吉永昇偉と久保真理子には「大宮早起きサッカースポーツ少年団」出身という共通点がある。プロの舞台で久々の再会を果たした二人に話を聞いた。
いまも続く少年団との関わり
――今回は大宮アルディージャと大宮アルディージャVENTUSの対談企画の記念すべき第1回目として『大宮早起きサッカースポーツ少年団』出身のお二人に来ていただきました。アルディージャの選手として交わした第一声は覚えていますか?
久保:えっと、いまです(笑)。さっき、「おつかれさまでーす」って言いました(笑)。ずっと挨拶しようとは思っていたんですけど、コロナもあって、なかなか関わる機会もなかったんですよね……。
吉永:僕も挨拶にいかないといけないとは思っていたんですけど、なかなかタイミングがなかったですね。だから、こういう対談も初めてです。
――てっきり、小学生時代からの長い付き合いだと思っていました(笑)。では、ひさしぶりに会ってみてのお互いの印象はどうですか?
吉永:僕からすれば、ずっとサッカーのうまいお姉さんです。早起きのときからの2個上の先輩で、真理子さんの代は強かったので、その中でも普通にプレーしていてすごいなとずっと思っていました。サッカーがうまい印象は、いまも変わらないです。
久保:私は正直、当時のことはあまり覚えていないです……(笑)。名前は知っていたくらいですね。ただ、1つ年上の兄がいて、兄と昇偉が仲よくて、大宮アルディージャのジュニアに入ったことは知っていました。だから、小さいころと比べるというよりは、プロになってからの昇偉をずっと見てきたので、プロサッカー選手として見ちゃいますね。
吉永:プロっぽく見えますか?
久保:見えるよ。2個下とはぜんぜん思えないですね(笑)。早起きでは、1個上に川田拳登くん(AC長野パルセイロ)がいて、下には昇偉がいて、2人ともプロになったので、大学時代に周りの人たちからは「ここで途絶えさせるわけにはいかないから絶対にプロになれ」とめっちゃ言われていましたから(笑)。
――同じ少年団から男子と女子のプロサッカー選手が出るだけでもすごいことだと思いますが、同じチームでプレーしていることはなおさら珍しいことだと思います。
久保:大宮アルディージャVENTUSは昨年にできたチームですけど、もともと、アルディージャには女子のチームがなかったので、地元のチームでプレーできていることはとてもうれしいですね。ましてや同じ少年団から一緒のチームにいられることはすごいことだと思います。
吉永:いまも僕はちょくちょく少年団に顔を出しているんですけど、早起きの代表の方たちも真理子さんが大宮アルディージャVENTUSに入ったことをすごく喜んでいましたね。僕も地元のクラブで少年団の先輩と同じチームでプレーできていることはうれしいです。
久保:いまでもそうやって定期的に顔を出していて、偉いなと思います。
吉永:初蹴りは毎年必ず行くようにしていますし、試合に出始めたら報告したいと思っているので、そういうときには欠かさず顔を出すようにはしていますね。行っても子どもたちと一緒にわちゃわちゃボールを蹴っているだけでプロっぽいことは何もしていないですよ(笑)。
――地元のクラブでプレーすることへの思いはいかがですか?
吉永:先ほど名前が出た川田拳登くんの存在が僕にとってはすごく大きいんです。早起きサッカー少年団からアルディージャのジュニア、Jr.ユース、ユースと進んでいってプロになったその背中を追いかけてきた部分はかなりあります。拳登くんが早起きから大宮アルディーャに行ったと聞いたときから、僕も行きたいと思いましたし、拳登くんがトップチームに昇格すると知ったときは僕も同じようにプロになりたいと思いました。だから、地元でサッカーができる喜びやうれしさはすごくあります。いまでも、早起きのコーチたちは連絡をくれます。地元で活躍できればみんなも試合を観に来てくれますし、小学生が観て「プロになりたい」と思わせるような選手になりたいとずっと思っているので、その思いをプレーで示していきたいですね。
久保:私の場合は、まさか大宮アルディージャに女子チームができるとは思っていなかったので、いま、大宮アルディージャの選手になれたことがうれしくてしかたありません。正直、このエンブレムが付いたユニフォームに袖を通せるとは少しも考えていなかったです。実は、中学、高校は浦和レッズレディースのユースでプレーしていたので、赤い血も流れてはいます(笑)。ただ、小さいころはNACK5スタジアム大宮のすぐ近くに住んでいて、試合も観に行っていました。だからこそ、地元のクラブでプロキャリアをスタートできたことはすごくうれしいですし、地元の人たちが応援してくれていることはすごく力になっています。昨年の夏にケガをしてしまったことで、まだプレシーズンマッチでしかNACKのピッチに立てていないんですけど、オレンジのユニフォームを着てプレーできたことはすごくうれしかったです。
二人の大宮おススメスポット
――プライベートの一面なども聞かせてください。地元出身選手としておすすめのスポットはありますか?
吉永:それが一番難しい質問です(笑)。地元のおすすめスポットを聞かれたときになんて答えていますか?
久保:それは確かにあるあるだね。私の場合は大宮公園って言っちゃうかな。大宮公園は歩いているだけで気持ちがいいですし、毎日のように四季を感じられます。春は本当に一帯が桜で満開になりますし、夏は緑がいっぱいです。「どうぞ、毎日お散歩してください」みたいな感じで大宮公園を推しています(笑)。あとは、氷川神社の参道沿いにお饅頭屋さん(氷川だんご屋)があって、そこの揚げ饅頭がめっちゃ美味しいです。安いですし、揚げたてが出てくるので食べ歩きには最高だと思います。
吉永:全然知らなかったです。大宮公園もあんまり行かないですね……。大宮アルディージャのスクールもやっていますし、僕はずっと一貫してステラタウンって答えています(笑)。言い過ぎで、ちょっとステラタウンに行きづらくなっちゃいましたけど。スクールの子どもたちにバレると「昇偉だー」って寄ってきて、蹴ってくるんですよ(笑)。
久保:ご飯屋さんなら、大宮駅の東口にも西口にもある「鮨政」さんですね。ランチなら1000円くらいで食べられてすごく美味しいですよ。
吉永:「鮨政」さんは分かります。美味しいですよね。僕はうどんが好きなので丸亀製麺ですかね。その後にスタバにも寄って帰るルートがおすすめですね(笑)。
久保:あとは、氷川神社の参道をずっと真っすぐ行くと、さいたま新都心の方に出るんですけど、最近はその両サイドにパン屋さんやカフェとか、ちょっとしたお店がたくさんできていて、行ってみたいなと思うはたくさんありますね。
吉永:それはぜんぜん知らなかったです。新しい発見ですね(笑)。オフの日はよく散歩をするので、今度、そのあたりを歩いてみるのもありですね。
まずはピッチで結果を出す
――大宮アルディージャは2022シーズンが始まったばかりで、大宮アルディージャVENTUSは2021-22シーズンの後期が再開したばかりです。今季への思いを聞かせてください。
吉永:ザスパクサツ群馬から帰って来たシーズンですので、成長した姿を見せないといけないと思っています。いまはSBでプレーすることが多いですが、前線でプレーしていたこともありますし、ゴールやアシストといった目に見える結果を出したいと思っています。まだ10分くらいしかNACKのピッチには立てっていない(第2節・新潟戦で4分、第3節・熊本戦で10分プレー)ので、自分の中ではまだ納得がいっていないです。90分間出て初めて「戻ってきた」と言いたい思いはあるので、早くスタメンで出て結果を残したいです。
久保:チームとしてゼロからスタートして、いまは積み上げている途中ですけど、それでも試合はやってきますし、お客さんは観に来てくださるので、少しでも大宮アルディージャVENTUSが勝てるようにしていかないといけないと思っています。個人としては完全復帰まではあともう少しなので、コンディションを戻して早くピッチに立ち、応援してくださる方々の前でプレーしたいです。
――『大宮早起きサッカースポーツ少年団』の子どもたちにメッセージをお願いします。
久保:早起きはすごく歴史のある少年団だと思います。土呂公園の砂のグラウンドからこうやってプロサッカー選手になれたので、みんなにもチャンスはあります。そのチャンスをつかむか、つかまないかは自分たち次第だと思うので、一緒に頑張りましょう!
吉永:少年団から大宮アルディージャのアカデミーに入ってくる子がいると聞くとうれしいですし、どんどん早起きからアルディージャに関わる選手が増えてくることは喜ばしいことです。プロとしてプレーする姿を見せることが一番大事だと思うので、頑張ってみんなの目標になっていきたいと思います。みんなも練習を頑張ってください!
――最後に今季中に成し遂げてほしいことがあれば、お互いに約束をお願いします。
久保:今季、大宮アルディージャのホームゲームはけっこう観に行っているので、私が観に行った試合でアシストをしてください。そしてスタンドの方に手を振ってもらえれば(笑)。
吉永:パフォーマンスかぁ…(苦笑)。分かりました。真理子さんが観に来てくれた試合でゴールなりアシストなりをできるように頑張ります。僕からは、大宮アルディージャVENTUSの試合にも早起きの子どもたちは観に来てくれていると思うので、その試合で結果を残して欲しいですね。
久保:そうですね、大宮アルディージャVENTUSの試合にはけっこう早起きの子どもたちが来てくれていて、直接は会えていないんですけど、インスタグラムでメッセージをくれるなど、すごくありがたいです。早く復帰して活躍する姿を見せられたらなと思います。
聞き手:須賀 大輔