WE ACTION DAY

試合開催のない一日をWEリーグの理念推進日として活動するWE ACTIONDAY。大宮アルディージャVENTUSは昨シーズンに引き続き、「VENTUS ACTION WEEK」として該当日を含んだ週全体で理念推進に取り組んだ。

選手たちが選んだ“ジェンダー”をテーマに、事前に埼玉県男女共同参画推進センター(WithYouさいたま)で研修を受けた選手たち。日本が抱える大きな課題を中学生、高校生と一緒にどう考えていくか、緊張感もありながら大宮武蔵野高校、大宮北中学校を訪問しました。

両校で行ったグループワークのテーマに選手たちが選んだのは「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」。選手からも生徒からも多くの意見が飛びかいました。

大宮武蔵野高校には男子、女子サッカー部がありますが、今回は女子サッカー部の生徒たちと一緒に活動しました。

「髪の毛が短いとき、女子トイレに入ると『男子トイレはあっちだよ』って言われた」
「女性専用車両があるなら、男性専用車両があってもいい」
「小さい頃は『女の子なのにサッカーやってるの?』って言われてた」
「男のくせに“女々しい”って言ってるけど、この“女々しい”って言葉自体が気になる」
など、グループワークで話し合ったあとの発表では、納得の意見が並びました。じっくりと意見を交わしたあとは、気分を一新、グランドに出てミニゲームで盛り上がりました。

もう1グループが訪問したのは大宮北中学校。男女混在での実施だったため、男子目線の意見も興味深いものでした。

「男性は仕事、女性は家事というイメージだが、男女関わらず好きなことをやるべき」
「『親が単身赴任をしている』と言ったら、父親がしていると思われた」
「男は青、女は赤といったように色で性別を区別されるが男女関係なく好きな色があっていい」ジェンダー問題については耳にしたことがあるという生徒も多く、選手にとっても刺激のある時間になりました。

そして、VENTUS ACTION WEEKを締めくくったのは、盛りあがりを見せたファンフェスティバルでのサッカー教室。今回は男女チームから選手だけでなく監督・コーチが参加して、対象者も年齢性別問わずに誰でも参加ができるものとなりました。というのも、昨年のVENTUS ACTION WEEKでの手話サッカー教室は対象を女性としていました。女子サッカー選手がやるから女子を対象に——「良かれと思ってのカテゴライズでしたが、これも一つのアンコンシャス・バイアスだったのかもしれません」とクラブスタッフ側にも“気づき”がありました。

すべての活動を終えて、実行委員の望月ありさ 選手も貴重な気づきを得たと言います。
「中学生と話をしていると“男子なのに”“女子なのに”という意見が多かったんです。意外に思うことは少なかった。でもそれって逆に言えば日本はそういう偏見というか“決めつけ”が小さい頃から根付いちゃってるんだなって感じるところでもありました」(望月選手)

SNSではすでにジェンダーレスは進んでおり、多様性に富んだ発信が溢れています。それを日常のなかで当然のこととして受け止めている若い世代はすでにジェンダー問題は薄れていると感じる場面もあったそうです。

「中学生からジェンダーについてこんなに考えられるんだっていう、彼らの柔軟さに驚きました。ジェンダーについて知ってる生徒さんが多くて、意見もすぐに活発に出てきたし。生徒さんたちは本当にいろんなことを考えてます。難しく考え過ぎていたり、考えを変えられなかったりと壁を作っているのは大人の方かも。これからが大事だと思います。生徒さんたちの世代はけっこう受け止められてるから、周りの大人の学習も必要だと感じました」(望月選手)

まだまだ一歩を踏み出したばかり。難しい課題ではありますが、こうして地域のみなさんと同じ目線で話をして、より身近に問題を感じることで、WEリーグ理念にもある“一人ひとりが輝く社会”に近づいていくのではないでしょうか。 その一言、決めつけが入っていませんか?——日常のふとした瞬間に、自問自答してみることで小さな変化は生まれるかもしれません。そんな“気づき”が詰まったVENTUS ACTION WEEKでした。

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