明治安田生命J2リーグ 第16節
2015.5.31 [SUN] 16:00
NACK
大宮
- 90+1' 清水 慎太郎
- 90+4' ムルジャ
2
-
0
0
前半
0
2
後半
0
福岡
試合経過
メンバー
スターティングメンバー
GK 1 加藤 順大
DF 13 渡部 大輔
DF 2 菊地 光将
DF 3 河本 裕之
DF 22 和田 拓也
MF 18 横山 知伸
MF 5 カルリーニョス
MF 17 横谷 繁
83'
MF 39 泉澤 仁
70'
FW 41 家長 昭博
FW 11 播戸 竜二
63'
控えメンバー
GK 21 塩田 仁史
DF 28 福田 俊介
DF 27 今井 智基
MF 15 大山 啓輔
MF 10 渡邉 大剛
83'
FW 14 清水 慎太郎
70'
FW 8 ムルジャ
63'
監督
渋谷 洋樹
スターティングメンバー
GK 1 神山 竜一
DF 4 イ グァンソン
DF 2 濱田 水輝
DF 19 堤 俊輔
MF 18 亀川 諒史
MF 22 中村 北斗
79'
MF 33 鈴木 惇
MF 15 末吉 隼也
68'
MF 10 城後 寿
FW 20 酒井 宣福
FW 9 中原 貴之
87'
控えメンバー
GK 25 笠川 永太
DF 3 阿部 巧
79'
DF 21 高 准翼
MF 6 森村 昂太
MF 8 中原 秀人
68'
FW 7 金森 健志
FW 11 坂田 大輔
87'
監督
井原 正巳
試合詳細
21 | シュート | 7 |
---|---|---|
10 | GK | 11 |
8 | CK | 1 |
15 | 直接FK | 9 |
3 | 間接FK | 4 |
0 | PK | 0 |
試合データ
主審
東城 穣
副審
亀川 哲弘
副審
和角 敏之
第4の審判員
員 森川 浩次
入場者数
8,543人
天候
晴、弱風
ピッチ状態
全面良芝、乾燥
気温/湿度
30.3℃/12%
清水慎、ムルジャの得点でゆりかごダンス、土壇場の2発で首位堅持
試合後のムードが、最高だった。終了間際の劇的な連続ゴールと、26日にGK塩田の第一子が生まれたことを祝福するゆりかごダンス。喜びの輪が二重、三重とふくらんだ試合だった。明治安田生命J2第16節 福岡戦は、首位に立って初めて臨んだゲームだ。追われる立場は、追う立場より難しいと言われる。対戦相手の立場で考えれば、分かりやすい。首位をたたけば差は縮まり、自信を得られる。当然、モチベーションは高まる。そんな相手との対戦が楽であるわけがない。それでも、先に他会場で行われた試合で3位の磐田が引分け、4位の千葉が敗れたため、後続を引き離す勝利が欲しいという状況でキックオフを迎えた。
序盤から大宮が主導権を握り、5バック気味に守る福岡がカウンターでFW中原貴に集める試合展開が続いた。最初の決定機は、20分。ハーフウェーライン付近でボールを奪った和田が速攻を仕掛け、泉澤との大きなワンツーで左サイドを駆け上がってクロスを送ると、播戸、横谷と飛び込んでチャンスを作った。しかし、22分には、昨季は大宮に所属していた福岡の中村に鋭いクロスを放たれてヒヤリとした。2度目の決定機は、32分だ。カルリーニョスとのパス交換から泉澤がドリブルを仕掛け、相手が守備を固めているバイタルエリアに侵入。粘ってキープしたボールを横山が受け取り、ゴール前へ流れ込んで来た横谷がシュート。しかし、混戦の中からクリアされてしまった。前半は敵将である井原監督に「やりたい放題」と言わしめた内容だったが、スコアは動かず。詰めの甘さは、後半に響いた。
最終ラインを押し上げた福岡に中盤でボールを奪われる場面が増え、攻めあぐねた。60分以降は選手交代を行って攻撃を促進。77分、左サイドでカルリーニョスの縦パスが通り、家長のクロスにムルジャが合わせたが、GKに防がれた。83分には渡邉を投入。攻撃の起点を右で作って左で仕留める形に持ち込んだが、ゴールは遠かった。得点が生まれないままに90分が経過し、勝点1の足踏みになるかと思われたが、終盤にドラマが待っていた。家長が右へ展開すると、ムルジャが勢いよく駆け上がってクロス。そこへ「自分でシュートを打つんじゃないかと半信半疑だったけど、最近は左から走り込む形を練習でやって来た」という清水慎が飛び込んで、今季初ゴールとなる先制点を挙げた。「(ムルジャの得点をアシストした)大分戦のお返しだよと言われた」と清水慎。相性の良さを感じさせるコメントだ。そして、投入直前に塩田と約束したというムルジャは、タッチライン際でベンチのメンバーを呼び寄せ、ゆりかごダンスを披露した。相手がクイックリスタートを仕掛ける恐れがあり、数名の選手は奇襲に備えたが、ムルジャは「ビデオで見れば分かるけど、実は、私は敵陣にいたんだ。だからリスタートはできないはずだよ」と意外にも冷静だった。
そして、その3分後には渡邉のスルーパスで抜け出たムルジャがGKとの1対1を決めてダメ押しの追加点。3試合連続得点のムルジャだけでなく途中出場の清水慎、渡邉が2得点に絡み、チームの総合力を示す試合となった。2回の得点時と勝利後、計3回のゆりかごパフォーマンスを受け、塩田は「何人、生まれたんだって感じだよね」と少し恥ずかしがりながらも喜び、笑顔が絶えなかった。難しい試合でも最後には勝利の喜びが待っている。次も勝ちたいと強く思わされる幸せな勝利だった。
(総評:平野貴也/写真:早草紀子)
序盤から大宮が主導権を握り、5バック気味に守る福岡がカウンターでFW中原貴に集める試合展開が続いた。最初の決定機は、20分。ハーフウェーライン付近でボールを奪った和田が速攻を仕掛け、泉澤との大きなワンツーで左サイドを駆け上がってクロスを送ると、播戸、横谷と飛び込んでチャンスを作った。しかし、22分には、昨季は大宮に所属していた福岡の中村に鋭いクロスを放たれてヒヤリとした。2度目の決定機は、32分だ。カルリーニョスとのパス交換から泉澤がドリブルを仕掛け、相手が守備を固めているバイタルエリアに侵入。粘ってキープしたボールを横山が受け取り、ゴール前へ流れ込んで来た横谷がシュート。しかし、混戦の中からクリアされてしまった。前半は敵将である井原監督に「やりたい放題」と言わしめた内容だったが、スコアは動かず。詰めの甘さは、後半に響いた。
最終ラインを押し上げた福岡に中盤でボールを奪われる場面が増え、攻めあぐねた。60分以降は選手交代を行って攻撃を促進。77分、左サイドでカルリーニョスの縦パスが通り、家長のクロスにムルジャが合わせたが、GKに防がれた。83分には渡邉を投入。攻撃の起点を右で作って左で仕留める形に持ち込んだが、ゴールは遠かった。得点が生まれないままに90分が経過し、勝点1の足踏みになるかと思われたが、終盤にドラマが待っていた。家長が右へ展開すると、ムルジャが勢いよく駆け上がってクロス。そこへ「自分でシュートを打つんじゃないかと半信半疑だったけど、最近は左から走り込む形を練習でやって来た」という清水慎が飛び込んで、今季初ゴールとなる先制点を挙げた。「(ムルジャの得点をアシストした)大分戦のお返しだよと言われた」と清水慎。相性の良さを感じさせるコメントだ。そして、投入直前に塩田と約束したというムルジャは、タッチライン際でベンチのメンバーを呼び寄せ、ゆりかごダンスを披露した。相手がクイックリスタートを仕掛ける恐れがあり、数名の選手は奇襲に備えたが、ムルジャは「ビデオで見れば分かるけど、実は、私は敵陣にいたんだ。だからリスタートはできないはずだよ」と意外にも冷静だった。
そして、その3分後には渡邉のスルーパスで抜け出たムルジャがGKとの1対1を決めてダメ押しの追加点。3試合連続得点のムルジャだけでなく途中出場の清水慎、渡邉が2得点に絡み、チームの総合力を示す試合となった。2回の得点時と勝利後、計3回のゆりかごパフォーマンスを受け、塩田は「何人、生まれたんだって感じだよね」と少し恥ずかしがりながらも喜び、笑顔が絶えなかった。難しい試合でも最後には勝利の喜びが待っている。次も勝ちたいと強く思わされる幸せな勝利だった。
(総評:平野貴也/写真:早草紀子)
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選手コメント
GK 1 加藤 順大
福岡はクロスからターゲットマンとなる中原貴選手や酒井選手に合わせてくるという話でしたが、シュートを枠に打たれるようなシーンでも冷静にボールを見ることができる余裕がありました。それは、今のディフェンス陣は誰が出ても、しっかり体を当ててるなど球際の部分で負けていないからだと思いますし、バランスを崩すことなく良く守れているからだと思います。
MF 5 カルリーニョス
相手の守備が堅く大柄な選手が多かったこともありフィニッシュまで持ち込むことが難しい展開でした。しかし、我々は焦れることなく持てる力を出し切ることができたと思います。最後に勝ち切るんだという強い気持ちをみせることもできました。我々と最後まで一緒に戦ってくれたサポーターの皆さんには心から感謝しています。次も一人でも多く来て後押しをしてほしいです。
FW 8 ムルジャ
塩田選手には、決めたらパフォーマンスをやると話していたので、今日の勝利は生まれたばかりの彼の息子さんに捧げる勝利です。J2優勝という目標に向かい、全員がチームの一員として責任を果たし、全力を尽くして雰囲気良く戦うことができています。しかし、実は首位に居続けることが一番難しいので、今まで以上にしっかりとやっていきたいです。
GK 21 塩田 仁史
ムルジャがピッチに入る前に『ゴールを決めるから一緒に”ゆりかごダンス”をしよう』と言ってくれました。気持ちの良い一撃を決めてくれた親友に感謝したいです。サポーターの皆さんも、いつもは肩を組んで歌うところで”ゆりかご”をしてくれて本当に感動しました。想像していなかったし、ピッチから見上げたあの”ゆりかご”の景色は忘れません。本当にありがとうございました。
福岡さんは守備がしっかりしていると分析していました。相手が前からプレスに来ることも想定していましたが、最初から5-4-1をしっかりつくってきたので、自分たちがボールを持つ時間が長くなる中で、前半はああいう形になるだろうと考えていました。そんな中で、足を振れば(思い切ってシュートを打てば)相手の足に当たって得点が入ることがありますので、そういう形でも点が入ればいいなと思っていました。
前半、一番良かったのは切り替えの部分です。我々が攻撃した後で、インテンシティー(プレーの強度)を高く守備をして、相手を押さえてくれました。ただ、ピンチも3回くらいありましたので、さらに精度を上げていかなくてはいけないと思いますが、前半は全体的に隙なくやってくれたと思います。
後半最初の15分くらいは少し足が止まっている部分があったので、ボールを受けたら前方のスペースへ流れてもらい、陣地を挽回する狙いでムルジャを投入しました。慎太郎が点を取ったシーンでは、彼も50メートルくらいの距離を走ってくれました。彼はああいうパワーのある選手なので、点が取れて良かったですし、最後にムルジャが勝利を決定付けるゴールを決めてくれたことは、チームにとって非常に大きいと思います。
また先日、男の子が生まれた塩田選手のために、ゆりかごパフォーマンスができたこともうれしく思います。選手たちがチーム一丸となっていることを強く感じましたし、塩田選手のためにゴールを取ろうという今日のような思いが、勝利につながっていると思います。今後も厳しい試合が続きますが、6月は試合の間隔が1週間ずつありますので、良い形で準備をして、全員で戦っていきたいと思います。
Q.ゴールを決めた清水慎選手について、練習から左サイドで試されていた意図と、今日の評価をお願いします。
彼が後ろから飛び出していくとか、スピードを持ってゴール前に入り込んでいくプレーは、常に私の頭にありましたし、守備もしっかりとやってくれていました。右サイドに大剛を置いたのも、慎太郎にクロスに飛び込んでもらいたかったからです。前半は仁とアキが左サイドでキープし、右サイドの繁が飛び込むという狙いでしたが、後半は右でボールの落ち着きどころを作って左で仕留めるイメージでした。
彼にとっては経験の少ないポジションなので細かな要求はありますが、彼もストライカーとして点が取れずに悩んでいましたし、最後まで走るという部分が結果につながってうれしく思います。選手たちには私からも、熱いけど最後まで走りきろう、運動量で相手を上回ろうと伝えていたので、それが結果につながった良かったです。
Q.ゆりかごパフォーマンスの最中で、相手にキックオフされてしまいそうな状況でした。気が付いた選手がいたから良かったですが、監督としてはいかがお考えでしょうか。
私自身、ゆりかごパフォーマンスのことは頭から抜けてしまっていました。ゴールして普通に自陣に戻ると思っていたら、ああそうか、という感じで。2点目が入ったときは、全員が自陣に戻ってしまうとキックオフされてしまうと思ったので、すぐに選手を戻しました。思えば、確かに昨日はパフォーマンスの話をしていたのですが、試合ではすっかり頭から抜けてしまっていました。
Q.ロスタイムまで得点が入らなかった点は課題かと思いますが、監督はどうお考えでしょうか。
そうですね。前半はもう少しサポートの距離を縮めたり、そのエリアに入っていったりという動きを、もっとやらなくてはいけないと思いました。加えて、前半のメンバーは高さがあるわけではないので、最後の精度を意識することも大切です。あとはボランチの関わりを、もう少し精度を高めていかなくてはいけないと思います。サイドを崩しても、ゴール前で相手の人数が足りている状態では守られてしまうので、セカンドを拾ってシュートを打つということを意識していきたいです。また、選手にも伝えましたが、シンプルにプレーすることを忘れないようにすることが大切です。今日も最終的に得点につながった場面もそうですし、スペースに走り込んでそこにボールを入れるという意識を、もう一度選手たちにも植え付けていきたいと思います。相手がしっかりと守備を整えた状態を打ち破るのは非常に難しいので、もっと違った形で点が取れるようにしていきたいですし、相手がしっかりと守備してくるのは当然ですから、もっともっと精度を高めていきたいと思います。ここまで攻撃の話ばかりでしたが、守備で失点ゼロに抑えている点は、選手たちの危機感、隙のなさ、止まらないなどがあるからで、そういう点をもっともっと高めて、相手に1本でもシュートを打たさないようなサッカーをしたいと思います。現時点で少なからず相手にシュートを打たれているということは、もっとプレッシャーを掛けられる部分があるでしょうし、ボールの失い方が悪いときなどがあるでしょうから、まだまだ精度を上げていきたいと思います。