【ライターコラム「春夏秋橙」】過去2度決勝で阻まれたクラブユース選手権。“歴史を変える”戦いへ挑む

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、アカデミーの定点観測を続けている土地記者に、723日に開幕する日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の見どころについて紹介してもらいました。

【ライターコラム「春夏秋橙」】土地 将靖
過去2度決勝で阻まれたクラブユース選手権。“歴史を変える”戦いへ挑む


4月に開幕した高円宮杯JFA U-18プレミアリーグ2023は前半戦の11試合が終了した。大宮アルディージャU18は開幕から5試合白星なしと苦しんだが、第6節・旭川実業戦で今季初勝利を挙げると、徐々に調子を上げていった。第10節、第11節では今季初の連勝を遂げ、尻上がりに成果を出しながらのリーグ中断となった。

プレミアリーグはこの後、92日、3日に行なわれる第12節まで約2カ月の中断に入るが、ここでもう一つの全国大会が行われる。クラブチームの高校年代の覇を競う日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会だ。頂点までの試合数は、11日間で7試合という超ハードな日程で、そのためグループステージは35分ハーフ、ノックアウトステージに入っても40分ハーフとレギュレーションも通常とは異なる。夏の暑さの中、技術・戦術だけでなく気力や体力も総動員させて戦う、超短期決戦だ。 

黒川淳史や加藤有輝(ギラヴァンツ北九州)、藤沼拓夢(相模原SC)らを擁した2015年の第39回大会、高柳郁弥や吉永昇偉(愛媛FC)がけん引した2018年の第42回大会と、過去2度の決勝進出を果たしているが、あと一歩、タイトルに届かない。だからこそ、エースナンバーの10番を背負う種田陽は「もちろん全力で優勝を狙いにいきたい」と意気込む。

まずは4チームで3試合が行なわれるグループステージで2位以内に入り、ノックアウトステージ進出を果たさなければならない。そのためには、やはり初戦のアルビレックス新潟U-18(723日・コーエィ前橋フットボールセンターA)が大きな鍵を握る。

「最初の試合で良いゲームができるか、良い結果が得られるか、そこで大きく変わってくる。チームが波に乗れるか、そういう意味でも最初の新潟戦が大きいと思っています」(森田浩史監督) 

大会中、2日連続での試合となる日程が2回あるが、そのうちの一つがグループステージ2戦目。栃木SC U-18(724日・群馬県立前橋工業高等学校グラウンド)は中24時間と休息は十分ではないが、だからこそ初戦を獲って勢いをつけ、そのまま相手を呑み込んでしまいたい。ラウンド16も、グループステージ3戦目からの連戦となるため、「ここがやっぱりきつい」(森田監督)2連勝を果たせればノックアウトステージ進出はほぼ確実となるだけに、選手の入れ替えもしやすくなるなど、上を目指す意味では戦略的にも重要な一戦となる。

3戦目では、サガン鳥栖U-18と対戦する(726日・アースケア敷島サッカー・ラグビー場)。昨年のプレミアリーグファイナルを制した強豪で、今年の代が中学3年生だった2020年には、高円宮杯 JFA 32回全日本U-15サッカー選手権大会も制している。実は、ここで少々の因縁も含んでいる。

「本当はその1回戦で当たる予定だったんですけど、僕らが新型コロナの影響で辞退ということになってしまったんです。今回、抽選の前から、鳥栖と当たりそうな変な予感があったんですけど、見事に当たっちゃいました()。第3戦なのでどういう状況で戦うかわからないですけど、3年越しでこういう組み合わせになったことは少し運命的なものを感じます」(森田監督)

1回戦で戦うはずだった相手と戦えず、その相手がそのまま優勝を果たしたとすれば、もし自分たちが出場できていればどうだったのか、悔しさ、無念さはひとしおだろう。この巡り合わせに、その思いをぶつけてほしい。 

新戦力の台頭が見られるのもこの大会の特長だ。プレミアリーグ前半戦の最終戦となった第11節では、長く戦線を離れていた磯﨑麻玖が7試合ぶりに復帰。また、今一つ波に乗れていない感のあった安部直斗が値千金の決勝点をたたき出すなど、大会へ向けての好材料が見られた。また、コンディション面で戦列を離れていた選手たちが戻ってくることも期待される。何より、これまで出場機会の少なかった、あるいはまったくなかった戦力が急に輝きを放ち出すこともある。総力戦であるが故の副産物も見逃せない。 

今季プレミアリーグでチーム得点王の高橋伸太朗は「自分たちが歴史を変える」と鼻息荒く、キャプテンの市原吏音も「やれるんじゃないかなという自信がある」と期待感を胸に大会へ臨む。

群馬県内で行なわれるグループステージから準々決勝までの各試合は、すべて入場無料で845分キックオフと早朝からの試合となる。準決勝と決勝は味の素フィールド西が丘で夕刻からの開催となる。弟分たちの歴史の転換点となるよう、ぜひ現地で後押しをしていただきたい。

グループステージ第1節

7月23日(日) 8:45キックオフ
アルビレックス新潟U-18
コーエィ前橋フットボールセンターA

グループステージ第2節

7月24日(月) 8:45キックオフ
栃木SC U-18
群馬県立前橋工業高等学校グラウンド

グループステージ第3節

7月26日(水) 8:45キックオフ
サガン鳥栖U-18
アースケア敷島サッカー・ラグビー場

ラウンド16

7月27日(木) 8:45キックオフ
会場未定

準々決勝

7月29日(土) 8:45キックオフ
コーエィ前橋フットボールセンター

準決勝

7月31日(月) 16:00or18:30キックオフ
味の素フィールド西が丘

決勝

8月2日(水) 18:00キックオフ
味の素フィールド西が丘

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