クラブ史上最多の6発快勝で、後半戦スタート
仕切り直しの一戦だ。3月23日の第5節以降、16試合負けなしだったが前節は新潟に敗れた。再び勝点を積み上げていかなければならない。明治安田J2第22節は、19位・鹿児島とのホームゲーム。今節からリーグ後半戦となり、各チームと2度目の対戦となる。相手に研究されている可能性もあり、注意が必要だ。
先発メンバーには、リーグ初出場となるGK加藤の名があった。キックオフ直前、すぐ後ろのホーム側ゴール裏から「有輝! 有輝!」と大きなコールが鳴り響いた。
試合の立ち上がりは、攻守ともに積極性が目立った。開始3分、吉永が左からカットインを仕掛け、バックパスを受けた大山がミドルシュートを放った。丁寧なパス回しでビルドアップを図る相手に対しては、奥抜や石川が積極的にプレッシャーを掛けてけん制した。そして14分、茨田のシュートのこぼれ球を拾った奥井がクロスを送り、相手のファウルでPKを得たフアンマが、自ら決めて先制した。
その後も良いリズムで攻め続け、32分に追加点が生まれた。左サイドでボールを奪った後、正面からプレッシャーを受けたが、吉永は逆サイドの畑尾へパスを通して、うまく回避。そこから、奥井と茨田のパス交換とランニングで、相手が手薄な右サイドを突いた。茨田が「相手が4バックなので、僕とイーニョくん(奥井)のどちらかはフリーになれると思っていたし、イーニョくんが積極的に上がって来てくれた」と話したとおり、右サイドのアタックは効果的だった。
奥井のクロスに逆サイドから飛び込んだのは、吉永。ヘディングでプロ初ゴールとなる追加点を突き刺した。吉永は「ハタくんにパスを出せたのが良かったし、僕はゴール前に何回入れるかが、他の選手との違いになると思っているので、狙っていた形で取れた」と笑顔で振り返った。さらに攻め手を止めず、38分、フアンマのスルーパスに抜け出した奥抜が3点目を奪った。
明確な点差を得た試合は、進め方が難しい。後半は序盤に奥抜が抜け出してループシュートを狙う場面があったが、この好機を逸した後は、次第に相手のシュートやセットプレーが増えていった。大山が「ボランチとしては、押し込まれた時間にボールを握り返せれば良かったと思う」と振り返った時間帯だ。
しかし、押し込まれてもカウンターをしっかりと狙っていた。65分、途中出場のバブンスキーがプレスバックでボールを奪うと、吉永がワンタッチで前線のフアンマへ。フアンマはバブンスキーへのバックパスで縦のワンツーを仕掛け、相手の背後へ独走して4点目を奪った。
さらに6分後、カウンターで奥井とのパス交換から茨田が決めて5点目。試合終盤には、相手のミスパスからフアンマがダメ押しの6点目を決めてハットトリックを達成した。3得点1アシストのフアンマは、「前節で負けて、必ず勝たなければいけないと思っていた。一人ひとりが一歩前へという姿勢を見せていた。次の試合も継続したい」と満足することなく、今後を見据えていた。
次戦は、アウェイで京都との上位対決。クラブ史上最多得点となった大勝の勢いを生かして、リーグ後半戦を連勝スタートとしたい。
(総評:平野貴也/写真:早草紀子)
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高木琢也監督 会見コメント
ウイニングメッセージ
選手コメント

FW22 フアンマ デルガド (#22フアンマ)
「立ち上がりから前への意識を強く持っていて、非常に良い戦いができました。新潟戦で無敗が止まったことで、今日は何が何でも勝ちたいと思っていましたし、得点場面以外にも多くのチャンスが作れ、チームにとって大きな収穫だと思います。相手の守備ラインが高かったこともあり、僕自身の2得点目はチームとして狙っていた形でした。ダヴィッドが出してくれた素晴らしいパスを決め切ることができて良かったです。高木監督からは守備も求められていますし、献身的なプレーを続けていきたいと思います。自分が得点するだけでなく、体を張って周りを生かすことも続けていきたいです」

GK32 加藤 有輝 (#32加藤)
「リーグ初出場でしたが、不安はなく、リラックスして入ることができました。点を取ってくれたみんなに感謝したいです。多くの点が入ったときは失点してしまいがちなので、全員で最後まで集中力を切らさずに戦えたことは収穫だと思います。先日の天皇杯は自信になりましたし、何より勝つことが一番大きいのだと思います。今日も勇気を持って前に飛び出すなど、自分のプレーを出すことができました。試合を通じて多くの声援を送っていただき、自分自身が頑張って、このクラブをJ1に上げなければいけないと、あらためて強い気持ちになりました」

FW36 吉永 昇偉 (#36吉永)
「逆サイドにボールがあるときは中に入っていくように練習から取り組んでいたので、それが結果につながって良かったです。これまでの試合では思うように攻撃参加ができておらず、今日は何としてもという思いがありました。自分が育ててもらった少年団が前座試合に来ていましたし、恩師の前でプロ初ゴールが決められてうれしいです。得点後に皆さんが僕のコールをしてくださったことで、さらに力がわいてきました。攻撃では得点に絡んでいくプレー、守備では1対1で負けないことなどを意識し、これからもチームに貢献していきたいです」
「リーグ後半戦最初のゲームでしたが、前回の対戦では少し苦しめられたのに対して、今日は選手たちがホームらしいゲームを良くやってくれたと思います。
6点というスコアに関してはある意味満足はしていますが、もっともっと取れるチャンスもありました。ただ失点をしなかったことは非常に良かったですし、粘り強く戦えたことは評価できる試合だったと思います。
ここからは得失点差も関わってきますし、今日のゲームがそのまま次の京都戦に向けての良い準備になりました。あとは休みを入れながら、次のゲームに向けて準備をしたいと思います」