今回のキャリアサポート特集は、柴山史菜選手(FJホールディングス株式会社)、大島暖菜選手(武蔵コーポレーション株式会社)の両選手です。両選手とも、会社内でも温かく迎え入れていただき、ピッチで見せる姿とは全く違う雰囲気で仕事に励んでいました。特に同僚のみなさんと距離感が近いと感じた2選手の職場の様子をお伝えします。
「常にアンテナを張り巡らせてます! 」柴山史菜 (FJホールディングス株式会社)
——社内での柴山選手はどのような様子ですか?
総務部 総務課 赤名麻衣 課長 (以下、敬称略) すごく飲み込みが速いです。始めはパソコンを全く触ったことがなかったのか、エクセルの使い方にも苦労していましたが、教えるとパパッと出来て、今はプロですよ(笑)
柴山史菜 選手 (以下、柴山) そんなはずはないです(笑)。本当にパソコンは触ったことがなくて、関数やショートカットキーを教えてもらって何とかやれてます。
赤名 彼女はよく気が付くので、周りがしている作業に対して「やります」ってササっと来てくれるんです。フットワークが軽い。あとは電話を取るのが速い! 関係ない話をしていても、電話が鳴るとパッと取ってます。さすがアスリートだなと思う瞬間ですね(笑)。
柴山 一番下ですから、そこは自分が取りたいんです。時間が限られているので、何かできることはないか、常にアンテナを張り巡らせてます!
——実際にキャリアサポートという形でアスリートが職場に入ることを決断していただけた決め手というのはなんだったんでしょうか?
赤名 確認したところ、前から若い選手を育てるためのサポートをしたいと思っていたそうで、大宮アルディージャVENTUSさんのパートナーになってそういうお話があり、「ぜひやりたいです」と即答させていただいたということでした。
——アスリートが社内にいることで変化はありましたか?
赤名 今はジムができたのでトレーニングウェアを着ていますけど、前は私たちと同じような恰好をしていましたし、いい意味で社員と溶け込んでいるので、違和感が全くないんです。彼女にはみんなで試合を見に行ったりするきっかけをもらってます。あとはおすすめのプロテインを紹介してもらったりもしてます(笑)。おやつの時間にはいつもシャカシャカしてるので。
——社内にジムがあるのですか?
赤名 柴山さんに使ってもらおうということで作られました。
柴山 内転筋を鍛えるために(笑)。仕事は14~18時なんですけど、17~18時の間はジムを使わせてもらってます。最近はプロテニスプレイヤーの齋藤惠佑 選手も会社がサポートしてるんですけど、時々彼と一緒になることもあります。他にもケアをする機器も入れていただいてるんです。今までは仕事が終わってから別のところにケアをしにいかないといけなかったんですけど、今はここですべてを終えることができるので帰宅も早くなって、ちゃんとご飯も作れますし助かってます。
赤名 朝やお昼休み、業務後には社員も使います。8人くらい入ることが出来る酸素ルームもあります。会議に使用したりもします。
——なんとも羨ましい…。酸素カプセルは疲労回復にいいと聞きますから。仕事上で、柴山選手に期待することはありますか?
赤名 総務として裏方の業務をしてもらっていますが、社用車を使用している社員に向けて彼女から「安全運転していきましょう! 」と発信してもらっているのですが、今後はいろいろな発信もしていってもらいたいなと思っています。
——VENTUSとのコラボレーションという点で柴山選手にアイデアがあるとお聞きしてます。
柴山 以前、VENTUSのイベントで読み聞かせをやらせてもらったんです。ここには本社内に「フルまる~む」という保育所が設けられているんですけど、ここに通ってくれてる子どもたちに向けてそういうこともできるんじゃないかなって。最初は自分自身が照れちゃって、感情移入とか難しかったんですけど、繰り返していくうちに慣れてきて、上達はしているはずなので、棒読みではないです(笑)。最初は図書館で就園前の子どもと親御さんの前で読み聞かせをやらせてもらって、その次に保育園で紙芝居を読ませてもらいました。行ったときに周りのみなさんに持ち上げられちゃって…、演じきりましたよ(笑)。
——いいですね! いかがでしょうか?
赤名 すぐ取り入れてもらいましょう! 社員のお子さんとか、職人さんのお子さんとかを対象にサッカー教室をしてもいいかもしれませんね。
柴山 そういうの、できるならやってみたいです!
赤名 親子で出来るメニューとかあると、日々公園で楽しめますし。
柴山 そのメニュー考えます!
「人と人との関わりを大切に」大島暖菜 (武蔵コーポレーション株式会社)
——アスリートを職場に迎えることで何か不安はありましたか?
業務管理部 業務管理課 業務推進グループ主事 中川智也 さん (以下、敬称略) それはなかったですね。アスリートということで、その場を明るくしてくれたり、和ませてくれたりするのかなという期待の方がありました。実際、大島さんは、雰囲気は和やかなんですけど、作業はテキパキとこなしてもらって助かってます。
大島暖菜 選手 (以下、大島) 今の部署に変わったのが昨年の11月くらいなんですが、わからないところは聞くとすぐに解決策をくれるんです。
中川 出社できる回数が多くはないので、周りは彼女が何をすべきか、どうすればいいかわからない状態が少なくなるように意識していました。遠慮ではなく配慮、という意味で。アットホームな雰囲気は社内には根付いていますから。
大島 本当にみなさん仲がいいと思います。
——働く上で心がけていたことはありますか?
大島 言われたことは、自分自身の成長のためにも、しっかりとやっているつもりではいます。書類の処理をしているのですが、賃貸…賃貸…?
中川 賃貸借契約書(笑)!
大島 それです(笑)。その作成された契約書を社内で保管するための処理をしていました。多分、問題は起こしてないと思います。
中川 もちろん問題なんてありません!
——高校卒業後、もちろん初めて働くということで、環境も大きく変わりましたよね。
大島 初めて学ぶことばかりです。人への配慮というか、皆さんお客さまをとても大事にしているし、社員同士もすごく仲良し。人と人との関わりを大切にしていることが伝わってくるんです。サッカーでも仲間が大切ですし、ここで感じたことをサッカーでも生かせてると改めて感じます。
——馬場さんは大島選手とは同期だと伺いました。彼女の変化は何か感じますか?
総務人事部 総務グループ/ 人事グループ 馬場信成 さん (以下、敬省略) 最初はやっぱり緊張もあったと思うんです。18歳でサッカーをやりながら仕事をするなんて自分では考えられないですよ。周りは大学を卒業した人ばかりで、その中で溶け込むのは難しかったはずですが、もちろん自分の業務をこなしつつも他部署の人ともコミュニケーションを取れるし、サッカーも含めて、すべてのことに一所懸命な姿を目の当たりにしています。成長というより、すごいなといつも思ってます。
大島 お~、ありがとうございますっ! でも、皆さん本当にすごいんです。以前、実際に物件を見て学ぶ「宇都宮支店研修」に私も帯同したんです。物件を見るポイントや支店の意義など、支店長の話を聞いたあとに質疑応答があったんですけど、ほぼ皆さん質問するために手を挙げていて…。私には用語が難しくて無理でした(苦笑)。
馬場 質問するということは相手に興味を持つということなので、そういう姿勢は入社してすぐに教わります。そういう姿勢を現わすことは大事だと思っています。
大島 サッカーにもめちゃくちゃ生きますね。相手の意見を聞いたり、質問したりは重要で、この姿勢を学べたのは本当にありがたかったです。
——VENTUSと何かコラボできるとしたら、どんなことができるでしょうか?
大島 これ、思いついたんです! 武蔵にはフットサルチームがあって、しかも強いって聞いたので、何か一緒に出来ないかな…って。
中川 大学までバリバリやっていた社員も多いので、チームを二つ三つ組めるくらいはいますね。
馬場 今年は3チームで不動産関連の会社が出場するフットサル大会に出て優勝しました。
大島 あれ…、思ってたよりもかなりレベルが高くてちょっと焦ってます(笑)。
馬場 ちょうど昨年、さいたま市サッカー協会さん、埼玉新聞さんと一緒にゼロから「第1回武蔵コーポレーション杯2023 U-11大会」を主宰したんです。市内の72チームのクラブチーム、少年団が集まってくれました。元サッカー日本代表の坪井慶介 さんにも来ていただいたんです。VENTUSの選手のみなさんのコーナーを作ったら盛り上がるかもしれませんよね。ちょうど第2回の話し合いをしたところなんです。
大島 いいタイミングですね(笑)。本当にお世話になったので、サッカーのプレーだけでなく、こうしたイベントでも恩返しができると嬉しいです!
早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。