8月最後のホームゲームで勝点3奪取! 2位に浮上
明治安田J2第28節。リーグ戦3連勝を懸けたホームゲームは、千葉との対戦だ。アウェイで行われた第11節は0-0で引分けた。しかし、今日の試合が同じ内容になることを想像するのは難しい。シノヅカや櫛引が加わり、チームの層は厚くなった。アカデミー出身の加藤、奥抜も高木監督のサッカーにフィット。若い小島も存在感を発揮している。千葉も新戦力が加わるなどレベルアップしているが恐れることはない。何しろ、舞台は今シーズン8勝4分1敗と、抜群の勝率を誇るNACK5スタジアム大宮だ。8月最後のホームゲームをしっかりと勝利で飾りたい。
試合は序盤から動いた。声援がチームの背中を後押しする。自陣から河面がロングフィード。オフサイドラインぎりぎりで受けた茨田が、うまく足元に収めてミドルシュートを放つ。コースを捉えていたボールは惜しくも相手GKにはじかれた。ここで得たCKから先制点が生まれる。9分、キッカーはシノヅカ。ファーサイドに上がったボールに、河本が下がりながらヘディングシュート。ボールは手を伸ばしたGKの頭上を越えて、ゴールネットを揺らした。
幸先良く先制した。しかし、度重なる接触プレーによって負傷した河本が、交代を余儀なくされる。代わって入った菊地を軸に粘り強く守った。27分には2点目を獲得した。右サイドの櫛引から茨田を経由し、パスを受けた小島がドリブルで前進。相手DFを引きつけて右のスペースにラストパスを送ると、外側を並走していた奥井がダイレクトで合わせてゴールを決めた。
その後も、シモヴィッチのポストプレーから茨田がミドルシュートを放つなど、試合のイニシアチブを握った。守備ではウイングバックの奥井、シノヅカを含めた5人が最終ラインを形成。適切な距離感を保って、相手が攻め込むスペースを消した。石川、小島のダブルボランチも、ボールのつなぎ役としてハードワークを見せた。2点のリードで前半が終了。内容でも完全に千葉を上回っていた。
後半も落ち着いていた。何より守備の集中が高かった。前からプレッシャーをかけてパスコースを限定。球際で積極的に勝負して相手からボールを奪い取った。59分には、奥抜に代えて大前を投入。ゴール裏のボルテージが一段階、上がった。セットプレーからチャンスも作った。63分には大前が蹴ったFKがポストを直撃する。72分には石川から右サイドへサイドチェンジ。中央寄りで茨田のスルーパスを受けた奥井が抜け出してシュート。こぼれ球を受けた小島が放ったシュートも、惜しくも相手に阻まれた。
78分、シモヴィッチに代えてフアンマをピッチに送り込んだ。我慢の時間が続く。86分に1点を返されたが、まだリードはあった。慌てる必要はない。アディショナルタイムは5分の表示。最後まで千葉の猛攻に耐え、2-1でしのぎ切った。
3連勝だ。勝点3を上積みし、J1自動昇格圏内の2位に浮上した。しかし、チームに浮かれた様子はない。「難しいゲームになったが、何よりも勝点3が取れたことが大きい。今日のゲームにタイトルをつけるなら、『勝って兜の緒を締めよ』というゲームだった」。高木監督は、記者会見でこう振り返った。次節の愛媛戦からアウェイでの試合が続く。しかし、勢いを得た今のアルディージャに死角はない。
(総評:岩本勝暁/写真:早草紀子)
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マッチハイライト映像
高木 琢也監督 会見コメント
ウイニングメッセージ
選手コメント

MF5 石川 俊輝 (#5俊輝)
「まずは、負けなくて良かったです。千葉は先制している試合が多く、立ち上がりから積極的に来ることが想定された中、絶対にホームで先制されたくなかったですし、前半で2点を先行できたところまでは良かったです。しかし、3点目、4点目を奪えるようにしなければいけません。後半の戦い方は修正が必要だと思います。アウェイゲームが続きますし、厳しい戦いが続きますが、サポーターの皆さんと力を合わせて、クラブ全体が一つになって、勝点を積み重ねていけるように頑張ります。引き続き、後押しをお願いします!」

DF19 奥井 諒 (#19奥井)
「リーグ戦では3年ぶりのゴールでした。得点もうれしかったですが、何より試合に勝つことができてうれしいです。幹敏が良い形でタメを作ってくれましたし、彼は僕の動きを見てくれていると信じていました。ここ数試合はコンディションも良く、攻撃に絡む回数を増やせていたので、いつかは結果に結びつくと信じていました。後半も、前半と同じような戦いができれば良かったと思いますが、勝ち切れたことをプラスにとらえたいです。勝って昇格圏内に入ったことは大きいですし、勝ち続けて柏に離されないようにしたいです」

MF33 奥抜 侃志 (#33奥抜)
「守備の時間が長かったですが、スライドもスムーズにでき、バランス良く対応することができたと思います。攻撃では、中盤でパスを受けて前を向くまでは良かったですが、もっとコンビネーションで仕掛ける場面を増やしたり、ドリブルを効果的に使ったりしたいです。今日はあまりボールを持てなかったこともあり、自分の出来に納得できていないのが正直な気持ちです。勝つためには、選手だけでなく、ファン・サポーターの皆さんも一つになることが必要です。勝点3をつかめるように一試合一試合、大事に戦っていきたいと思います」
「後半は難しいゲームになってしまいましたが、前半の2点を守り切ってなんとか勝点3を取れたことは非常によかったです。順位も1つ上がりましたし、今日のミーティングでこのチャンスを自分たちでつかもうと話をしていましたので、そのミッションは達成することができました。
サッカーで2-0は難しいとよく言いますが、まさしくそういったゲームだなと感じました。そのあたりが少しすっきりしない勝ちではありますが、何より勝点3を取れたことが大事ですし、今日のゲームにタイトルをつけるのであれば『勝って兜の緒を締めよ』ということだと思います」