第92回 天皇杯 4回戦
2012.12.15 [SAT] 13:00 NACK

大宮

  • 63' ノヴァコヴィッチ
  • 67' 東 慶悟
  • 86' 東 慶悟
  • 90+1' ノヴァコヴィッチ
4 - 3
0 前半 3
4 後半 0

川崎F

  • 6' 小林 悠
  • 26' 小林 悠
  • 38' レナト
試合経過
メンバー

スターティングメンバー

GK 1 北野 貴之
DF 30 渡部 大輔
72'
DF 2 菊地 光将
DF 3 河本 裕之
DF 22 下平 匠
MF 13 渡邉 大剛
MF 6 青木 拓矢
MF 23 金澤 慎
55'
MF 9 チョ ヨンチョル
80'
FW 8 東 慶悟
FW 19 ノヴァコヴィッチ

控えメンバー

GK 21 江角 浩司
DF 26 村上 和弘
DF 34 片岡 洋介
MF 7 上田 康太
MF 16 金久保 順
FW 29 清水 慎太郎
FW 32 長谷川 悠

監督

スターティングメンバー

GK 21 西部 洋平
DF 3 田中 裕介
DF 15 實藤 友紀
DF 4 井川 祐輔
DF 23 登里 享平
MF 20 稲本 潤一
70'
MF 30 大島 僚太
MF 14 中村 憲剛
FW 16 楠神 順平
76'
FW 10 レナト
FW 11 小林 悠

控えメンバー

GK 1 杉山 力裕
DF 22 福森 晃斗
DF 35 山越 享太郎
MF 18 杉浦 恭平
MF 31 風間 宏希
MF 34 風間 宏矢
FW 9 矢島 卓郎

監督

試合詳細
15 シュート 10
7 GK 7
5 CK 3
11 直接FK 15
2 間接FK 4
0 PK 0
試合データ

主審

木村 博之

副審

相葉 忠臣

副審

村井 良輔

第4の審判員

秋澤 昌治

入場者数

7,503人

天候

曇、弱

ピッチ状態

全面良芝、乾燥

気温/湿度

9.3℃/52%
3点差を跳ね返す劇的な勝利で、天皇杯準々決勝へ
来年の元旦決勝を目指し、一発勝負のトーナメントマッチを戦う第92回天皇杯全日本サッカー選手権大会。2回戦で秋田県代表のブラウブリッツ秋田を、3回戦でJ2の福岡を下したアルディージャは、NACK5スタジアム大宮での4回戦で川崎と対戦した。

来季も指揮を執ることが決定したベルデニック監督の下、クラブ新記録となる11試合負けなしで終了したリーグ戦の勢いを持続しつつ、新たな可能性も示したい注目の一戦は、曇天のなかアルディージャのキックオフでスタートした。

開始早々、いきなり試合が動く。攻撃参加した左サイドバックの登里に起点を作られたアルディージャは、パスを受けたレナトにサイドを抉られ、ペナルティエリア深くからの折り返しを小林に押し込まれる。1点のビハインドを負った直後には中盤でボールを失い、レナト、小林、楠神とパスをつながれてしまう。青木がいち早く身体を寄せて、前線まで上がってきた右サイドバックの田中のフィニッシュは防いだものの、危険なシーンが続く立ち上がりとなった。

主導権を奪えず迎えた26分には、大島と楠神に中央でパスをつながれ、中村のラストパスに抜け出した小林に追加点を決められてしまう。2点を先行された直後、右サイドを突破した東の鋭いクロスに反応したチョ ヨンチョルがニアサイドに飛び込んでゴールを脅かすが、あと一歩届かない。

1点差に詰め寄る絶好機を逃したアルディージャは、その後、またも川崎の細かく速いパス回しについていけず、苦しい展開を強いられる。38分には稲本、楠神のお膳立てからレナトに3点目を流し込まれてしまった。気がつけば、0-3……。ほとんど見せ場がなく前半の45分が過ぎた。

「後半もう一度集中力を持って戦うこと。ゲームはまだ終わっていない」

ハーフタイムにベルデニック監督からそう檄を飛ばされたアルディージャの選手たちは、後半開始から1分も経たずにビッグチャンスを創出する。だが、ペナルティエリア内での東の渾身の一撃はGK西部に防がれてしまう。さらに、チョ ヨンチョルのクロスを受けたノヴァコヴィッチのヘディングも西部の正面を突き、ゴールを奪えない。

試合時間は残り30分。しかし、アルディージャは落ち着いてボールを保持し、川崎のゴールに圧力をかける。交代出場した上田が攻撃にアクセントを加え、両サイドの渡邉とチョ ヨンチョルが積極的な仕掛けを見せる。そして63分、待望のゴールが生まれた。「どんどんシュートを打っていこうと思った」という東が右足を振り抜き、西部が弾いたボールをノヴァコヴィッチが右足で押し込んだ。

この1点で完全に流れが変わり、アルディージャのゴールショーが幕を開ける。4分後、左サイドを駆け上がった上田のクロスのこぼれ球を拾った東が、狙い済ましたシュートをゴール右隅に押し込んで1点差。さらに72分には、ノヴァコヴィッチのフィニッシュがクロスバーを直撃し、同点への期待が高まる。守備では菊地と河本が身体を張り、川崎に反撃の糸口を与えない。

同点ゴールは86分。ピッチ中央でボールを持った東が前線で待つノヴァコヴィッチへクサビのパスを打ち込み、身体を張ったプレーからのリターンパスをゴールに突き刺した。そしてアディショナルタイムに突入し1分が過ぎると、スタジアムがこの日一番の歓喜に包まれた。ノヴァコヴィッチが東との華麗なワンツーを右足で捉え、天皇杯準々決勝進出を決める4点目を流し込んだ。

試合後の記者会見、ベルデニック監督は興奮した様子もなく、淡々とアルディージャの可能性について言及した。

「前半で0-3という非常に厳しい状態から試合をひっくり返す選手たちがいる。それがこのクラブの将来にとって大事なことだ」

次なる戦い――天皇杯準々決勝は12月23日。アルディージャは来シーズンへの期待も感じさせながら柏と対戦する。

(総評:粕川 哲男 /写真:早草 紀子)

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監督コメント
監督 ベルデニック
我々はこのゲームに向けての2週間で非常にいい準備ができていました。その中には、フィジカル面に重点を置いたミニキャンプ的なトレーニングもありました。体力面では非常にいい準備ができていましたので、延長戦に入れば十分に勝機はあると見ていました。
 
前半に関しては、サッカーにおいてやってはいけない戦い方をしてしまいました。守備でのコンパクトさが全く機能せず、その中での守備でのアグレッシブさも出せませんでした。ボールに対してプレッシャーを掛けに行ったとしても間合いが遠く、相手に十分プレーさせ過ぎてしまったが故の3失点でした。
 
2つ目の問題点は、攻撃でのボールの動かし方が遅かったことです。何人かの選手はボールタッチ数が増え過ぎて、それによって相手に詰め寄られる時間、競り合いに持ち込まれる時間を作ってしまいました。
 
この2点についてハーフタイムに改善を加え、さらに勇気を持ってプレーすることを掲げ後半に臨みました。相手が3点取ったなら、我々にも3点取れないことはないし、4点目が取れないということもありません。実際に彼らは勇気を持ってプレーして、何ができるのかということを十分に示してくれました。我々には個々に特別に優れた選手はいないかもしれませんが、非常に強固なチームであることは見せることができました。それが、我々のクラブの長所だと思っています。
 
選手たちは、0-3という非常に難しい状況から、試合をひっくり返すために必要なポジティブな個性を十分に持っていること、そしてそれを表現できることを見せてくれました。そうした個性を持っている選手たちがいるということが、このクラブの将来にとって非常に重要なことだと思います。

Q:前半はなぜ悪いプレーが出てしまったのか?
唯一考えられるのは、メンタル面での問題でしょう。私は試合前に選手たちに対し、我々のホームスタジアムに来る我々のサポーターに対していい試合を、闘争心をしっかりと見せようという話をしました。残念ながら我々はシーズンを通し、アウェイではいい戦いをしても、ホームでいい試合をファン・サポーターの皆さんに示すことができていません。その状況を打破しようという話をしました。今日の勝利で選手たちは自信を持って、今までの悪い流れを変えることができるのではないか、と思っています。
 
もう1つ考えられるメンタル面での問題ですが、今のこの時期、選手たちはクラブといろいろな話をしています。契約の問題であったり、他クラブからのオファーであったり、ということが想像されます。そうしたことを頭の中に抱えてプレーするということで、少しメンタル面での問題点が出てしまったかもしれません。

Q:上田選手投入後にリズムが良くなったが、起用の意図は?
我々がより攻撃的に出ていく上では、ボランチのポジションで彼の持つ創造性が生きてくるだろうと考えました。実際に彼の攻撃的なパスや、攻撃面での創造性が生かされたと思います。彼自身、守備面での課題の改善に取り組んできましたから、そこでの彼の良さも非常に出せたのではないでしょうか。彼自身も良いプレーをしたと感じていると思います。
選手コメント
MF 8 東 慶悟
Q:ハーフタイムには具体的などんな話し合いをしたのか?
J1リーグ戦ではこれまでになかったような前半でした。リーグ11試合負けなしでここまで来ていたのに、ああいう試合をしてしまったので、いろんな話が飛び交ってました。僕自身も、1点ずつ取っていこうと声を掛けました。

Q:自身の1点目の場面を振り返って。
いいところで落ち着いてコントロールできたので、それでうまく入ってくれたのかな、と思います。蹴った瞬間に「入った」と思いました。

Q:その後はシュートが増えたが、自分の判断か?
自分でどんどんシュートを打っていこうと思いました。0-3でも0-4でも負けは負けなので、とにかく1点でも多く自分が取れればいいと思って、どんどんシュートを狙っていきました。

Q:自身の2点目の場面を振り返って。
ゴール前でゴチャゴチャとなって、思い切ってシュートを打とうと思って打ちました。うまくいいところに行ってくれたので、良かったなと思います。

Q:得点シーンを含めノヴァコヴィッチ選手とのコンビネーションが良かったが?
ノヴァはストライカーなので、常にゴールを狙える位置にいてくれます。僕もボールを受けたら、まずノヴァの位置を見るようにしています。

Q:0-3から逆転できた要因は?
J1リーグ戦をいい形で終わったのに、天皇杯で大敗するというのは、サポーターの皆さんにも非常に申し訳ないですし、また来年にも引きずってしまいます。こうやって逆転できたことは、まだ次の試合もありますけど、来年のシーズンにもつながるのかなと思います。

Q:次は23日の準々決勝だが?
負けたら終わりなので、今年1試合でも多くできるように、頑張っていきたいと思います。
FW 19 ノヴァコヴィッチ
Q:自身の1点目の場面を振り返って。
あのポジションにいたことが、FWとしての役割だと思っています。そして、次の東選手のゴールも素晴らしいものでした。

Q:決勝点の場面を振り返って。
チームとして「勝ちたい」と強く思っていましたし、その中で試合を決める最後の得点を決められたことを私自身誇りに思っています。また次の試合でもトライしていきたいです。

Q:東の2点目をアシストしたが、今日の2人の連係は?
東選手はとてもいい選手ですし、私と東選手はお互いを理解し合っています。そして、あのようなシチュエーションが生まれました。私がカウンターからパスを出し、そして東選手の素晴らしいゴールが生まれました。

Q:次は23日の準々決勝だが?
私たちのパフォーマンスは常に良くなっていますし、負けていないことでそれが証明できていると思います。次の対戦は、ベスト4を懸けてトライしていきたいと思っています。
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