今回は、男女の垣根を超えた対談企画!JFAアカデミー福島時代に先輩後輩の関係だった乗松瑠華 選手と下口稚葉 選手に当時の様子やアルディージャでともに戦うようになってからのお互いへの印象を存分に語ってもらいました。
──JFAアカデミー福島は寮生活ですが、当時どのような交流があったのですか?
乗松瑠華(以下、乗松) 稚葉は学年が3つ下だから、活動自体はすごく重なってたってわけじゃなかったよね?
下口稚葉(以下、下口) そうですね。でも中2くらいのときに男子の練習にルカさんたちが来てたことはめっちゃ覚えてますよ。当時の男子の監督と仲良かったですよね。
乗松 ああ!思い出した。
下口 僕らはチャレンジリーグとかも、メガホン持って応援に行ってましたし。
乗松 そう!めっちゃ応援に来てくれてたよね。
下口 あと食堂でのルカさんたちのオーラね。上の世代の人たちで固まってて「あれが一軍オーラか」って思いながら見てて、僕も一番上になったときに同じように一軍ぶりましたもん(笑)。
乗松 食堂は男女一緒だったから、毎日3食顔合わせてたからさすがに覚えてる。稚葉はもうこのまんま!この顔に髭が生えてないだけで、中学でもうでき上がってたよ。一人デカかったしね。
下口 そう、一人おっさんが混じってた感じ(笑)。JFAアカデミーに入ったときすでに167cmあって、そこから10cmしか伸びてないんです。でもルカさんも高校からあまり変わってないですよ。こんな感じでブレザーの制服着てました。
乗松 あれは…、キツかった(苦笑)。
下口 あのころって年頃だから、女子と話すのが恥ずかしいというか、周りからなんか言われるのを気にする思春期真っただ中じゃないですか。中学、高校なんて大思春期ですよ! かわいかったな~、俺(笑)。
乗松 年頃って(笑)。なんだかんだ、一緒にやるイベントみたいなのは多かったよね。誕生日パーティとか卒業生を送る会とか…。踊った?
下口 踊りましたよ!確か自分たちは白塗りして(笑)。
乗松 なにそれ(笑)!
──そんな2人が今シーズンは同じエンブレムで戦うことになりました。
下口 僕はルカさんがVENTUSでプレーしてるのも知ってたし、所属していた大熊良奈とスタンボー華は同級生なんです。こっちでルカさんと最初に会ったのって…。
乗松 クラブハウスのところの交差点じゃない?
下口 そうだ!加入前、自主練習に来てたんですけど、駐車場の入口がわからなくて、通り過ぎちゃったんですよ。信号で止まってたら、右折レーンに車が止まって、パッと見たらルカさんだった(笑)。
乗松 「お~!」「これからよろしくねー!」みたいな数秒だった(笑)。
下口 ゆっくり挨拶できたのは、男子の始動日にクラブ全体でやった結団式のときですね。ルカさんはみんなの前でちゃんと挨拶してて「さすがJFAアカデミーはしっかり話せるな」って見てました。
乗松 イジってんの(笑)?キャプテンだから話さないといけなかったの!稚葉はなんで大宮を選んだの?厳しい状況だったでしょ?
下口 僕の場合はもう(長澤)徹さんの存在がすべて。僕にプロのすべてを教えてくれた人ですし、そこから声がかかったので即決でした。
乗松 さすがアカデミー、しっかり話せる(笑)。しかも結構盛り上げ男?いや、お祭り男か。そういうキャラだと思わなかったな。
下口 無理してるんですよ!僕、高校までそういうキャラじゃなかったから。それこそ徹さんに出会って、そういうのもやらないといけないんだなって。雰囲気作りは大事!それで言うとあまりVENTUSとの交流もないですよね。ちょっと寂しいなって思いますよ。ほら、もう年頃じゃなくなったから(笑)、今ならいろいろサッカーのこととか話したりできるのに。バーベキューとかみんなでやりたいな。
乗松 いいね。そのあたりは稚葉に取り仕切ってもらって(笑)。
下口 男女でシーズンがズレてるからタイミングが難しいですけど、やりましょう!
──お互いの試合とかは見るんですか?
乗松 じっくりはなかなか見れないですけど…。左右両サイドやってるよね?CBでも右と左が変わると難しいのに、試合中に変わるってすごいと思う。
下口 ここのところはずっと変わってますね。でも実はプロ1年目からずっと苦労してきて、ポジションも毎週変わってたんです。それは良い意味ではなくて、対戦相手を想定したときの穴埋めとか、ケガした誰かの代わり、とか…。今、ちょっとずつそのときの経験が生きてきてるのを感じます。ちなみに俺はガチでVENTUS見てますよ、ガチで!柳井(里奈)監督の密着動画が面白かった!あとルカさんやっぱフィード上手いっすね。中2のときにルカさんが対角にビシっと蹴ってるの見て、スッゲー!って思ったことあったんですよね。今でも武器でしょ?
乗松 そうなのかな(笑)?でも、蹴るのは好きだよ。
下口 でしょ?VENTUSの対戦相手にJFAアカデミーで一緒だった選手も多いから、結構WEリーグも見てたりするんですよね。
乗松 そうなんだ。稚葉が決めたゴールのこと聞いてもいい?あれエグかったね。最終ラインからああやって点取れるのいい!セットプレーでのチャンスはあるとしても…。まだ私はないけど(苦笑)。あれ見て、自分もシュート打ってこう!って思った。
下口 もともとはそこまで上がっていくタイプじゃなかったんです。本当に大宮に来てすべて変わりました。
──お二人とも最終ラインですが、守備のモットーは?
乗松 自分はもうとにかく攻撃的に奪いにいく!自分にしかできない守備がしたいし、ここで足出さないだろうっていうタイミングでも自分は突きにいきたい。やられないことは大前提ですけど、奪いにいきたいです。で、本当はそのまま前に出ていきたい(笑)。
下口 攻撃好きなんですね。
乗松 好きだね~(笑)。本当はもっと前にいきたい!ゴールも狙ってるんだけど…、決まらない(苦笑)。シュートのコツ教えてほしいわ。
下口 僕もセンスないですよ!「センスがない!」って徹さんに100回くらい言われてますから(笑)。
乗松 でもこの段階でゴール決めてるのは大きいよね。稚葉のモットーは?
下口 最後のペナルティエリアのところを守れれば失点しないっていうのを今は特に思ってるんです。最後の体の寄せとか、シュートを絶対避けないとかはこの世界に入ってめちゃくちゃ鍛えられたので、それですね。最後でどれだけ体を張れるかが自分の武器だし、今の大宮の武器でもあるかなって思います。
──今だから、お互いに聞いてみたいことは?
下口 実はルカさんと美容室が一緒なんですよ。しかも周期的にも一緒で…。この間は2回連続で会っちゃって(笑)。これはルカさん、相当こだわりがあるな、と。隣に座ると聞こえてくるんですけど、ルカさんちょっと要求高過ぎないですか?
乗松 どんなときも要求は大事!今、VENTUSでの課題でもあるから(笑)。
下口 結構指示出すタイプですよね。さすがCB!と思って(笑)。どこが一番のこだわりなんですか?
乗松 パーマのときロットで巻いてあとはピンなんですけど、その向きとか、ここはこう流れてほしいとか、ここはかかりやすいから弱めでとか…。わかってる、こだわりが強めなのは!だから、稚葉が隣にいると言いづらいのよ。あんまり言わないようにしてるのに、それでもこだわり強いと思われてたことがショック!
下口 いや、スゴイですよ(笑)。
乗松 稚葉のこだわりは?
下口 ずっと黒髪だし、こういう感じできてるかな。ずっと地方生活だったから、大宮に来て初めて都会の美容室に通い出して、ちょっと都会っぽい髪型になってきたかなって思ってます(笑)。
乗松 オフって何してるの?
下口 聞いちゃいます(笑)?
乗松 そこまで興味はないけど、何か質問しなきゃいけないって言うから(笑)。
下口 僕のオフは興味深いですよ(笑)?本当に子ども中心です。カワイイんですよ!上の子は幼稚園、下の子は保育園なので、僕の休みに家にいないことも増えてきたんですけど、大宮公園で花見もしたし、VENTUSの試合にも連れて行こうとしたこともあったんですよ。もう終わっちゃうから来シーズンチャレンジします!そういえば、ルカさん上尾ですよね?
乗松 実家がね。
下口 実家が上尾なの?今、上尾に住んでるんですけど、いいところですよね。公園もいっぱいあるし。
乗松 美味しいところも多いし。ラーメン屋さん「慶」は濃厚味噌でおすすめ!でも、ショッピングモールとかは行かないでしょ?
下口 何言ってるんですか、めっちゃ行きますよ!子どもが遊べるところに2時間くらいいます。ルカさんより上尾愛あるかも(笑)。
乗松 そこは負けない!
出身校だけでなく、多くの共通点が掘り起こされた乗松選手&下口選手。終始笑い声が絶えない対談となりました。これからも最終ラインから熱いプレーで大宮アルディージャ&大宮アルディージャVENTUSを盛り上げていってください!
早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。