茨田の弾丸ボレーで勝ち越し。接戦を制し、ホーム3連勝を飾る
ホームに強い。今シーズンの通算成績は7勝4分1敗。過去5戦にいたっては4勝1分である。明治安田J2第26節は5位・山形をNACK5スタジアム大宮に迎えた。前節の岐阜戦はスコアレスで勝点1を分け合っている。中3日での3連戦。8月最初のゲームに勝って、弾みをつけたいところだ。
試合はいきなり動いた。わずか4分で、セットプレーから失点を許した。しかし、すぐに反撃に出る。1トップのシモヴィッチを軸に、縦に速い攻撃を展開。シノヅカが持ち前のドリブルで右サイドを突破し、センターバックの櫛引も積極的なオーバーラップを見せた。
果敢なアタックが実を結び、セットプレーから同点ゴールが生まれた。19分の右CK。シノヅカが蹴ったボールを、ゴール正面でシモヴィッチがヘディングシュート。強靭なフィジカルで相手DFを押さえ、持ち前の高さを生かした。1-1。
これだけでは終わらない。28分、相手がクリアしたボールを小島が頭で前線に配球。シモヴィッチが足元に収めると、相手をかわしながら持ち直して左足でシュートを放つ。鮮やかにゴールネットを揺らした。2-1。
その後も両チームの間を、主導権が激しく行き来した。アルディージャはシノヅカと吉永のポジションを入れ替えて変化を加える。ピンチもあった。43分、相手のヘディングシュートがポストに救われた。はね返ったボールがバイアーノの正面に来るが、ヘディングシュートはGK加藤の胸に収まった。1点のリードで試合を折り返した。
後半も最初にチャンスをつかんだ。52分、自陣からのカウンター。小島がボールを持って前へ前へと突破を図る。ペナルティエリアの手前でラストパス。奥抜が相手GKをかわしてフリーになるが、シュートは枠を逸れていった。チャンスの後にピンチ。山形の逆襲に遭い同点ゴールを決められる。2-2の同点に追いつかれた。
70分、シノヅカが左からカットインして放ったシュートはわずかに枠の外。71分には茨田が、代わったばかりのバブンスキーとのワンツーから抜け出してシュートを放った。しかし、これもポストを直撃。運にも見放されたかに思われた。
その直後だ。72分、櫛引が右から入れたクロスが相手GKにはね返された。こぼれ球に反応していたのは茨田だ。「こぼれ球を常に狙っていた。いい準備をしていたからこそ、落ち着いてきれいに左足でミートすることができた」。ダイレクトで合わせたボールが豪快にゴールネットに突き刺さった。
3-2。再び先行した。残り時間はおよそ20分、どうやって試合を終わらせるか。79分、シモヴィッチに代えて富山を投入。83分には奥井を送り込んで、守備に安定感を生み出した。
山形にボールを持たれる時間が長くなった。選手の体力は消耗していた。富山がウィングバックに入った。4分のアディショナルタイムをしのぎ、試合終了のホイッスル。3-2でホーム3連勝を飾った。
チームの背中を押したのは、間違いなくホームの雰囲気だ。順位も3位に浮上。しかし、上位も勝点3を上積みしている。「次の岡山戦はアウェイでタフな試合になると思うが、今日のようないいゲームを続けたい」と2ゴールのシモヴィッチ。苦しい戦いでつかんだ手応えを糧に、再び上昇気運に乗りたい。
(総評:岩本勝暁/写真:早草紀子)
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高木琢也監督 会見コメント
ウイニングメッセージ
選手コメント

DF3 河本 裕之 (#3河本)
「4月以来の先発出場で、久しぶりにキャプテンマークを巻いた試合で、勝つことができて良かったです。勝点で並ぶ山形との上位対決だったこともあり、絶対に勝ちたいと思っていました。しかし、先制点を含めて点を取られてしまったので、次は気を付けたいと思います。櫛引選手とは初めて一緒にプレーしましたが、非常に安定したプレーをしてくれましたし、すごく助かりました。今日の勝利は、全員で粘り強く戦った結果です。これから、もっと順位を上げていけるように頑張っていきたいと思います」

MF8 茨田 陽生 (#8茨田)
「僕自身も気持ちの良いゴールを決めることができました。こぼれてきたらダイレクトで打てると思っていましたし、良い準備ができていたからこその、きれいなゴールだと思います。攻撃の選手として、ゴールに絡んでチームを助けたいので、シュートへの意識は常に高く持っています。3連戦はチーム全員で戦う必要がありましたが、2勝1分けという結果は全員が頑張ったからです。この夏場が勝負です。ここで1つでも多くの勝点を積み重ねられるように、チーム全員で常に勝利を目指して戦っていきたいです」

FW9 ロビン シモヴィッチ (#9シモヴィッチ)
「イッペイのCKから決めた1点目は、相手と1対1の状況でしたので、自分が競り勝てるという自信がありました。2点目に関しても、ルーズボールを収めて左足で少し運んだ後、左足でゴールの隅へ良いシュートが決められて良かったです。相手も強いチームでしたが、全員が90分間を通じて力を合わせて戦うことができ、勝利することができました。今日も多くのファン・サポーターの方が来てくださり、本当に感謝しています。皆さんの後押しが、非常に良い雰囲気を作ってくださいました。僕たちはピッチで、皆さんはスタンドで。これからも一緒に戦いましょう!」
「結果としては90分が終わって我々が勝利したのですが、ゲームの入りで先に失点をしてしまったことで難しい状況になりました。それでも得点を重ねながら最終的にはリードし、そのリードを守り切るような形のゲームになりました。
このゲームはミラーゲームというか、同じシステム同士の戦いでした。途中で山形は3-5-2にしてきましたが、そういう入りの中でどこでミスマッチが起きるかを考えていました。短い期間で中々準備することはできないので、ゲームの中でどういったところが空いてくるのかなというところがありました。
結局はセカンドボールを取るところだったりとか、途中から山形の1トップ2シャドーの選手がファジーなポジションに残ることが多くなり、我々が攻めてカウンターを受けるシーンも少しあったのですが、よく耐えてくれました。
ただし、サイドの攻防に関しては山形の方が裏を取るシーンが多かったですし、意図的にゲームの中で使っているということだったとは思いますが、そこへの対応をもう少ししっかりできればよかったと思います。
しかしそれ以外の部分では、ポジショニングやディフェンスのスキルだったり、最後までゴールを割らせないという気持ちの部分はすごく出してくれたと思っています。
今日はロビンが2発決めてくれましたが、かなり大きな選手ですがステップも非常に巧みですし、彼の持っている良いものをチームの中で、こういう大事なゲームの中で出してくれたことに非常に感謝しています。僕にはできない技だなと思います」