数少ないチャンスを生かされアウェイで惜敗
中3日で迎えた5連戦の3試合目は、2試合連続のアウェイゲームとなる。厳しいスケジュールでの戦いとなるが、34節から2勝1分けとチーム状態はいい。前節は5試合ぶりに複数得点を記録した。
群馬を2-1で退けた前節からの入れ替えは一人で、嶋田が右のシャドーのポジションに入る。先発は10月14日の第26節以来だ。福岡にはホームで0-1の敗戦を喫している。昇格争いを演じている相手から、勝利を奪いたい。
立ち上がりから意欲的に攻めた。5分、菊地の右足シュートで右CKをつかむと、ショートコーナーから小野が左足のミドルで狙った。枠をとらえた一撃はGKにはじき出される。
7分にはピンチを迎える。左サイドを突破され、ペナルティエリア内正面からシュートを許すが、GK笠原が身体の正面でしっかりとキャッチした。背番号1は3試合連続でゲームキャプテンを任されている。
試合に向けて高木監督が「今の自分たちの力を出していこう」と話していたように、アルディージャは攻守ともに気持ちの入ったプレーを見せていく。西村を中心とする3バックがフアンマに起点を作らせず、前半は0-0で折り返す。
後半も最初に決定機をつかんだ。GK笠原のキックを、相手陣内の右サイドで山田がヘディングで競り勝つ。山田はそのままインナーラップを仕掛け、ペナルティエリア内で嶋田からスルーパスを受ける。切り返しで相手DFをかわして左足でシュートするが、相手GKに阻まれる。セカンドボールに小野が反応して左足を振り抜くが、ここは相手DFにブロックされた。
56分にも相手守備陣を脅かす。ボランチの小島のミドルパスと、菊地の裏への動き出しがシンクロする。菊地はディフェンスラインの背後を取ったが、シュートには持ち込めなかった。
拮抗した展開の中で、58分にスコアが動く。左サイドから上げられたクロスをフアンマにヘディングで決められ、先制点を奪われてしまった。
63分、高木監督が1枚目のカードを切る。嶋田を下げてシノヅカを投入する。選手の立ち位置に変更はなく、シノヅカはそのまま右のシャドーに入った。
飲水タイムを経てプレーが再開された70分、ビッグチャンスが訪れる。シノヅカが相手DFと競り合うと、DFが苦しい態勢から触ったボールが菊地へのパスとなる。ペナルティエリア内の右から背番号9が強烈なシュートを浴びせたが、相手GKに右手1本で防がれてしまった。
守備を固めてカウンターを狙ってくる福岡に対して、リスクを背負いながらも相手ゴールへ迫っていく。80分には山田に代わって富山が起用され、富山が右のシャドー、シノヅカが右のウイングバックとなる。86分には菊地が退いてハスキッチが送り出され、1トップに入った。
最後までゴールを目指すが、J1昇格を争う福岡も必死だ。システムを5-4-1に変更した相手の守備ブロックを崩し切るのは難しく、0-1のまま試合終了のホイッスルを聞くこととなった。
「非常にいいゲームはしたと思います。我々にとってはアウェイゲームというのもありましたし、相手にはホームでの力というのも加わって、ああいうシーンで失点してしまいましたが、(選手たちは)頑張ってくれたと思います」
試合後、高木監督はこう総括した。内容が悪くなかっただけに、結果をつかみたかった。悔しさが募るゲームである。
11月最後の試合が終了し、今シーズンは残り5試合となった。「一つひとつのゲームを無駄にできない」と高木監督が話すように、目の前の試合に集中して勝利を目指していく。
(総評:戸塚啓/写真:早草紀子)
フォトギャラリー
マッチハイライト映像
高木琢也監督 会見コメント
選手コメント

DF24 西村 慧祐 (#24西村)
「前半を中心に自分たちがボールを持つ時間を作れていたのですが、決定力の差、僕たちの守備の甘さが結果につながってしまいました。相手の前線にはターゲットになる選手がいたので、DFとしてはそこを押さえることと、セカンドボールの回収がカギになると考えていました。チームとして意識を統一して対応することができていたと思います。失点場面に関しては、まずはクロスを上げさせない、中ではもっとタイトな守備ができれば良かったです。昇格の可能性はなくなってしまったが、僕たちが勝つ姿を見せられるように、大宮に帰って良い準備をしたいと思います」

MF39 嶋田 慎太郎 (#39嶋田)
「個人的には久しぶりにスタメンでの出場になりましたが、チームとして狙っていた部分から何度かチャンスを作れた場面もありましたし、あとは決定力が大事になってくると思います。失点の前にもチャンスがあったので、そこで決めていれば違う展開になったと思いますし、あの1点で負けてしまったことが悔しいです。次はホームゲームなのでしっかり勝てるように頑張ります」

DF43 山田 将之 (#43山田)
「このスタジアムでプレーできることが嬉しかったですし、ピッチに入ったときにはいろいろな感情がありました。ただ、今は大宮の選手ですし、勝って帰りたかったので負けたことは残念です。後半に惜しいシュートシーンがありましたが、あのような決定機を決めないと上位のチームには勝てないと感じました。シュートまで行けたことは良かったですが、次は決められるように、1つ1つのプレーを整理しながら取り組んでいきたいです。今日もたくさんのサポーターが来てくださったのですが勝つことができませんでした。残り試合は少ないですが、1試合でも多く勝って皆さんと勝利を喜び合いたいです」
「アウェイゲームの雰囲気も含め難しい部分もありましたが、選手たちは頑張ってくれました。全体の中で80%程度は狙い通りにプレーできたと思いますが、決定機を作るためにはもう一つ工夫が必要だったと感じます。福岡の特長である速い攻撃にもうまく対応できていました。変な奪われ方をするシーンもありましたが、それも含めてチャレンジをしながら、自分たちのペースを作ることはできたと思います。まだまだ試合は続きますし次はホームゲームですので、アグレッシブに戦って勝つゲームを見せられるように頑張ります」