Vol.014 平野 貴也「結果を出せば認めてもらえる。まずは結果を残したい」【オフィシャルライター「聞きたい放題」 】

クラブオフィシャルライターがいま、気になる人や話題について切り込む本コーナー。今回は、サンフレッチェ広島から期限付き移籍で加入した松本大弥選手に、ここまでの率直な感想をうかがいました。



Vol.014 平野 貴也

結果を出せば認めてもらえる。まずは結果を残したい


ここまでの手ごたえは?

――シーズンが開幕して1カ月が経ちました。ここまで4試合に出場していますが、手応えは、いかがですか。
「チームとしてやりたいことが、徐々にできてきていると感じています。第2節以降は結果がなかなか出なかったのですが、第5節で4得点を取れて、チームとしてやりたい形も出てきたので、だんだん良い方向に来ているのではないかと思います。個人的にはまだしっくり来ているとまでは言えないのですが、チームに求められていることをしっかり理解しようとしていますし、少しずつ求められている形に体が動くようになってきているかなと感じています」


――体のサイズ、セットプレーでの高さ、スピードのあるフィード、パンチの効いたミドルシュートなど、このチームにない特長を多く持っているという印象ですが、そのあたりは見せることができているのでは?
「うーん。フィードは、何回か出せたシーンがあると思いますけど、ミドルシュートは、まだあまり良い形で打てていません。結果を出せば、仲間に『アイツに出せば決めてくれる』と思ってもらえて、良い形でパスをもらえるようになると思うので、まずは結果を残したいです」


――中盤は大宮のアカデミー出身者が多く、比較的小柄で細かい技術に長けた選手が多いですよね。異なる特長を持つ選手と一緒にやってみて、どう感じていますか。例えば、ダブルボランチを組む相手としては、自分の特長を出しやすい部分もあるのでは?
「中盤はうまい選手が多いですよね。自分はドリブルで打開するようなタイプではないので、そういう面では見習う部分はたくさんあります。ボランチも片方の選手がボールを持って時間を作ってくれると、自分はシンプルにやればいいので、頼るところは頼ってやろうと思っています。ボールを預けて、自分が前に出て行けると一番良いですね」


――プロになって4年目ですが、将来的にはどんなプレーヤーになりたいと考えていますか。
「海外で言うと、ベルギー代表のMFケビン・デブライネ選手(マンチェスター・シティ)のプレーが好きです。守備もできて、攻撃でもあれくらいやれたらベストですね」


――期限付きですけど、ユースから所属して愛着のあるクラブから、初めて移籍をしたわけですが、どういう決断だったのでしょうか。
「広島でなかなか出場機会がなくて、ここから成長したいと考えると、チームを変える選択が一番だと思いました。大宮が声をかけてくれたので、チャンスだと思って決断しました。いまでも広島の試合を見ると、同期の東俊希選手や仲の良かった大迫敬介選手、荒木隼人選手などが試合に出て活躍しているので、自分ももっと頑張らないといけないと思います」



下地を作ったアカデミー時代

――少し松本選手のルーツについてもお聞きしたいです。小学生のころに所属していた関前SCは、なでしこジャパンの岩渕真奈選手(アストン・ヴィラ)など優秀な選手を多く輩出しています。当時はどんな少年だったのでしょうか。
「昔から身長は大きい方でした。両親は、それほど大きいというわけではないですけど、兄は自分より少し大きいです。小学生のころは基本的にFWで、チームがうまくいかなかったりすると、味方にあれこれ要求していましたね(笑)」


――中盤のポジションをやるようになったのは?
「中学生のときです。横河武蔵野FC U-15で、最初はセンターバックをやって、途中からボランチに定着しました。自分では走り続けられる運動量が特長だと思っていますし、自由に動ける中盤が、自分が一番生きるポジションだと思っています。セカンドボールの競り合いなどではパワーも生かせますし、攻撃に行けばシュート力も生かせるので」


――東京の出身なので、大宮も知らないクラブではなかったですよね?
「中学から高校に上がるときに、大宮ユース(現U18)からも声をかけてもらって、練習に参加したことがあります。みんなうまくて、環境も良くて、最後まで迷いました」


――広島ユースの沢田謙太郎監督は、すごく熱い人ですよね。影響を受けた部分も大きいのでは?
「ユースの3年間で、すごく成長できたと思っています。連続して動くことができるようになり、運動量という武器を使えるようになりました。沢田さんから『全部カバーしろ。GKのカバーまでやれ』と言われたのは、一番強く覚えています。守備で最後まで粘ることや球際で戦うところは、体に染みつきました」


ドライバーは300ヤード越え

――サッカーとは少し離れたオフの話も聞かせてください。アウトドア派だと聞いています。
「完全にアウトドア派ですね。ゴルフを始めたのはプロ2年目のころです。最近は全然やってないですけど、選手と一緒にコースを回りたいですね。大宮にもやっている選手がけっこういるみたいで、(高山)和真君がグループを作ろうかと言っていました。広島にいたときは釣りに行くことが多くて、大きな鯛を釣りました。でも、大宮だとなかなか釣りをする感じじゃないですよね(笑)」


――ゴルフが趣味ということですが、めちゃくちゃ飛びそうですね……。
「当たったら、たぶん300ヤード越えますよ(笑)。アスリートでも飛ぶ人で250ヤードを越えるくらいだと思います。体幹が強いから飛ぶらしいんですけど、あくまでも『当たったら』で、いつも当たるわけではないです。ドライバーは得意ではないので。アプローチショットの方が得意です」


――パワーショットより細かいショットの方が得意なんですか。サッカーのプレーとは、また違ったイメージですね。最後に、あらためて今シーズンの意気込みを聞かせて下さい。
「本当に1試合1試合みんなで戦って、自分たちのやりたいことが試合を通してできるようになっていければと思います。個人としてもアシストやゴールでチームの勝利に貢献したいです。良い形でボールを奪えれば、自分も前に行けるチャンスがあると思うので、どんどんチャンスをうかがって逃さないようにしたいです」



平野 貴也 (ひらの たかや)
大学卒業後、スポーツナビで編集者として勤務した後、2008年よりフリーで活動。育成年代のサッカーを中心に、さまざまな競技の取材を精力的に行う。大宮アルディージャのオフィシャルライターは、2009年より務めている。

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