MF22 翁長聖【マンスリープレーヤーインタビュー】


チャレンジが楽しみ

8月29日に行なわれた第15節終了時点で、翁長聖はチームトップのプレータイムを記録している。ピッチに立たなかったのは第13節・ギラヴァンツ北九州戦のみで、出場13試合は近藤貴司、戸島章と並んで最多タイだ。チームの底上げを促す即戦力の新加入選手として、25歳のアタッカーは期待どおりの働きを見せているといっていい。

6月27日のリーグ再開から2試合目で、移籍後初アシストをマークした。左サイドからの正確なクロスが、黒川淳史のヘディングシュートに結びついた。ザスパクサツ群馬に2-0で勝利した試合後には、安堵の表情を浮かべた。

「自分としてもクロスをもっとストロングポイントにしたいと思って取り組んできたので、まずは一つ、アシストで勝利に貢献ができてホッとしています。クロスの本数は、もう少し増やしていきたいですし、もちろん得点も狙っていきたいです」

移籍後初ゴールは7月29日の第8節だ。アウェイのツエーゲン金沢戦の前半7分、直接FKをたたき込む。これが決勝点となり、チームに勝点3をもたらした。

「ゴールを取れていなくて、自分的にも悔しい思いをしていた試合が多かった。流れの中からではなかったですが、FKでも一つゴールを取れたことで自信にもなりました」

タッチライン際を何度もアップダウンする走力は、2017年から19年までプレーしたV・ファーレン長崎で示してきた。翁長自身も移籍に際して「90分走り抜く体力、終盤になってもハードワークできるところ」を自身の特長に挙げていたが、そのタフネスさにはあらためて驚かされる。

リーグ戦が再開された直後には、「試合を90分やってみて、やっとこの疲労感を味わえるのが心地良いです」と笑顔をこぼしたものだった。そして、8月29日の長崎戦から始まる11連戦(!)を前にしても、「楽しみでしかたがない」と言ってみせた。

「誰もが経験したことがない、やったことがないものですし、この11戦でどれだけ勝点を積み上げられるのかにチャレンジすることが、一番の楽しみです。連戦をキツいと思うと疲れを感じてしまうので、僕はポジティブに考えていきます。ここからは上位チームとの対戦も続くので、一つずつたたいていけば自分たちの順位も上がっていきますから」

戦術的にも重要な役割を担う

第15節・長崎戦に敗れたチームは、J1昇格争いに絡むことができていない。6勝2分け6敗の11位にとどまっている。消化試合数が一つ少ないものの、首位の長崎とは5勝分の勝点差がある。第10節から6試合連続で勝利から見放され、8月は2分4敗に終わった。

戦術的な修正をするための十分な時間を、過密日程の中で確保するのは簡単ではない。さらに言えば、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための取り組みによって、これまでにはない種類の難しさにも直面している。ロッカールームは少人数ごとに部屋が分かれているため、気になったことをその場で話し合う機会を持ちにくいのだ。

「一つのロッカールームで全員が顔を合わせられないので、それはちょっと寂しいですね。何か修正したいところがあっても結構、難しいですけど、でも、しっかりやらないといけないので。ピッチで何か起きたときは、以前よりも話し合っています」

チームの誰よりもピッチに立っているのだ。成績については、もちろん責任を感じている。

「個人的にはゴールという結果が大事だと思っています。一番貢献できるのはそこですし、ウイングバックではサードストライカーとしてゴール前へ入っていく動き、点を取る動きが求められているので」

4連敗となった長崎戦後には、「負け惜しみみたいになるけれど、負けて得るものも少なからずあるかなと思います。次に生かさないといけない」と話した。敗戦にうなだれることなく、細部にまで目を凝らして内容を改善していきたいという気持ちが、敗戦と真正面から向き合うことにつながっているのだろう。「自分の中でも何かを変えていかないといけない、と感じている」とも話している。

中止となったアビスパ福岡戦が9月16日に組み込まれたため、アルディージャは9月だけで9試合を戦う。スケジュールが順調に消化されれば、9月中にシーズンの折り返し点を越えて後半戦へ突入していく。連敗からいち早く抜け出し、上位に食らいついていくためにも、9月の戦いぶりはチームの命運を左右する。

3-4-2-1のシステムでウイングバックを、4バックではサイドバックを任される翁長は、戦術的に重要な役割を担う。総力戦で連戦を乗り切っていくとしても、今後もより多くの出場機会が巡ってくるに違いない。

「アップダウンを繰り返すことを求められています。チームが苦しいときに守備に戻って、さらに攻撃に出ていけるようなプレーをしてきたい」

ファン・サポーターとの“共闘”も、連戦を戦い抜いていく支えとなる。NACK5スタジアム大宮で受ける拍手を、リモートで届く思いを、翁長は力に変えていく。

「ファン・サポーターの皆さんが一番欲しいのは勝点3でしょうし、僕らももちろん勝点3が欲しい。6試合勝利なしの苦しい状況が続いていますけれど、これまでと変わらずに応援していただければ、僕たちを信じていただければ、必ず結果へ結びつけていきます。みんなで一丸となって戦っていきましょう」

足を止めない背番号22は、ただひたすらに勝利を目指す。

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