ピッチで戦う選手たちの素顔や魅力を伝えたい。これまで書き切れなかった情感を伝えたい。『Vamos』やマッチデープログラムなどの取材から映る景色を、クラブオフィシャルライターの視点で、たまに広報・プロモーション担当の視点で、お届けします。
Vol.014 平野 貴也
秘密兵器?
8月も半ばを迎えた。まだまだ暑さが消え去る様子はないが、暦を見てみると、少しずつ秋がやって来ていることに気付く。明治安田生命J2リーグは、第28節を終えて残り14試合となった。1試合を終えるごとに、勝点1が重みを増していく。ファン・サポーターの皆さんも、視線は未来に向いていることだろう。
だが今回は、ちょっと過去を振り返ってほしい試合がある。もちろん、嫌なことを思い出すつもりはない。七夕の7月7日に、我々はアウェイでジェフユナイテッド市原・千葉と戦った。3-1で逆転勝利を収めた日だ。マテウスの得点で追いつき、富山貴光がトラップをミスしながらも豪快なボレーシュートをたたき込んで逆転し、大前元紀がダメ押しゴールを入れた試合だ。
この日、「おっ」と思った場面があった。後半アディショナルタイムに得た直接FKの際、キッカーに横谷繁と河面旺成が並んだのを、お気付きになっただろうか。チームには、マテウス、嶋田慎太郎、中村太亮と左利きのキッカーがそろっている。同じく左利きの河面には高さ、速さがあり、セットプレーではゴール前で合わせたり、相手のカウンターに備えたりする役目が多く、珍しいシーンだった。
「今週は、自主練習でFKを蹴ろうと思っていたんですけど、先週の愛媛戦では自分のところをロングボールでやられてしまったので、ロングボール対策に切り替えていたんですよ」という答えが返ってきた。
これから迎えるシーズン終盤戦、まだ見ぬ秘密兵器、河面の直接FKに出番はあるのだろうか。それとも秘密のままなのだろうか?
平野 貴也(ひらの たかや)
大学卒業後、スポーツナビで編集者として勤務した後、2008年よりフリーで活動。育成年代のサッカーを中心に、さまざまな競技の取材を精力的に行う。大宮アルディージャのオフィシャルライターは、2009年より務めている。
※冒頭の写真提供は筆者