今回の対談は山梨学院大学の同期でもある上田佳奈 選手と関口凱心 選手の登場です。大学時代の話に花が咲くかと思いきや、2人の交流は小学校まで遡り、意外な関係性が発覚しました。まったく壁のない者同士の対談をお届けします。
──お二人のファーストコンタクトは?
関口凱心(以下、関口) 小学校5、6年?招待試合があって、そこでの対戦で…、ウチのチームがボッコボコにやられたんです(苦笑)。
上田佳奈(以下、上田) 記憶があまりないんですけど、水色のユニフォームだったことは覚えてる(笑)。当時、自分は髪の毛が長くて、一目で女子だと分かるから、記憶に残ってるんじゃない?
関口 めっちゃ覚えてます!俺はマジで衝撃だったから…(苦笑)。1-7とかですよ?本当にこの人にやられた!俺らもそんなに弱いチームじゃなかったのに…。
上田 見かけによらず、今のポジションからは想像できないくらいゴッリゴリのストライカーだったんです(笑)。
関口 俺らのCBが吹っ飛んでたから!
上田 マッチアップしてたら、この企画イヤだったかもね。
関口 話したくないだろうね。俺はそのときサイドだったから、直接やられてないんで大丈夫(笑)。
──そういう相手と大学で再会するって、どんな感情になるんですか?
関口 俺は小学校のその衝撃で記憶が止まってるからバケモンですよ!
上田 ちょっと!バケモンって…!でもJリーガーにバケモン認定されるのも良いか(笑)。でも大学では練習の時間帯も違うからすれ違うだけだったよね。「最近どう?」「俺、今ケガ」「自分もケガ」みたいな一言交流(笑)。
関口 あとウェルシア、ね。大学周辺のお店に行ったら誰かしらに会う(笑)。
上田 だいたいチャリで分かります。部活のシールが貼ってあるんですよ。
関口 そしてかごには大抵スパイクが入ってる。
上田 男サカって、めっちゃ柔軟剤買ってなかった?
関口 それは知らない(笑)。でもウェルシア行けば何でもそろう!営業時間は朝9時から夜12時までです。
上田 めっちゃ覚えてるね(笑)。
──先に大宮に決まったのは大学4年時に特別指定で参加していた関口選手でした。
関口 その前年大学リーグ1部だったとき、一つ上の平河悠さんが活躍して、FC町田ゼルビアに行ったので、それはリアルに刺激を受けたんです。
上田 でも凱心のとき、2部だったよね?レベルが高い男子のなかで、下のカテゴリーでも、評価されたら特別指定とかの道があるんだって思いました。女子はちょうどその時くらいから急に強くなって結果を残したら、自分がVENTUSに来るようなことが起きたけど、凱心はチームの躍進があってとかじゃなくて個人で認められての結果だから、すごいですよ。
──そんな関口選手を追うように、上田選手もVENTUS入りが決まりました。
上田 「お互いがんばろう!」って盛り上がったよね。
関口 大宮に決まったって聞いて「おめでとう」って。
上田 上からね(笑)。
関口 違う違う!決まったら普通「おめでとう!」が先でしょ。そこからの話でしょうが(苦笑)。
上田 いやいやJリーガーですから。
関口 もう…(苦笑)。でももともと大宮のJr.ユースでやってて、ユースには上がれなかったんですけど、こうやって大学でのプレーを評価してもらって、地元に戻ってくるっていうのは感慨深いです。落とされると元のチームを嫌いになる人もいるけど、俺は全然そういうのなくて、練習参加して内定もらったときは即決でしたね。
上田 エモい…。
──現在のお互いのプレーの印象は?
関口 映像でしか見てないけど、いやビックリした!あんなゴリゴリだった人が、真ん中でなんかパス散らしてる(笑)。違う人?って感じです。いっぱい展開作りながら、守備でボール刈り取る。ファイターなところは変わらないけどね。
上田 ファイターですけど、プレースタイルは180度変わりました。凱心の大学時代は、ボランチなのにハットトリックとかして、ボランチってこんなに上がっていいんだって思ってました。自分が上がっちゃいけないバランサーだったから羨ましかった。でも大宮で見たときはサイドバックやってて…。器用だよね。
関口 今はあんまり出れてないけど、特別指定のときはいきなりサイドバックで出たから自分もビックリした。高校の時にGK以外全部やったので、その経験があったからこそだと思うし、複数ポジションできて損はないなって思う。
上田 ヤバい…。今、ボランチしかできない。強いて挙げるなら1.5列目かな。結構守備的にみんなからも思われてるんですけど、心の中では前に行きたい感じです(笑)。性格も変わったのか、バランス取る感じに落ち着いてますね、今は。
──でも関口選手の話を聞いていると、大暴れする姿も見てみたいですね。
上田 確かに点は取りたいな。
関口 取ろうよ。
──なんか、お二人は不思議な関係ですね。
上田 確かに。幼馴染でもないし、マブダチでもない(笑)。あの対戦つながり?
関口 でもやっぱり同じ埼玉出身ってだけで親近感沸くよね。
上田 それはある!サッカースクールがいっぱいあったから、そこはチームの枠を越えていくというか…。基本、顔と名前は一致してるよね。でも、ここの関係は凱心が話しやすいからじゃない?自分は小学校のとき、男の子の中に混じってたからいろいろ言われることもあって…。チームメートはみんな優しかったんですけどね。なんなら自分がボス、くらいな。
関口 あはははは(笑)。
上田 笑い過ぎ!けど、男の子とか高学年になると、思春期かなんか知らないけど、試合前の握手とかしてくれない子とかもいたんですよ。これ、あるあるで。舐められてんなーって思うようなことをやられると燃えるんですよね(笑)。
関口 俺、ちゃんと握手したと思うんだけどなー。あのやられっぷりは誰かしなかったヤツがいたのか…。
上田 どうだっけな(笑)。でもめっちゃ点取ると、試合後の握手はしてくれるんですよ、なんなら両手で(笑)。してやったり!みたいなのはありましたね。
関口 気をつけます!
上田 だから小学校のときにちゃんと話をしてくれた人は印象に残ってる。凱心もそう。あと凱心は馴れ馴れしくしない!
関口 それはお互いじゃない?壁ないよね。
上田 まったくないね。
──今だから聞ける素朴な疑問はありますか?
関口 あったら聞いてる(笑)。でも…、俺一回も髪染めたことないから、染めてみたい。
上田 何の話ってなるでしょ(笑)。ウチ、美容院なんです。自分も兄にやってもらってます。大宮にも東大宮にも店舗があるのでぜひ(笑)!
──後半戦が始まる前、いきなりシルバーっぽくなってて驚きました。
上田 あれ、練習見に来てくれたサポーターのみなさんに好評だったんです。
関口 一発でわかる。ハイライト入れてみたい!染めかパーマかやろうかな。
上田 Xで騒ぎになるよ、人気者だから。女子のファン・サポーターの方って男子と両方に来てくださる方多いじゃないですか。男子の推しメンに凱心の名前を挙げる人、結構います。
関口 ありがたいっス!
──ここから女子は新シーズンが始まり、男子は折り返しに入ります。それぞれ目標を教えてください。
上田 勝負の一年になるので、結構かけてます!
関口 やっぱり点決めてほしいな。
上田 とりあえず、安パイの1ゴールで…。
関口 え???手堅過ぎない?
上田 やっぱり凱心の前だから7-1の「7」かな(笑)。でも7ゴールしたら、チームトップじゃないですか?いや、凱心はボランチでハットトリックしてるからカップ戦合わせて「3」でいきます。てか、自分的にはとにかく男子の試合をNACKに見に行きたいんですよ!だからとりあえず…、出て?
関口 いや~出たい!とにかく自分は試合に出ること、ですね。
上田 山学は暑いなか、走りまくってるからチャンスはある!
関口 確かにめちゃくちゃ走った…。スタミナはあるね。
上田 お互いの成長をNACK5スタジアム大宮で披露できるように!
関口 やるしかない。がんばろう!
上田 がんばろう!
早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。