明治安田生命J2リーグ 第41節
2015.11.14 [SAT] 16:00
NACK
大宮
- 69' ムルジャ
- 81' ムルジャ
- 87' 家長 昭博
3
-
2
0
前半
0
3
後半
2
大分
- 49' オウンゴール
- 54' 若狭 大志
試合経過
メンバー
スターティングメンバー
GK 1 加藤 順大
DF 13 渡部 大輔
DF 2 菊地 光将
DF 3 河本 裕之
DF 20 大屋 翼
MF 5 カルリーニョス
MF 18 横山 知伸
MF 10 渡邉 大剛
56'
MF 14 清水 慎太郎
66'
FW 41 家長 昭博
FW 8 ムルジャ
90'
控えメンバー
GK 21 塩田 仁史
DF 28 福田 俊介
90'
DF 34 片岡 洋介
DF 22 和田 拓也
MF 39 泉澤 仁
56'
FW 9 富山 貴光
66'
FW 11 播戸 竜二
監督
渋谷 洋樹
スターティングメンバー
GK 1 武田 洋平
DF 15 鈴木 義宜
DF 16 安川 有
DF 35 ダニエル
DF 5 若狭 大志
MF 17 松本 怜
MF 8 西 弘則
18'
MF 14 松本 昌也
78'
MF 11 為田 大貴
FW 27 三平 和司
FW 18 伊佐 耕平
65'
控えメンバー
GK 22 修行 智仁
DF 2 山口 貴弘
MF 24 姫野 宥弥
78'
MF 4 キム ジョンヒョン
18'
FW 39 荒田 智之
65'
FW 43 パウリーニョ
FW 13 高松 大樹
監督
柳田 伸明
試合詳細
16 | シュート | 10 |
---|---|---|
8 | GK | 8 |
7 | CK | 5 |
6 | 直接FK | 13 |
1 | 間接FK | 0 |
1 | PK | 0 |
試合データ
主審
野田 祐樹
副審
村田 裕介
副審
津野 洋平
第4の審判員
柿沼 亨
入場者数
10,595人
天候
曇時々雨、無風
ピッチ状態
全面良芝、水含み
気温/湿度
14.1℃/87%
2点差から終盤に大逆転!J2優勝・J1復帰が決定!
ホーム最終戦で歓喜のドラマが待っていた。この1年間、目標としてきたJ2優勝は、大勢のファン・サポーターの前でかなえられた。先に試合を終えた2位の磐田が横浜FCと引分け、勝てば優勝が決まるという状況でキックオフを迎えたが、試合は先に2点を失う苦しい展開となった。しかし後半、ムルジャの2得点と家長が決めたPKで大逆転。5分という長いアディショナルタイムは全員が走力を惜しまずに守備で体を張り、3-2というスコアで勝利。ホイッスルと同時に控え選手が一斉にピッチへなだれ込み、スタンドの観客も一斉に立ち上がった。
2得点とPK獲得で大きく勝利に貢献したムルジャは、「2点目を決めて同点に追いついたとき、スタジアム全体から背中を押すようなすごい力を感じた。目標を達成できて、本当にうれしい。約1年前の12月6日に、このスタジアムでJ1からの降格が決まり、私たちもファン・サポーターのみんなも泣いていた。でも、あのときの悲しみよりも、今日のうれしさの方がはるかに大きな力を感じる!」と喜んだ。
試合は、ドラマチックなストーリーとなった。前半は、立ち上がりに家長がファーストシュートを放ち、7分には左コーナーキックから清水慎がヘディングシュートを狙うなど攻勢に出た。しかし、大分がロングボールを多用したこともあり、落ち着いた展開に持ち込むことはできず、逆にクロスからの攻撃でピンチにさらされる場面もあった。そして後半開始早々に、ピッチには信じがたい光景が広がった。49分、大分の松本昌が左サイドからワンツーで抜け出し、カットインからシュート。加藤がきっちりと反応したが、カバーに入った大屋のクリアがオウンゴールとなってしまい、先制点を奪われた。
しかも54分には、左コーナーキックを大分の若狭がバックヘッドでそらすと、渡部に当たって得点というアンラッキーが続いて2点差となった。渋谷監督はすぐさま泉澤を投入し、攻撃陣を活性化。59分に家長と泉澤が得意の連係で左サイドを攻略すると、大屋のシュートへとつなげて反撃の狼煙をあげた。そして69分、右サイドから渡部が上げたクロスはブロックされたが、こぼれ球を拾ったムルジャが右足でシュートを決めて1点差に追い上げた。
さらに終盤の81分、左サイドの大屋が右足でカーブを描くシュート。クロスバー、ポストと当たってはね返ったが、ムルジャが執念で押し込んで同点に追いついた。2点差になってから攻撃参加を繰り返した大屋は、「危うく“NACKの悲劇”を起こした張本人になってしまうところだった。自分がオウンゴールをしてしまったこともあって、何とか取り返そうと思っていたし、ムルジャが決めてくれて良かった」と、安堵の表情で試合を振り返った。
同点になってからは、スタジアム全体が逆転勝利を力強く後押しする雰囲気となり、チームも背中を押されるように猛攻を仕掛けた。そして試合終盤の87分、渡部から縦パスを受けたムルジャがゴールへ向かって突破を仕掛けると、相手に倒されてPKを獲得。ボールは家長に託された。緊張の静寂は、シュートがゴールの左隅へ鮮やかに決まるとともに爆発的な歓声に変わった。「緊張したし、いろいろなことを考えたけど、決められて良かった。大宮に関わるすべての人の気持ちは分かっていたし、ベンチには試合に出ていない仲間がいたので、そこへ走って行った」という家長を先頭に、選手は一目散にベンチへかけ寄り、チーム全体で優勝の可能性を大きく手繰り寄せた逆転を喜んだ。
雨が降りしきる中、残り時間を過ごす思いは、選手もスタッフもファン・サポーターも同じだった。試合終了と同時に誰もが望んでいた目標を達成し、クラブ初のタイトルを獲得。シーズンはまだ最終節を残している。しかし、クラブ自体は次の目標に視線を移していくことになる。家長は「一時期は大きく離れた勝点差がここまで縮まったのは、僕らの力のなさ。でも、独走して優勝していたら勘違いされたかもしれない。この結果が僕たちの本当の力を示している。実力差のない中で優勝できたということが真実だと思うし、僕たちはもっと強くなっていかないといけない」と話した。渋谷監督も「(2004年に)2位で昇格して、今年は優勝した。もうJ2での経験は必要ない。J1でタイトルを狙いにいくクラブになることを僕自身も願っている」と、来季J1の舞台での飛躍を誓った。今日は大いに喜びを分かち合おう。その先に、また新たな夢を、未来を、みんなで追いかけられる幸せがある。
(総評:平野貴也/写真:早草紀子)
2得点とPK獲得で大きく勝利に貢献したムルジャは、「2点目を決めて同点に追いついたとき、スタジアム全体から背中を押すようなすごい力を感じた。目標を達成できて、本当にうれしい。約1年前の12月6日に、このスタジアムでJ1からの降格が決まり、私たちもファン・サポーターのみんなも泣いていた。でも、あのときの悲しみよりも、今日のうれしさの方がはるかに大きな力を感じる!」と喜んだ。
試合は、ドラマチックなストーリーとなった。前半は、立ち上がりに家長がファーストシュートを放ち、7分には左コーナーキックから清水慎がヘディングシュートを狙うなど攻勢に出た。しかし、大分がロングボールを多用したこともあり、落ち着いた展開に持ち込むことはできず、逆にクロスからの攻撃でピンチにさらされる場面もあった。そして後半開始早々に、ピッチには信じがたい光景が広がった。49分、大分の松本昌が左サイドからワンツーで抜け出し、カットインからシュート。加藤がきっちりと反応したが、カバーに入った大屋のクリアがオウンゴールとなってしまい、先制点を奪われた。
しかも54分には、左コーナーキックを大分の若狭がバックヘッドでそらすと、渡部に当たって得点というアンラッキーが続いて2点差となった。渋谷監督はすぐさま泉澤を投入し、攻撃陣を活性化。59分に家長と泉澤が得意の連係で左サイドを攻略すると、大屋のシュートへとつなげて反撃の狼煙をあげた。そして69分、右サイドから渡部が上げたクロスはブロックされたが、こぼれ球を拾ったムルジャが右足でシュートを決めて1点差に追い上げた。
さらに終盤の81分、左サイドの大屋が右足でカーブを描くシュート。クロスバー、ポストと当たってはね返ったが、ムルジャが執念で押し込んで同点に追いついた。2点差になってから攻撃参加を繰り返した大屋は、「危うく“NACKの悲劇”を起こした張本人になってしまうところだった。自分がオウンゴールをしてしまったこともあって、何とか取り返そうと思っていたし、ムルジャが決めてくれて良かった」と、安堵の表情で試合を振り返った。
同点になってからは、スタジアム全体が逆転勝利を力強く後押しする雰囲気となり、チームも背中を押されるように猛攻を仕掛けた。そして試合終盤の87分、渡部から縦パスを受けたムルジャがゴールへ向かって突破を仕掛けると、相手に倒されてPKを獲得。ボールは家長に託された。緊張の静寂は、シュートがゴールの左隅へ鮮やかに決まるとともに爆発的な歓声に変わった。「緊張したし、いろいろなことを考えたけど、決められて良かった。大宮に関わるすべての人の気持ちは分かっていたし、ベンチには試合に出ていない仲間がいたので、そこへ走って行った」という家長を先頭に、選手は一目散にベンチへかけ寄り、チーム全体で優勝の可能性を大きく手繰り寄せた逆転を喜んだ。
雨が降りしきる中、残り時間を過ごす思いは、選手もスタッフもファン・サポーターも同じだった。試合終了と同時に誰もが望んでいた目標を達成し、クラブ初のタイトルを獲得。シーズンはまだ最終節を残している。しかし、クラブ自体は次の目標に視線を移していくことになる。家長は「一時期は大きく離れた勝点差がここまで縮まったのは、僕らの力のなさ。でも、独走して優勝していたら勘違いされたかもしれない。この結果が僕たちの本当の力を示している。実力差のない中で優勝できたということが真実だと思うし、僕たちはもっと強くなっていかないといけない」と話した。渋谷監督も「(2004年に)2位で昇格して、今年は優勝した。もうJ2での経験は必要ない。J1でタイトルを狙いにいくクラブになることを僕自身も願っている」と、来季J1の舞台での飛躍を誓った。今日は大いに喜びを分かち合おう。その先に、また新たな夢を、未来を、みんなで追いかけられる幸せがある。
(総評:平野貴也/写真:早草紀子)
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選手コメント
FW 8 ムルジャ
どの試合も簡単ではありませんでしたし、J2リーグは非常に厳しいものでした。今日も2点をリードされ、時間を気にしながらの戦いでしたが、1点を取れば逆転できると信じ、ゴールを奪うことに集中していました。掲げた目標を達成するために1年間、みんなで本当に頑張ってきました。ホームで勝って優勝し、ファン・サポーターの皆さんと一緒に喜べたことをうれしく思います。
MF 10 渡邉 大剛
勝って優勝を決められたこと、それがすべてだと思います。自分のプレーはあまり良くありませんでしたが、試合に勝てて良かったです。タイムアップの瞬間に歓喜で爆発するスタンドを見て、皆さんのアルディージャに対する想いをあらためて感じましたし、結果が出て良かったと思いました。またJ1でやれることをとてもうれしく思います。
DF 13 渡部 大輔
自分たちが勝てば決まるので、しっかり勝って自力で決められればと試合に臨みました。立て続けに失点しましたが、まだ後半の早い時間だったので、1点返せれば勢いが出ると信じていました。アカデミーのときからお世話になっている、自分が愛するクラブなので絶対に1年でJ1に戻したかったし、やってきたことを全てピッチで出せればと思っていました。本当に応援ありがとうございました。
FW 14 清水 慎太郎
スタメンでの出場となりましたが、いつもと変わらずに臨みました。まずは守備をしっかりこなしながら点に絡めればと思っていましたし、自分のストロングポイントである高さの部分は絶対に負けたくありませんでした。そこで高さの勝負に自分が勝つことで、攻撃にリズムを生んでいければと思っていました。チームとして勝ちきれて本当に良かったです。
また、今日も1万人を越えるたくさんのファン・サポーターの皆さんに来ていただきました。その姿を見た選手たちは、『やらなければいけない』と前半からスタートを切って得点を取りにいきました。残念ながら前半は0-0で、『後半のスタートは気を付けて入りなさい』『慌てないように』と言っていたのですが、崩されてしまったので1点目は仕方がないかと思います。また、最近はセットプレーからの失点が多い中で、やはり失点してしまったので、そこはもっと修正していかなければいけないと感じました。
しかし、ボールはしっかり持てるようになっていたので、ボールをしっかりと動かしてチャンスがあればと思っていました。ただ、クロスを普通に上げても得点できないと思っていた中、足元での攻撃からムルジャ選手が決めてくれました。ムルジャがいてくれたことが何よりです。あの1点目が全選手に力、勇気を与えてくれましたし、湧き上がった会場の雰囲気が選手たちを後押ししてくれたことが、2点目の前の場面でああいう形でポストに当たって内側に戻って来て、ムルジャの得点につながったと思います。
最後のPKは、その勢いのまま点になりました。選手たちが最後まであきらめない姿勢を示してくれました。良いときと悪いときがはっきりしているという意味で、今年を象徴しているゲームかと思いますが、それでも優勝という形で最後を迎えられたことをうれしく思います。昨年C大阪に敗れたときに話しましたが、昨年の降格は私自身の失敗が招いたことだったので、それを選手たちがしっかりカバーしてくれ、今年目標に掲げていたJ2優勝・J1復帰を成し遂げたのも選手、ファン・サポーターの皆さんのおかげだと思っています。
クラブに関わる人たちにも大変迷惑を掛けていました。クラブに対していつもたくさんのサポートや支援をしていただいているので、その方々たちに少しは報いることができたと思います。J2は非常に厳しい戦いになると覚悟していましたし、こういう展開になるなと思っていました。そして実際に戦ってみて、私が以前コーチとして昇格した04年よりも、監督としてすごく難しさを感じましたので、この優勝は私自身も格別の思いです。
選手たちは普段から一丸となってトレーニングしてくれています。メンバーから外れた選手もしっかりとやってくれたことが、チームとしてこういう結果になったと思うので、何度も言いますが選手たちには本当に感謝しています。先程もピッチでお話したように、大宮アルディージャはビッグクラブになれるだけの素質があると思うので、これからサッカーの内容もそうですし、フロント、クラブがしっかり一体となってやっていきたいと思います。皆さんも普段から大宮アルディージャの取材をしていただき、大宮アルディージャがこういうものだというように伝えていただき本当にありがとうございます。
Q.磐田の結果は、どのタイミングで知ったのですか。
磐田の結果は、選手が並んで、ベンチに座ったときに0-0で終わったと聞きました。私自身は分かっていましたが、選手には伝えませんでしたし、ハーフタイムにも伝えませんでした。
Q.今季もっとも手応えがあったこと、優勝を決めた要因は何でしょうか。
大宮アルディージャの選手たちは、J1で戦わなければいけない選手が何人もいると思っています。今年は8月くらいまで結果を出していたので、そこで満足することがないようにと選手たちにも伝えていました。しかし、私自身の甘えがあったかもしれませんが、ここまで延びてしまったことは非常に申し訳なく思います。
アルディージャがスタートしたときに、いまオランダにいるピム・ファーベックという方が、ボールを動かして主導権を握るサッカーを取り入れ、私自身もいろいろと学びました。それまで守備から攻撃というNTT関東がやっていた戦いから、ボールを動かしてイニシアチブを取るサッカーが良いものだと。トップレベルに行くには、それができないといけません。昨年の途中からはそれを意識していましたし、今年は選手たちもそれに取り組む気持ちがすごくあり、私自身も積み上げて必ず良いものにしたいと考えていました。守備だけで勝つのも一つだと思いますが、J1で戦うためにはボールを持つ時間がなければ勝ちにつながる確率が少ないと分かったので、今年は攻撃の部分で立ち位置やポジションについて繰り返し言っていましたし、映像でも何回も伝えました。
選手たちも半分“はてなマーク”でやっていたときもありましたが、それが良いことだと選手たちに伝え、こういう戦い方でマネジメントできる、攻撃が最大の防御だと伝えてやってきたことが、今日の最後の2点目に表れました。ボールを動かして、チェンジサイドして、得点。あれがもう今年一番の成長の証しだと思っています。1-2で負けていたら、前にロングボールを蹴ってセカンドボールを拾い、それで押し込もうと考えるのが普通かもしれませんが、私は最後までボールを動かして得点を目指し、パワープレーは最後の最後という考えでした。その攻撃の部分で今年は成長できたと思います。その反面、ここ最近は失点が多いですし、守備はもっともっとやらなければいけないとあらためて感じました。最後の一週間でしっかりと詰めて、金沢戦に向かっていきたいと思います。
Q.クラブ初のタイトルをもたらしたことはいかがでしょうか。
私が勝点86という目安をグアムキャンプで出してしまい、40試合を終わったときに勝点80というのも出していました。基本的には2試合で勝点4、5試合で勝点10、40試合で勝点80。全42節でプラスアルファ2勝ということで86という数字を出し、それなら優勝できるのではないかと選手たちに話していました。私自身それが最近の停滞につながっているかと思っていたので、目標を100くらいにしておけば良かったと思いました(笑)。選手たちも計算していたのか分かりませんが、城福監督の下で甲府のコーチとして優勝したときはそのくらいの勝点でしたし、毎年の平均がそれくらいでした。また、あまりに高い目標だと選手たちが本気になれない可能性があるかと思ったので。
一方で、優勝という結果以上に、他を圧倒しての勝利というのが、皆さんからの強い期待だと感じていました。それを目標に8月までは順調でしたが、途中からできなくなり、そちらばかりを考えていたため、タイトル獲得がクラブにとってどういう意味を持つかは考えていませんでした。タイトルの何が大切かというと先日、鹿島アントラーズさんがナビスコカップで優勝しましたが、石井監督はタイトルを取ることが当たり前だと話していました。クラブとして、それくらいのプレッシャーの下で戦うということです。
今回、優勝するために色々なプレッシャーがあった中で、選手たちがこういう形で達成してくれました。それが彼らに一番のプラスになると思います。それはクラブにとっても、この先に私が監督でも、次の誰かが監督でも、次に来る選手にも、J2でタイトルを取っているクラブだと言えます。大宮アルディージャは04年に2位でJ1に昇格し、今回は優勝しましたから、もうJ2での経験はいりません。J1でしっかりと上位にくらいつく、タイトルを狙いにいくクラブになることが私自身の願いです。タイトルを取ったことの価値を考えると、これからの監督さんや選手は大変だなと思います。
Q.PKキッカーに関してはどう決めたのですか? また、ゴールした家長選手が監督のところに向かって来たように見えました。
多分、ムルジャ選手は今年3本くらい外しているので。ムルジャ選手が家長選手に蹴らせたんじゃないかと思います。私は何も言っていません。家長選手がこちらに走ってきたときには、私は次の指示をしておかなければいけませんでした。それまで2-2の状況でオープンなゲームになっていたので、横山選手に残り時間をどう戦うかを伝えていました。家長選手が来たときにはサブの選手たちも行っていたので、私は一緒に喜んでいないんです。もっと喜べば良かったなと思いますが、私は現役時代にDFの選手だったこともあり、昔から一喜一憂しないようにしているタイプです。ラスト5分とプラスロスタイムは、しっかりと安定させてくれ。最後はコーナー付近でキープしてくれという話を、横山選手に伝えていました。本来なら喜んだ方がいいのかもしれませんが、まだカウンターが怖かったので。
Q.0-2になったときの率直なお気持ちは?
後半の立ち上がりに失点。セットプレーでやられなければいいなと思っていたので、セットプレーでやられてしまったかというのが半分でした。ただ、まだ時間があったので、1点返せば2-2まではどうにか追い付けると考えていたので、まずはボールを動かすことを意識しました。変に慌てて前に出て3点目を奪われるのは嫌でしたし、相手の守備陣は背の高い選手が多かったので、低いパスでボールを動かして攻めたかった。ムルジャ選手の1点目が入ってからはボールを動かせるようになっていたので、変にパワープレーに出るよりは、クロスからヘディングを決められる可能性もあるかと思っていました。ラスト5分まではボールを動かして攻め、最後は福田選手を入れてのパワープレーと考えていました。
1-2になってからはいけると思っていました。0-2のときは、とにかく慌てて3点目を取られないようにとだけ考え、2人のセンターバックにプラス1枚を残して攻撃してくれと指示していました。ただ、これだけ前半にボールを動かして、得点チャンスがあれば問題ないと考えてしまうタイプなので、もちろん勝たないといけないとか、優勝しないといけないとも思いましたが、ボールを動かして得点チャンスをつくっていれば、次の金沢戦にもつながると考えてもいました。結果的にはしっかりつないでくれて、得点を取れたことは良かったです。それは、ムルジャ選手がいるからこそできることだと思います。
Q.ホームで優勝を決め、胴上げをされた気持ちを教えてください。
私以外のスタッフも胴上げをされるかと思っていましたが、今日は私だけでした。よくテレビで見る光景ですよね。先程も話に出ましたが、鹿島の石井監督がナビスコカップで胴上げされるのを見て、ああなったらいいなと思っていました。播戸選手がみんなに声を掛けてくれて、胴上げしてくれてうれしく思いますし、幸せ者だなと思います。胴上げもそうですが、この1年を振り返っても私は幸せ者だと思っています。なぜなら、大宮アルディージャには良い選手がいるからです。私がイメージした、こういう攻撃をしたい、こういう形で戦いたいというものを成し遂げられる選手がいるので、私は幸せ者です。普通はトレーニングをしてもうまくいかないのがサッカーだと思いますが、それを達成できる選手たちがいるのは楽しいですし、トレーニングや試合がどうなるのかと思っていました。
Q.一喜一憂しない監督が1シーズンでもっとも苦しんだのは?
ここ最近、勝てなかったときが苦しかったです。千葉戦までのシーズン最初の7試合、私は選手たちの能力だけで勝てると踏んでいたので、ある程度は一般的なトレーニングをしていたのですが、千葉に負けてからある程度の形をしっかりと持って戦い、それで結果が出て来ました。しかし私自身の甘さもあり、やらなかったこともあり、守備をもっともっとやっておかないといけなかったというのをすごく感じました。ここ最近のゲームに関しては、攻守において中途半端になってしまいました。そのときが、攻撃と守備のどちらを先に持っていくか。そこが一番苦しかったです。
特に、徳島の試合が一番苦しいときでした。なぜなら、良いゲームをやって勝てなかったからです。あのゲームが一番苦しかったですね。あの日のゲームが、私の中のポイントでした。それ以外は、色々とできないことがあって練習して、できないことがあって練習してと修正できていたので、選手がどうかは分かりませんが、私自身は本当に毎週練習が楽しくできました。
結果が出る・出ないというのは、私の言い方とか、盛り上げる話とかの部分でした。私はそれがあまりできないタイプなので。今日は入りが悪いなというときは大体、私の話がうまく伝わらず、選手たちが盛り上がらないまま試合に入ってしまったときです。そういうときは、次はコメントを考えようとか、そういうことを考えながら、試合に向かっていました。大宮アルディージャの選手たちは能力があるので、彼らを奮い立つように持っていくのが私自身の仕事だと思っています。練習は練習で色々とやりますが、試合は気持ちの問題だと昨年すごく学びましたし、そこはこれからも学ばないといけないと思います。苦しかったのは、徳島の前後ですね。そこが一番苦しかったです。
最後に、まだ1節ありますが、1年間本当にありがとうございました。