日本プロサッカー選手会「ドナルド・マクドナルド・ハウス」訪問

10月1日(火)に、大宮アルディージャVENTUS選手代表の五嶋京香 選手、船木里奈 選手、久保真理子 選手の3選手が、大宮アルディージャ選手会会長・加藤有輝 選手、志村滉 選手とともに、一般社団法人日本プロサッカー選手会(JPFA)の活動として埼玉県小児医療センター内にある「ドナルド・マクドナルド・ハウスさいたま」を訪問しました。

今回の活動には、JPFA理事(副会長)でもあり、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウスチャリティーズ・ジャパンの「Team DMHCアンバサダー」を務める権田修一 選手(清水エスパルス)と大宮アルディージャアカデミー出身の松崎快 選手(清水エスパルス)も参加。

子どもたちや、そのご家族、医療関係者およびボランティアスタッフの皆さんとの交流を通じて、笑い合い、学び合い、選手たちにとってもかけがえのない時間となりました。


文・写真=早草 紀子


最初に訪れたのは、埼玉県立小児医療センターに入院している小中学生が通うさいたま県立けやき特別支援学校。

体育館に集まった生徒の皆さんに、プロフェッショナルな技を見せようとキックやストラックアウトなどに選手たちが臨みました。慣れない体育館の床やサイズ違いのボールに手こずる場面も見られましたが、どうやらそれがアスリート魂に火をつけたようです。マイクを握って進行していた権田選手も急遽参加し、参加選手が団結して行ったデモンストレーションに続き、けやき特別支援学校の先生方も参加したドリブルリレーが行われるなど、体育館は生徒の皆さんの笑い声と拍手に包まれていました。

最後にはサッカーが大好きだという生徒さんから「好きな選手は?」「気持ちよかった瞬間は?」といった質問が寄せられ、あっという間に下校時間となってしまいました。



その後、選手たちは小児病棟へ。それぞれの病気と懸命に向き合う姿に「もっと私たちも頑張らないと! 」と改めて感じたと話すのは五嶋選手です。

「自分よりも小さな子どもが、こんなにがんばってる。私たちにできることはまだまだたくさんあると思いました。親御さんから元気をもらいました、と言ってただいたのですが、私たちの方が元気をもらえました。そういう実感があるからこそ、多くの人に知ってもらいたいと思いますし、いろんな選手が継続的にこの活動に参加できるといいですよね」(五嶋選手)。



そして最後に訪れたのが、ドナルド・マクドナルド・ハウスさいたまです。

ここは入院している子どもたちのご家族のための宿泊施設で、国内で唯一、病院内にあるドナルド・マクドナルド・ハウス。24時間体制でご家族をサポートしています。各所からの寄付により一泊1,000円という料金を実現していること、そして業務の多くはボランティアによって支えられていることなどを説明していただいているとき、思わぬ事実が明かされました。参加していた久保選手のご両親が、ボランティアとしてつい先日も夜間シフトに入っていたというのです。これには権田選手も「え! 何で今まで言わなかったの! ?」と驚きの声を上げていました。

「両親から話は聞いていましたが、来たのは初めてなんです」と照れ笑いを浮かべていた久保選手。「自分のパフォーマンスをしっかり見せることはもちろん、それ以外にもできることはあるし、訪問や寄贈など継続的にお互いに元気を交換できるようなつながりを築けたらいいなと思います」(久保選手)。と、続けていくことの大切さを実感していました。



ハウスを利用しているご家族とも交流させていただきました。小さな子どもたちの移植後の様子や、以前利用していたご家族が現在ボランティアスタッフとして病気と向き合うご家族をサポートしているというお話に聞き入っている選手たち。

交流後、「この活動のことをゴシさん(五嶋)に聞く前にSNSで見て、すごく行きたい! と思ってたんです」と熱量を持って話をしてくれたのは、一早くこの活動参加に手を挙げた船木選手です。もともと保護犬のボランティア活動に興味があり、将来的に誰かの役に立つ活動をしたい、と言います。

「病院内にご家族のために宿泊施設があるのもいいですよね。もっと早く知りたかった! 印象に残ったのは病院内に登場するハートフルカート。外で欲しいものを選ぶことができない子どもたちが、このカートから“一つの欲しいもの”を選ぶ。そのカートにのせるものを寄贈する、ということであれば自分たちがすぐにでもできますよね」(船木選手)。



わずかなことでも途切れさせることなく継続できるサポートを——。

「VENTUSとして、サッカー選手として何ができるのか、もう一度ちゃんと考えよう! 」「外出できるくらい元気になったら、NACK5スタジアム大宮に招待しよう! 」と選手たちの言葉が尽きることはありませんでした。

アスリートとして生活する日常では、決して出会うことができない子どもたちと触れ合い、選手たちのエネルギータンクは満タン。今回の訪問は選手たちにとっても大切な時間となりました。




早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。

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