【ライターコラム「春夏秋橙」】積み上げたゴールは1196。
J通算1200ゴールまであと4得点

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。第11節・FC今治戦終了時点でクラブのJリーグ通算1200ゴールまであと4得点。今回は、過去のメモリアルゴールを振り返ってみました。

【ライターコラム「春夏秋橙」】戸塚 啓
積み上げたゴールは1196。 J通算1200ゴールまであと4得点


クラブ通算ゴール数が、1200に迫っている。記念すべき第1号はJ2初年度の1999年、その開幕節に生まれた。アウェイのヴァンフォーレ甲府戦で、佐藤昌吉が得意の左足から直接FKを蹴り込んだ。京都サンガから加入したレフティーの得点は、2-1の勝利に結びついている。

100ゴールは翌2000年11月5日、J2第41節・アルビレックス新潟戦、埼玉県営大宮公園サッカー場で刻まれた。右SBの上村祐司がダイアゴナルに持ち出し、ゴール前へパスを通す。走り込んだ原崎政人が、右足で流し込んだ。試合後に「落ち着いて決めることができました」と話した技巧派MFは、このシーズンチーム2位の9得点をマークした。

日韓W杯の熱が冷めない2002年8月3日、200ゴールが記録された。決めたのは小島宏美である。7月末にガンバ大阪から期限付き移籍で加入すると、デビュー戦となった横浜FCとのアウェイゲーム(J2第22節)でいきなり魅せた。パナマ代表FWバルデスと2トップを組むと、爆発的なスピードを生かして2得点1アシストの衝撃的なデビューを飾ったのである。

300ゴールは2004年6月のJ2第19節・水戸ホーリーホック戦で、島田裕介によるものだ。安藤正裕がアーリークロスを入れると、ゴール前へ走り込んで得意の左足を振り抜いた。プロ5年目を迎えていた彼は途中出場の“ジョーカー”として三浦俊也監督から信頼され、J1昇格に貢献した。

400ゴールはグラウが決めた。2006年に期限付き移籍で加入し、7月22日のJ1第14節・甲府戦で記録している。J1で実績を積んだブラジル人FWへの期待は高まったが、7月末でクラブを去った。

500ゴールは藤本主税の右足で記された。2009年5月9日のJ1第11節・ジュビロ磐田戦である。金澤慎の縦パスを藤田祥史がペナルティエリア内右で収め、落としたボールを藤本が受けて逆サイドへ蹴り込んだ。多くの試合で主将の腕章を巻いた藤本は、大宮で歴代9位タイの試合出場も記録した。

その藤本の大宮でのラストゲームで、通算600ゴールが生まれた。2011年12月3日のJ1第34節、対甲府戦で東慶悟がゲットした。試合後には藤本があいさつし、「オレンジの11番はオレしか似合わんけど、誰かに託します」と万感の思いを口にして、ファン・サポーターの大きな拍手を浴びた。

また、2010年2月から骨肉腫の治療とリハビリに取り組んできた塚本泰史が、翌年から選手契約を更新せずにアンバサダーに就任することも発表された。塚本は涙を流しながら「10年からの2年間、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

2014年5月6日に記録された700ゴールは劇的だった。FC東京とのアウェイゲームは、0-0のままアディショナルタイムに突入する。ドラマはここで起こる。90+3分、GK江角浩司のパントキックに反応した長谷川悠が、相手DFに競り勝って右足を振る。これがサイドネットに突き刺さった。リーグ戦8試合ぶりの勝利に、敵地に詰めかけたファン・サポーターと選手たちが歓喜を分かち合った。

2015年にJ2へ降格したチームは、1年でのJ1復帰を果たす。800ゴールはこのシーズンの最終節に記録された。11月23日に行なわれたツエーゲン金沢とのアウェイゲームで、福田俊介が2-1の勝利につながる決勝ヘッドをたたき込んだ。試合後の福田は「練習どおりの形でした」と、チームの練度を讃えた。

900ゴールはそれから約2年半後、2018年6月30日、J2第21節・愛媛FC戦で刻まれる。大前元紀がDFの股間を抜く技巧的なシュートを決め、NACK5スタジアム大宮に歓喜を呼び込んだ。加入2年目のストライカーはこのシーズン24得点を記録し、J2得点王に輝くこととなる。

節目の1000ゴールは2020年7月、黒川淳史がゲットした。新型コロナウイルス感染拡大による中断明けの初戦、J2第3節・ザスパクサツ群馬とのホームゲームでコースを狙ったヘディングシュートを決めた。「自分の中ではメモリアルゴールを決めて歴史に名前を刻んで、チームを勝たせたいと思っていたので良かったと思います」と、試合後には喜びを表わした。

2022年4月16日には、1100ゴールが記された。J2第10節・ジェフユナイテッド市原・千葉とのホームゲームで、河田篤秀が記録した。開幕から9試合勝利のなかったチームに、背番号10を着ける点取り屋がシーズン初勝利をもたらした。

100ゴール単位ではなく50ゴール単位で振り返ると、500ゴール以前には野口幸司、バレー、森田浩史、小林大悟らの名前が並ぶ。その後もズラタン、播戸竜二、江坂任、フアンマ・デルガド、小野雅史、富山貴光と、クラブの歴史を彩ってきた選手たちが勢ぞろいする。一方で、出場試合数上位の金澤、斉藤雅人、奥野誠一郎、トニーニョ、渡部大輔らが入ってこないのは、少し意外な気もする。貴重な得点を決めた菊池光将や河本裕之らにも、同じことが言えそうだ。

さて、1200ゴールを決めるのは誰なのか。

ちなみに、節目のゴールを2度決めた選手は、まだ一人も現われていない。現所属選手では富山にその可能性があるが、果たして──。

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