U18 茂木未宙選手インタビュー

5月から始動した大宮アルディージャVENTUS U18から茂木未宙(もてき みひろ)選手がU-16日本女子代表に選出され、フランスで開催されたモンテギュー国際大会に出場しました。初戦でいきなり2ゴールをマークした茂木選手に初めて“日の丸”を背負ってのプレーや、海外チームとのマッチアップなど、たっぷりとお話を伺ってきました。


—初招集の一報を聞いたときの率直な想いは?
茂木 去年の全国大会で点を獲っていたので、少しはチャンスがあるかな?って思っていたんですけど、本当に選ばれたので嬉しかったです!

—そして初めてとなる代表活動はいかがでしたか?
茂木 やっぱり少し緊張してしまいました。でも、関東のチームの人が多かったから、これまでも対戦相手としてではありましたけど面識はあったので、初対面っていう人はあまりいなくて、すぐに馴染めました。

—どういうプレーをしようと心がけて臨んだのでしょうか?
茂木 とにかくゴールは決めたいと思ってました。

—初戦のノルウェー戦、開始10分でしたね。
茂木 ファーストチャンスでした。GKの位置を見たらニアがめっちゃ空いてて、打ったら入りました(笑)。

—冷静に決めたと、みなさん言ってました。早い時間帯でのゴールはご自身でもホッとしたのでは?
茂木 はい、決まってよかったです(笑)。その後の2点目は練習していた形が出せました。個人的には得意としてる裏への抜け出しがゴールにつながったので嬉しかったです。

—代表のユニフォームに袖を通して戦う——どんな感情が芽生えました?
茂木 国同士で戦うってすごくプライドっていうか、かけてるものが違うと感じました。相手のやる気が違う。プレスも一つ一つの質もレベル高いし、いい経験になりました。あとは君が代! これまでは学校の行事などで耳にしたり、斉唱したりというのはありましたけど、国際大会で試合前に聞くのは全然違うものでした。君が代は静かなトーンですが、やる気が漲るのと同時に、落ちつくこともできる、不思議な感覚でした。

—今大会では3位決定戦でポルトガルにPKの末に敗れて4位でした。一番悔しかったことは?
茂木 3位決定戦に回ることになってしまった3戦目のフランス戦(●0-3)です。日本は攻めていたんですけど、ゴールを決めることができなかった。オウンゴールで失点してしまってから、みんなの心がちょっと折れてしまって・・・そういうマイナスなことをひきずらない精神力も大事だとわかりました。

—逆に、ここは通用したと感じるところは?
茂木 初戦の2点目みたいに裏への抜け出しは通用する部分もありました。でも相手も大きいし足も速いから追いつかれてしまう場面もあったので、もっとタイミングにこだわっていきたいです。

—国際舞台を経験したことで生まれた目標はありますか?
茂木 なでしこジャパンが戦う女子ワールドカップっていうのはまだ先の目標かなとは思いますが、U-17の女子ワールドカップがあるので、まずはこのメンバーに選ばれて優勝したいです!

—それにはやっぱりゴールですね。帰国してから練習に燃えてるんじゃないですか?
茂木 そうなんです(笑)。すっごい燃えてます! 今は左足キックとシュート練習を重ねているところです。

—U15の最後の大会のときは左足蹴れないって言ってましたが、練習してるんですね。
茂木 少し蹴れるようになってきましたよ、左足。ひたすらロングキック蹴り込んでます。あとシュート練習でも左を使うようにしています。

—新たなメンバーも入りましたが、大宮アルディージャVENTUS U18の雰囲気はどうですか?
茂木 私が代表活動に行っていた同じ時期に、U18のみんなはシンガポール遠征に行っていて、随分打ち解けたようです。新加入3人なんですけど・・・行く前は静かだったのに、帰国後はめちゃくちゃうるさくなってました(笑)。私も負けていられないと、しっかり追いつきました!

茂木選手は裏への抜け出し以外に、得意とするプレーはなんですか?
茂木 自分はいつも股抜きを狙ってるんです。パスコースがないと思っていても、股下とか空いてるときがある。半身になってる時って大概足開いてるからパスコースは自分で作れると思っています。実はこれネットに書いてあったの見たんですけど(笑)。実際、試合でボールを受けて相手の股を抜いてパスを出して、もう一回もらうっていう展開に持っていけたときがあって、そのときに「これ、行ける!」って実感しました。

—一番DFの心を折るプレーですね(笑)
茂木 出来た時は超楽しいです!

—U18としての目標は?
茂木 自分たちはできたばかりのチームなので、まずは関東リーグに上がりたいとみんな思ってるし、全国大会ではU15の時に3位で終わっちゃってるから、優勝したいです!

—あのときもPKの末でしたね。モンテギュー国際大会でもPK・・・PK嫌いになってないですか?
茂木 正直、あんまり蹴りたくはないです(苦笑)。

—トラウマになるにはまだ早いですよ。この際、PKも練習して得意になってしまってはどうですか?
茂木 なっておきましょうか(笑)。

—自分の性格を一言で言うと?
茂木 負けず嫌い! チームの中でも一番ギラついてると思います。

—10番のポジションには必要な要素です。サッカーを始めた頃からずっとこのポジションですか?
茂木 小学校のときからずっとこのポジションで、相手の逆を取れるような駆け引きがいっぱいあるところが好きです。

—いまは高校一年生だけのチームということで対戦するのは年代が上のチームですが学べることも多いはず。同年代と戦うようになる1、2年後には、どんな選手になっていたいですか?
茂木 試合を決定づけられる選手になりたい。毎試合点を取って、アシストもしてチームを勝たせることができる選手になりたいです!

少しはにかみながらもしっかりと言葉を探してくれた茂木選手。ピッチ上では誰よりも頼もしく映ります。そんな茂木選手、撮影中には「プレミアリーグの開幕戦ってここでやったんですよね、いいなぁ」と、NACK5スタジアム大宮のピッチに触れながら、自分自身がここでプレーする姿を思い描いていたようでした。“そのとき”はきっとそう遠くはないかもしれません。左右両足を自在に操ってゴールを量産するプレーヤーになって、VENTUSの一員としてNACKでプレーする茂木選手の姿を早く見たいですね。


早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。

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