22試合ぶり復帰の渡部がダメ押し、3得点で快勝
この試合を含め、リーグ戦は残り9試合となった。前節・東京V戦では、5試合ぶりの勝利。J1自動昇格圏は目の前に迫っている。首位・柏とは勝点が離れているが、2位以下は混戦。一試合ごとに順位が入れ替わる可能性があり、緊張感が漂う。
明治安田J2第34節は、5試合負けなしで好調の長崎を迎えるホームゲーム。立ち上がりから茨田が中盤で精力的に動いてチームにリズムを与え、上々の滑り出しを見せた。9分にフアンマがボレーシュートをゴールに突き刺した場面は、ハンドの判定で得点が認められなかったが、序盤から好機が多かった。
16分には、守備からチャンスを作り出した。中盤でプレッシャーをかけた三門が相手のバックパスを追いかけると、奥抜が連動。これに続いた酒井が高い位置でボールを奪取。パスを受けた奥抜が、ゴール右へ鮮やかなシュートを決めて先制点を奪った。
その後もサイドチェンジをインターセプトするなど、積極的な守備が目立った酒井は「ホームでやっているし、待ち構えるより、攻撃的な守備をしたいというのは、監督の意図でもあった。思い切って出ていくことは後ろにも伝えていた」と手応えを話した。時折ピンチもあったが、守備陣が阻止。33分、得点王争いで首位に立つ呉屋にボールを持たれたが、櫛引がきっちりと抑えた。
全体的に相手のボール保持率が高かったが、15対3のシュート数が示すように、むしろ主導権は握っていた。後半は、焦る相手から次々にボールを奪って逆襲。小島、酒井、奥抜らが次々とシュートを放ち、追加点を狙った。
そして71分、右CKに合わせてゴール前で動いた河本が、相手のファウルを受けてPKを獲得。投入されたばかりのシモヴィッチは、シュートをGKに弾かれたが、ポストに当たってはね返って来たボールを、自ら押し込んで追加点を決めた。
さらに、74分にも櫛引の浮き球パスを受けた奥抜が相手をひきつけ、ラストパスを小島がワンタッチで狙う好機が到来。相手DFに防がれたが、非常に惜しい場面だった。
選手交代で打開を図ろうとする相手に対し、交代出場の選手が活躍を見せた。試合終盤の82分、茨田が右へ展開すると、途中出場の渡部が切り返しで相手をかわして左足でシュート。ボールは、相手に当たって浮き上がったが、ゴールに吸い込まれて3点目となった。
渡部は、負傷した第12節・愛媛戦以来22試合ぶりの出場。「相手の戦意を削ぐには、もっと点が必要だと思っていた。きれいな形ではなかったけど、フィニッシュまでやり切れたことが良い結果につながった。自分の存在感を示したいと思っていた」と、うれしい復活ゴールを振り返った。
終盤は、後がなくなった相手と球際で激しく競り合う場面が増えたが、最後まで体を張って完封。3-0の完勝で、ファン・サポーターと喜びを分かち合った。次節は、上位を争う水戸とのアウェイゲーム。優勝の可能性を残すためにも、2位以上でのJ1自動昇格を決めるためにも、重要な直接対決になる。
守備だけでなく、縦パスなど攻撃面でも特長を見せた櫛引は、「相手がどこでも、もう引分けも許されなくなってくる。厳しい相手だけど、勝って終わりたい」と連勝に意欲を示した。勝てなかった4試合を乗り越えて、力を増したチームが終盤の勝負どころに挑む。
(総評:平野貴也/写真:早草紀子)
フォトギャラリー
マッチハイライト映像
高木 琢也監督 会見コメント
ウイニングメッセージ
選手コメント

FW9 ロビン シモヴィッチ (#9シモヴィッチ)
「すごく良い試合だったと思います。90分間を通じて全員が計画的にプレーすることができました。PKは交代してすぐだったので、完全にアップできているわけではありませんでしたが、ポストに当たって戻ってきたボールを決められて良かったです。自分自身としてもチームとしても、良いコンディションでプレーできていると思います。この先も一試合一試合、集中して勝点3を積み重ねていくだけです。ファン・サポーターの皆さん、熱い応援ありがとうございます。次の水戸戦も皆さんの声援が必要です。ぜひ、一緒に戦ってください!」

MF33 奥抜 侃志 (#33奥抜)
「勝利を目指してトレーニングしてきましたので、結果を出せてうれしいです。相手はボランチを経由してつないでくると思っていて、守備から入った部分はあります。警戒しつつ奪いどころの狙いを定め、良い形で得点につなげられました。全員の頑張りがあっての先制ゴールだったと思いますし、チームメートに感謝したいです。攻撃エリアでのドリブルには自信を持っているので、前を向いたら仕掛けたいと思っていました。落ち着かせる場面で失ってしまったので改善したいです。引き続き、サポーターの皆さんと一丸となって戦っていきたいと思います」

DF45 櫛引 一紀 (#45櫛引)
「一人ひとりが1対1で負けなかったですし、互いのカバーも良く、チームとして100点の出来でした。守備の選手は喋ってナンボで、互いが何を考えているかを理解し合うことが重要です。コウモさんを中心にコミュニケーションが取れていると思います。最近は同じ選手で戦えているだけでなく、普段から良いトレーニングができています。守備はやればやるだけ連係が良くなるものです。引分けも許されない状況ですし、ホームだけでなくアウェイでも絶対に勝ちたいと思います」
「結果として3-0で勝利できたこと、また得点差がつくと失点するシーンが出たりしますが最後まで粘り強く戦えたことは良かったです。また得失点差を考えないといけない今の状況の中で良いゲームができたと思います。
相手は天皇杯も含めて負けがないチームで、自信を持ってプレーしてきました。立ち上がりのボールをつないだシーンからそれを感じました。夏のウインドーで新しい選手が入り、前回対戦とはだいぶチームが変わった印象がありました。相手のボール運びにうまくついていけなかったり戸惑うシーンもありましたが、前半よりも後半の方がより規制をかけてボールを奪えるシーンが増えました。
勝利しても課題はあると思いますが、やはり得点をするところかなと思います。チャンスは作れているので決定機をしっかり決めていかなければいけません。得失点差もそうですし、勝点3になるのか勝点1になるのかが大事になってきますので、反省材料を持ちながらチームに変化を加えていきたいです」