ピッチで戦う選手たちの素顔や魅力を伝えたい。これまで書き切れなかった情感を伝えたい。『Vamos』やマッチデープログラムなどの取材から映る景色を、クラブオフィシャルライターの視点で、たまに広報・プロモーション担当の視点で、お届けします。
Vol.006 岩本 勝暁
もう一度、心に
10年以上も前になるが、サッカー少年少女に向けた小冊子を年に一度、作っていたことがある。充実した内容だった。全日本少年サッカー大会をはじめ、Jリーグや日本代表、ワールドカップに関する記事。ルールの確認やケガの予防、食事、水分補給などジュニア年代の体づくりに必要な情報が、限られたページの中にぎっしり詰め込まれていた。
特に力を入れていたページがある。「フェアプレー宣言」だ。『どうしてルールがあるのかを考えてみよう』というところから始まるページには、要約すると次のようなことが書かれていた。
相手チームの選手は“敵"ではなく、一緒にサッカーを楽しむ“仲間"だ。だから、思いやりの心を持ってプレーしなければいけない。仲間を傷つけるような反則はもってのほか。もしも試合中に誰かがケガをしたら、レフェリーの判断を待とう。ボールを外に蹴り出して、試合を止めることもできる。試合が再開されたときは、相手にボールを返すフェアプレーのマナーも忘れずに。お互いに「ありがとう」の気持ちでプレーすることが大切なんだ。
同ページには『気持ち良く試合をするために、相手チームの選手と握手をしよう』や、『レフェリーを信頼し、敬おう』といったことも綴られている。Jリーグでも、試合前に両チームの選手が握手を交わすのは、もはや当たり前の光景になった。