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マンスリープレーヤーインタビュー

マンスリープレーヤーインタビュー フアンマ デルガド

偶然による出会い

 スペイン人フットボーラーには、難しい質問だったかもしれない。「何歳からサッカーを始めたか?」と聞くと、苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。

 「ハッキリとは言いにくいのですが、友達と公園で遊んだりして、小さいころからやっていました。本格的に始めたのは12歳か13歳ぐらいで、ポジションはずっとFWです。点を取ることが大好きでした。サッカー選手になりたいという夢はありましたが、だからといって簡単になれるものではないことも分かっていました」

 最後のひと言には実感がこもっている。プロとしての起点は、スペイン3部のクラブである。トップリーグへのデビューは、ギリシャで果たした。

 「アラベスにいたとき、スペインの3部から2部へ昇格したタイミングでトリポリスからオファーがきました。トップリーグでプレーしていたいと思っていましたから、新しいチャレンジすることに決めました。ギリシャでは2つのクラブで2シーズンプレーし、さらにステップアップとしてスコットランドのクラブへ移籍しました。ヨーロッパリーグの予選にも出場することができましたが、監督が代わって自分ではないストライカーが重用されるようになり、スペイン2部のクラブへ戻りました。そこで半年間プレーした後に、V・ファーレン長崎へ移籍することになるのです」
  •  日本行きを後押ししたのは、サッカー界でしばしば起こる偶然だった。リストアップした選手が期待どおりではなく、別のチームに目を向けたところで理想のタイプに出会う、というものだ。

     「高木監督がセンターFWを探しにヨーロッパへ来て、聞くところによれば、最初はオランダへあるFWを見に行ったけれど、ちょっとイメージに合わなかったとか。その後に僕の試合を見て、気に入ってくれたそうです」

     極東からのオファーに、戸惑いはなかったのだろうか。フアンマ デルガドは、ほとんど間を置くことなく「なかったですね」と答える。
  • フアンマ デルガド01
 「日本に関する知識は、世界地図を見ても、日本がどこなのか分からないぐらいでした(笑)。それは冗談ですが、友人や兄弟が旅行に行ったことがあり、『日本は世界で一番いい国だ』と話していました。ギリシャやスコットランドへ移籍したこともあったので、他の国へ行くことへの不安はなかったですね。自分の人生の新たな冒険として楽しみでもあったので、迷わずにオファーを受けました。実際に来てみると、本当に素晴らしい国でした」

 来日から1、2か月は、「さすがにちょっと、ホームシックみたいになりましたね」と笑う。それでも、「自分の国ではなく、他の国でプレーするのは、サッカー選手ならよくあることです。選手としても人間としても成長できますから、今はとても満足していますし、楽しんでいますよ。日本はとても安全で、人々は礼儀正しい。日本の食べ物も大好きです。スペイン料理が10点だとしたら、日本料理は9.5点ですね(笑)」


失点を減らすことが重要

 日本のサッカーについてはどうだろう。長崎での1シーズン目はJ2で32試合に出場して11ゴールをマークし、J1へ昇格した翌シーズンは31試合出場で6ゴールを記録しているから、スムーズにフィットしたと言えそうだ。

 「J1もJ2もとても競争力があり、実績のある外国籍選手でも苦労することがあります。今シーズンのJ2も難しいリーグとなっていて、どの試合も力が抜けません。それは当たり前のことですが、本当に僅差の試合が多い。練習から100%の準備をし、試合で最大の力を出さないと勝てないのです。大宮はポテンシャルを持った選手がそろっているクラブですから、しっかりとした準備をして試合に臨めば、自分たちの望む結果が得られるはずです」

 フアンマの言葉を借りるまでもない。上位から中位までの勝点差が詰まった状態は、まだしばらく続くと見ていいだろう。

 「長崎でのJ1昇格は、とても良い経験になりました。当時を振り返って僕が考える昇格のポイントは、失点を減らすことです。無失点で抑えれば、ワンチャンスで勝てる試合もある。とにかく失点を減らすことが、昇格するために重要だと思います」

 今シーズンからチームを率いる高木琢也監督は、横浜FCと長崎をJ1に昇格させた経験を持つ。それもまた、アルディージャの強みとなる。

 「高木監督は選手との距離感も近くて、頻繁にアドバイスをしてくれます。長崎でプレーしていた当時から、サッカー以外のところでも自分のために協力してくれている。僕を信用して使ってくれていることに感謝しています。日本代表選手として実績を残していることも聞いていますし、監督としてはもちろん優秀だと思います」
  • フアンマ デルガド02
  •  19シーズンを戦うフアンマには、特別なモチベーションがある。

     「年内に家族が一人増えます。妻が妊娠しているのです。生まれてくる子どもが日本語だけしか話せないことがないように、スペイン語も教えないといけないですね(笑)」

     フットボーラーとしての充実期を日本で過ごすフアンマは、「まだまだ日本でプレーしたい気持ちは強くて、あと5年でも6年でもやりたい。それが大宮なら最高ですね」と話す。
 一見すると強面だが、実はとても人当たりの良い28歳は、メディアやファン・サポーターへの対応が丁寧だ。そして、サッカーと真摯に向き合っている。

 「今はとにかく、J1昇格のために勝点を積み重ねていくこと。それだけに集中していきます」と、チームへの忠誠を誓うのである。


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