Jリーグ ディビジョン1 第33節
2012.11.24 [SAT] 17:30 NACK

大宮

  • 28' 金澤 慎
  • 57' 渡邉 大剛
2 - 0
1 前半 0
1 後半 0

磐田

試合経過
メンバー

スターティングメンバー

GK 1 北野 貴之
DF 30 渡部 大輔
DF 2 菊地 光将
DF 3 河本 裕之
DF 22 下平 匠
MF 13 渡邉 大剛
MF 6 青木 拓矢
MF 23 金澤 慎
MF 9 チョ ヨンチョル
90+2'
FW 11 ズラタン
63'
FW 19 ノヴァコヴィッチ

控えメンバー

GK 21 江角 浩司
DF 26 村上 和弘
90+2'
DF 34 片岡 洋介
MF 7 上田 康太
MF 8 東 慶悟
FW 29 清水 慎太郎
FW 32 長谷川 悠
63'

監督

スターティングメンバー

GK 21 八田 直樹
DF 5 駒野 友一
DF 20 山本 脩斗
67'
DF 22 菅沼 駿哉
DF 24 チョ ビョングク
MF 6 ロドリゴ ソウト
MF 10 山田 大記
MF 11 松浦 拓弥
67'
MF 23 山本 康裕
36'
MF 33 藤田 義明
FW 18 前田 遼一

控えメンバー

GK 31 竹重 安希彦
DF 4 千代反田 充
DF 16 金沢 浄
MF 50 小林 祐希
67'
FW 9 山崎 亮平
36'
FW 17 金園 英学
67'
FW 44 ハン サンウン

監督

試合詳細
10 シュート 12
12 GK 8
7 CK 2
17 直接FK 9
2 間接FK 1
0 PK 0
試合データ

主審

松尾 一

副審

越智 新次

副審

山際 将史

第4の審判員

岡部 拓人

入場者数

12,126人

天候

晴、弱風

ピッチ状態

全面良芝

気温/湿度

10.0℃/58%
金澤、渡邉が値千金のゴール! 2-0で快勝し、ホーム最終戦で残留を決める!
ホーム最終戦は、残留を決める重要な一戦となった。

アルディージャは前節のC大阪戦で3-1と快勝し、無敗記録を「9」に伸ばした。2試合を残して、勝点40の14位。しかし、15位の神戸が勝点「1」差、16位のG大阪が勝点「3」差で追従している。J1の残留争いは、依然として混沌の様相を呈していた。

この日、14時30分にキックオフした試合で、G大阪はF東京を相手に引き分けた。暫定ながら、アルディージャとの勝点差は「2」に縮まった。つまり、今日の試合でアルディージャが残留を決めるには、“勝つしかない”ということになる。

迎え撃つ磐田は日本代表の前田や駒野をそろえる強敵だ。過去7試合で勝ち星がないが、アルディージャにとっては大きなアドバンテージではない。前回の対戦では前田に2ゴールを決められて0-4で敗れた相手である。しかし、今日の試合でアルディージャが勝てば、残留を決めるとともに勝点で磐田に並ぶことができる。最終節の清水戦、そして12月に再開する天皇杯に向けて、モチベーションは一気に高まるだろう。

17時33分、主審のホイッスルがNACK5スタジアム大宮の上空に高らかに鳴り響き、運命の一戦が幕を開けた。

お互いに集中した立ち上がりだった。アルディージャは2トップの一角に入ったノヴァコヴィッチがボールを引き出し、サイドに散らして攻撃を展開した。左サイドからチョ ヨンチョルがスピードに乗ったドリブルで磐田のディフェンスラインを切り裂く。開始早々の2分には渡邉のセンタリングにノヴァコヴィッチが頭で合わせた。11分にはCKのこぼれ球をドリブルで持ち込んだ金澤がミドルシュートを放った。いずれも得点にはならなかったが、オレンジに染まったゴール裏のボルテージが早くも高まった。

待望の先制点が生まれたのは28分だ。決めたのは、今シーズン初ゴールとなる金澤だった。ペナルティエリアの左角から右足を振り抜いた一撃は、鮮やかな弧を描きGKが伸ばした手をかわしてゴール右隅に突き刺さった。

直後の31分にはカウンターから粘り強くボールをつないで最後は青木がシュートを放った。枠をとらえることはできなかったが、先制点を境に試合が大きく動き出す。磐田も凄まじい執念を見せた。39分には磐田の山田に至近距離からのシュートを許すが、GK北野が抜群の反応でこれを封じた。前半終了間際には磐田の藤田が放ったミドルシュートがバーを直撃した。アルディージャは集中力を切らすことなく磐田の猛攻を阻止。1点のリードを奪ったまま前半を終えた。

「ベルデニック監督からは『まだ何も終わっていない。残り45分、しっかりプレーしていこう』と言われて後半に入った。磐田は前半からしっかりボールをつないでいたが、パワープレー気味に少し高い位置を取ってきた。ボールを奪ったあとにしっかりつなぐことができれば、カウンターからチャンスが作れると思っていた」こう振り返ったのは渡邉だ。後半早々にはCKからズラタンがヘディングシュート。決定機から幕を開けた後半も、アルディージャがペースを握った。追加点が生まれたのは57分。ドリブルでペナルティエリアに侵入したズラタンが、相手DFを引きつけてパスを折り返す。走り込んできた渡邉が左足を振り抜いて、ゴールネットを揺らした。

2点のアドバンテージを奪ったアルディージャが、その後も落ち着いた試合運びを見せた。磐田にボールを支配される時間もあったが、ブロックを形成してパスコースを消した。局面では激しいファイトも見せた。自陣ゴール前では、体を張って磐田のシュートをブロックした。集中した守備で最後まで磐田に決定的なシーンを与えなかった。

そして、ついに歓喜の瞬間が訪れる。アルディージャサポーターの大合唱の中、残留を告げる松尾主審のホイッスルがNACK5スタジアム大宮の上空に高らかに鳴り響いた。

「個々の能力が高い磐田に対して、我々の限界を超えて闘えたことをうれしく思う。残留のプレッシャーはあったが、攻守両面において組織的にプレーすることができた。また、過去10試合で負けなかったのは、選手、コーチングスタッフ、フロントのすべてが自分たちの役割を果たした結果。今日の勝利を全員で喜びたい」

ベルデニック監督は試合後の記者会見でこう振り返った。シーズンの途中から就任し、卓越した手腕でチームを再生させた。無敗記録を「10」に伸ばし、最終節を待たずして残留を決めた。もはやこれは単なる「残留力」ではない。正真正銘のアルディージャの実力である。

残留は決めた。しかし、J1リーグ戦はまだ終わったわけではない。「まだ清水戦が残っている。しっかり勝って、当初の目標である勝点50に少しでも近づけるように準備していきたい」と話したのはキャプテンマークを巻く菊地だ。「いい流れを途切れさせないように、最後まで自分たちのサッカーをやり続けて、いい形でシーズンを終えたい」と金澤も気持ちを引き締めた。いよいよ残り1試合。最終節の清水戦は集大成の舞台となる。


(総評: 岩本 勝暁 /写真:早草 紀子)

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監督コメント
監督 ベルデニック
今日、幸運にも勝利し、J1残留を確定できたことを非常にうれしく思います。磐田という個々のレベルが非常に高い選手の揃ったチームを相手に十分戦えたこと、それも、「戦う」という部分では限界を超えたプレーができたことに対して、とてもうれしく思っています。今日まで、残留するということに対して非常に強いプレッシャーの下でプレーしてきましたが、我々がいかに残留を決めたのか、ということが大事だと考えています。攻守の両局面において組織的にプレーできました。そして何より、ここ10試合負けることなく試合を進められたことは、選手、コーチングスタッフ、フロントスタッフと、クラブに関わる全員がそれぞれ自分たちの役割をしっかりとこなした結果だと思いますので、今日のこの勝利をクラブ全員で喜びたいと思います。

Q:残留を決める試合の先制点を金澤選手が決めたことは象徴的にも思えたが、彼が起用され始めてからここまでにチームにもたらしたものは?
彼は非常にポジティブなキャラクターの持ち主です。常にトレーニングに100%で臨みますし、いかなる批判も受け入れ、そこから学習して自分の物にしようとする姿勢は、非常に素晴らしいものです。彼はトレーニングや試合を通して、青木選手とパートナーを組みボランチとして非常に大きな役割を担ってくれました。それは守備的なことだけではなく、そこから前へ出ていって、得点を狙っていくということもです。今日はそれを結果としてよく表してくれました。
 
彼は、いかにハードワークしてJリーグの中でレギュラー選手としてプレーできるか、ということを見せてくれました。技術的な部分ではまだまだ改善できるところもありますが、非常に素晴らしいプレーを見せてくれたと思います。
 
今日偶然にも試合前、彼が100試合を超える試合出場数の中でまだ1得点ということを見て、今日の試合で得点が1つプラスされるのではないかと考えていたのですが、それが実際に起こり非常にうれしく思っています。

Q:メンタル面でのチームの成長をどうとらえているか?
精神的な部分と体力的な部分を切り離して考えることは難しいです。私は就任した最初から、いかに組織立った試合をするかということと、トレーニングを通していかにコンディションを上げていくか、という複合的なトレーニングをしてきました。それを実践しながら、我々のチームは目指すコンセプトを信じることができるようになり、その重要さに気が付いてプレーするようになりました。我々はトレーニング開始当初から、この重要点を逃すことなく取り組んできました。コンセプトを貫き通すためには精神的な部分も必要です。集中力が必要になり、そこで一人ひとりに責任が必要になり、もちろん技術的、戦術的な要素も含まれてきます。最初の3か月間は、そういう部分でのハードワークを選手たちに複合的に求めました。その結果として数多くの敗戦もありましたが、組織的に、集中してモダンなサッカーを出来るということを見せられたと思います。そういう意味では、我々のチームは将来のある戦い方ができているのではないかと考えます。このままの状態で次のステージに進むことができれば、我々はより高い位置に歩みを進めることができると思っています。

Q:ここまで毎年残留争いに巻き込まれている大宮が、一段高い位置に進むために必要なことは?
組織的に試合を運んでいくこと、その中で集中力を途切れさせずプレーすることができるならば、我々は来季、中位以上の成績が残せるのではないかと考えます。それは、私がこの6か月間大宮でやってきた仕事、また、それ以前にやってきた仕事のいろいろな部分を比較した上で言っていることです。例えば市原(現千葉)で監督を務めた時も、最初の6か月で残留を果たし、次のシーズンでより高い順位に行きました。もちろん同じことがそう簡単にできるとは思いませんが、間違いなく我々は次のステップへ進んでいると言えると思います。
 
付け加えるならば、我々のチームには、非常に飛び抜けた個を持っている選手がそれほど多くいるわけではありません。ただ、我々は非常に組織的に戦うことができる強いチームであると思いますし、それに耐えうるいい選手が揃っていると思っています。
選手コメント
MF 23 金澤 慎
Q:この残留を懸けた試合にどんな気持ちで臨んだか?
試合前に他チームの結果を知っていたので、ここで自分たちが勝って残留を決めよう、とみんなで話し合って臨みました。

Q:得点の場面で意識していたことは?
普段だったら簡単にクロスを上げているところだったと思いますが、何を考えたのかシュートを打って、それがたまたま入ったということだと思います(笑)。

Q:ゴール後にハートマークのようなポーズをしていたが、どんな意味があったのか?
ずっと前から、ゴールを決めたらこういうことをやろうね、というのを家族で話し合って決めていたので、やりました。

Q:9月から10戦負けなしだが?
監督のやろうとしているサッカーをみんなが試合で表現しようと練習から頑張っています。「絶対に残留する」という気持ちを持って今まで戦ってきたのが、負けなしにつながっているのではないかと感じています。

Q:残留は決まったもののまだ1試合残っているが?
J1リーグ戦のラスト1試合がありますし、天皇杯もあるので、このいい流れを途切れさせないように、最後まで自分たちのサッカーをやり続けて、いい結果を残してシーズンを終わりたいと思います。
MF 13 渡邉 大剛
Q:どんな気持ちで今日の試合に臨んだか?
絶対に落としてはいけないと思っていました。個人的には降格を経験しているので、そういう思いは絶対したくないと思いながらプレーしていました。個人的には、FC東京にいる弟(渡邉千真選手)に、今日のG大阪戦で頑張ってくれと言っていて、本当に点を取ってくれたので、自分も点を取ってチームのためになろうと考えていました。

Q:ゴールの時に意識していたことは?
ズラタンからマイナスのパスが来ればいいなと思っていたら実際に来たので、浮かさずに枠をとらえようと思いながら蹴りました。うまく相手GKの逆を突いてゴールに吸い込まれたので、よかったです。

Q:9月から10試合負けなしだが?
いろいろな要因があると思いますが、1つはチームとしての試合の進め方に安定性が出てきたこと。守備で失点が少なくなってきたのと、攻撃でもようやく自分たちがトライしてる形が試合の中で多く出せるようになって、それが実際に得点に結びついていること、先制した後に追いつかれて逆転されないという強さも身に着けることができてきたと思います。あとは、選手一人ひとりの気持ち、チームを支えてくれる関係者の皆さまやクラブ全体の気持ちが自分たちにもひしひしと伝わりましたし、毎回たくさんのファン・サポーターの方たちがスタジアムで後押ししてくれていたので、そのすべての力が今日の結果に結びついたと思っています。

Q:J1リーグ戦ラスト1試合に向けて。
今日残留を決めたことはすごく良かったと思いますが、次の最終節で変な試合をして負けることのないように、もう一度気を引き締めてトレーニングから準備したいと思いますし、この流れを切らさずにJ1リーグ戦の最後まで負けなしで、勝って終われるようにしたいと思います。天皇杯は少し時間が空きますが、ベスト16に残れているというチャンスをしっかりと生かせるように、一戦一戦また戦っていきたいです。
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