VENTUSを支えていただいている“ファミリー”の種は多岐に渡ります。ファン・サポーターのみなさん、パートナー各社、地域のみなさん・・・数え上げればキリがないほど。キャリアサポートもその一つです。ピッチ上では強く激しく、時には逞しさすら感じる選手たちですが、練習後には職場に出勤する選手たちもいます。仕事環境下においては、アスリートの立場は関係ありません。
今回は源間葉月選手と村上真帆選手を支援していただいている十文字学園女子大学に訪問し、二人の身近で見守っている方々に話を聞かせていただきました。選手は練習終了後に十文字学園女子大学にて社会人としての様々な学びや成長するための貴重な経験を得ています。

「見る人目線で情報を選択するように心がけてます」村上真帆

ー原一彰さんは村上真帆選手の上司、という立場におられますが、十文字学園女子大学がアスリートのキャリアサポートを決断された理由を教えていただけますか？
原一彰氏(以下、敬称略)　村上さん、源間さん二人とも本学園の卒業生です。建学の理念が学園歌に込められているのですが、その精神が「身をきたへ 心きたへて 世の中に 立ちてかひある 人と生きなむ」というもの。世の中に有用な人間として活躍していこうと、そういった女性を育てて社会に輩出するといった理念の点からも、二人を支援していくことになりました。

村上真帆(以下、村上)　若干ハードルが上がった気が・・・、この理念は在学中に何十回と聞いてきましたし、歌ってもきました(笑)。大学で働くようになって世に言う「ホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)」って、本当に大事だなって思う毎日です。サッカーで休ませてもらうことも多いし、短時間勤務になるので、状況を上司である原さんにしっかり伝えて・・・って、忘れちゃうときも結構あるんですけど(苦笑)、なるべく的確に伝えるよう心がけてます。

原　報告を受けてることを私が忘れちゃうこともあるんですが(笑)。村上さんは指示に対するレスポンスがちゃんと上がってきます。当然のように聞こえるかもしれませんが、意外と出来ない人もいるんですよ。そういう点では村上さんは最初から順応が早いと感じてました。

—村上選手は広報担当であることを以前も話していただきましたが、約3年の勤務期間を経て、出来る範囲がかなり広がったのでは？
村上　チラシや動画を作ったりするんですけど、その際に使用するソフトを最初よりも使いこなせるようになりました。数学ではないのでこれを書けばいい、これを載せればいいっていうのではなくて、見る人目線でこういう情報を載せた方が嬉しいだろうなっていうのも、考えてできるようにちょっとはなってるかな～って思います。

—ひょっとして、過去に村上選手との話に登場していた「いろんなことを学ばせてもらえる上司の方」というのは・・・
村上　原さんです！私は先生にとっても恵まれていて、映像系は原さんに、文章系は元新聞社勤務のまた別の大先輩がいるんです。

—羨ましい環境ですね。原さん、村上選手が職場にいることで周りの方に何か変化は感じますか？
原　村上さんはきちんと挨拶が出来るので、そういう点で周りもいい影響を受けていると思います。と言いますのも、私たちがいる事務局には、広報以外にも人事、会計・・・など多くの部署の職員がいますが、村上さんは状況を見ながらコミュニケーションが取れるので、職場にいい雰囲気を作ってくれてます。

「やれることをどんどん増やしていきたい」　源間葉月

—源間選手の携わっている仕事について聞かせてください。
源間葉月(以下、源間)　私がいるのは「情報センター」といって、各教室のプロジェクター、パソコン、コピー機などの対応全般がここに寄せられます。私はその対応をしています。まだ自分で機器を直すことは出来ないので、上司の戸塚(勝美)さんを見て教えてもらっている段階です。あ！一つ説明させていただくと、異動がありましてこの部署に来てまだ半年なんです(笑)

戸塚　源間さんが初めてきたとき、自宅で学校のパソコンを見ることができるVPN設定を学生さんに付きっ切りでやってました。他にも各教室のプロジェクターや音声、Wi-Fiなどの動作確認に学校中をかけずりまわってます。

—源間選手の存在があることで周りの方に変化はありましたか？
戸塚　彼女は・・・元気なんです(笑)。働いているスタッフの年代が20代、30代、40代、50代、60代とあるんですが、源間さんのキャラクターのせいか、それぞれの意見を言いやすい雰囲気があります。

源間　自覚はないですが(笑)、近くにみんながいて確認事項も多々あり、コミュニケーションをとる機会が多いんです。必然的に距離感が近くなるんだと思います。

戸塚　ウチは学生さんが入り乱れているので、話しやすい雰囲気を源間さんは持っているので助かってます。多少騒いでも大丈夫(笑)！

—源間選手の壁を作らない性格が合ってるのかもしれません。異動して半年・・・まだまだここからステップアップできそうですか？
源間　はい！今度新しく研修に使うソフトを入れるんですが、それは自ら「やりたい！」と志願しました。自宅でそのソフトを自分のパソコンに入れて動画を見て遊びながら・・・学んでいるところです(笑)。

—上司として今後源間選手の望むことはありますか？
戸塚　うちは情報を扱う部署。選手としてよく映像を見ると聞いています。彼女も教育系の学部卒業ですし、電子黒板を使ってみたらどうだろう、もっと違うツールを使ってみたらどうだろう？選手としてもここでの情報を活かしてほしいし、得たものを逆に学校の方に戻して、先生方にこんな授業どうですか？とかこういう風に見せられますよというのを提案してもらえたらいいですね。

源間　難しそう(苦笑)。いろいろ知識が足りておらず、戸塚さんたちの会話についていけないこともありまして・・・。2回は聞いても、3回目はないように次はできるようにっていうのをどんどん増やしていきたい。もともとパソコン関連は好きだったので、まずは知識を深めるところからやっていきます！

アイデアを掘り起こすにもまずはコミュニケーション

—せっかくの機会ですので、最後はみなさんにお伺いします。今後VENTUSとこんな形でコラボレーションしたい！というものはありますか？
原　本学では地域連携推進としてサッカー教室を行っています。今後ご一緒できる機会があればいいですね。

村上　それなら得意分野です(笑)。サッカー教室に来てくれた人がVENTUSを見に来てくれて、そこに来た人が十文字学園女子大学でのイベントなどを知ってもらう。こういう循環が出来たら・・・広報として考えます！

源間　一つ思いつきました！オープンキャンパスで何かできないですかねぇ・・・

戸塚　学園祭もありますが、学生主体のイベントなので難しいでしょうか。

—VENTUSと学生のみなさんで一つのブースを仕切るというのもアリかもしれません。
源間　確かに！

原　うちには食物栄養学科、健康栄養学科、食品開発学科と食系の学科が３つあって。企業提携をしている学科もあります。病院食や給食、歯が弱くなった人のための嚥下食を作ったりもしてるんです。

村上　あとはフードロス。SDG‘Sも今や欠かせないですよね。

原　それもスーパーさんと一緒にやってますね。

—選手たちと学生さんでメニュー開発とかもいいですね。
源間、村上　キッチンカーだ！！

村上　大学構内にキッチンカーがあるんですけど、私はそこのポスターを作成したんです。

—NACK5スタジアムでも男子ではキッチンカーはお馴染みですし。
戸塚　あとうちではお酒も作ってますし、小さな畑もあります。お二人は運動が出来るのでシニア向けの体操なんかもいい気がします。

—先日、VENTUSでも老人介護施設を訪問しました。
村上　(杉澤)海星が行ってましたね。なんか、楽しい！いろいろ出来そうですよね。一人で考えてもこうはいかない。これが“コミュニケーション”ですね。

源間　私の得意分野！マホとは職場が同じなので、練習後の移動中に二人でこういう話もするんですけど、私たちだけだとここまでアイデアが出てこないんです。こうやっていろんな人とコミュニケーションを取っていけば、出来ること、やれることは広がっていきそうです！

早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。