちを伝えるようにはしています。
オフサイドとか普通に難しいじゃないですか。あんなギリギリ見えないでしょ。そりゃ間違うこともある。みんなはビデオで確認してるから『これは』とか言えるけど、『実際やってみなよ』と思う。今シーズン、なんでやねんって思う場面もあったけど、自分たちが助けられた場面もある。それも含めてサッカーなんで、J1に行くしかないって気持ちは持ちながらも、俺は、ないならないでおもろいなと思いますけどね」
VAMOS優勝記念号では、石川選手と小島選手が対談形式で、杉本選手が単独でJ3優勝を達成した今シーズンの戦いを振り返っています。11月24日(日)からオレンジスクウェアとNACK5スタジアム大宮で発売を開始! ぜひお買い求めください。
粕川 哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。