Vol.040 田口 和生
行動力
サッカー経験者は多くても、GK経験者となると、一気に貴重な存在になるのではないでしょうか。単純計算でも10分の1に減りますよね。この春夏秋橙では、笠原昂史選手や昨年まで在籍した藤原寿徳GKコーチのエピソードを紹介してきました。未知の世界である彼らの話は、興味深いものです。
3~4人くらいの選手、GKコーチ、数人のスタッフだけで行うGKのみの練習は、コーチによってトレーニング方法や雰囲気が大きく変わります。そこで今回は、今シーズンよりチームに加わった松本拓也GKコーチを紹介したいと思います。
「ピッチャーの出来次第で、チームの勝敗が、その他の選手の運命が決まってしまうことに疑問を感じたんです。これは、どうなのかなと。でも、サッカーはみんなで一緒に頑張れるし、サッカーの勝敗はチーム全員で頑張った結果なんじゃないかなと」
そこからの行動力が素晴らしい。サッカーを始めて約2年後には、高校の部活から柏レイソルユースへ転籍。顧問の先生の勧めで、最初は練習生として参加したそうです。現在ほど敷居が高くなかった時代とはいえ、能動的に動かなければステップアップのチャンスはつかめません。運動神経も抜群だったのでしょう。
高校卒業後はドイツへ留学。両親を説得し、当時では珍しい海外でのチャレンジに挑みました。ウンターハッヒング ユースから同アマチュアへと進んだ後、00年に現役を引退して指導者の道に進みます。指導歴などについては、先日更新した
トップチーム選手・スタッフのプロフィールをご覧ください。
プロと呼ばれる人たちは、一様に勉強熱心です。本人は純粋に楽しんでいるのかもしれませんが、非常に努力家です。常に成長しよう、最新の情報を取り入れようとする姿勢には、感心するばかり。きっと、松本コーチも自分自身の引き出しを増やしながら、選手たちの成長やチームの勝利に貢献してくれるはずです。
ただ、オフタイムは子煩悩なお父さん。テレ玉『Ole!アルディージャ』のインタビューで答えていましたが、1年弱の1.FCカイザースラウテルン(ドイツ)での研修中は、家族に会えなくて「ホームシックになった」とか。沖縄キャンプ中も、テレビ電話をしては頬を緩めていました。
田口 和生 (たぐち かずお)
週刊サッカーマガジン編集部に勤めた後、スポーツクラブ勤務などを経て、2014年10月より大宮アルディージャ広報グループに。高校選手権の県予選で一度だけ、改修前の大宮サッカー場でプレーしたのが良い思い出。