今野さんが“タダのファン目線”でクラブ関係者らに逆取材を敢行するシリーズ企画から一転、今野さんが大宮周辺の行きたい場所をただただ訪れるという、迷走する雑談コーナーとなっている本連載。今回、向かったのは大宮区にある鉄道博物館。職員の及川さんに施設を案内していただきました。
入る前から仕掛けがいっぱい
及川「及川です。よろしくお願いします」
今野「今野です」
及川「鉄道博物館は初めてですか?」
今野「いや、2回くらい来たことが」
及川「そうなんですかっ! 以前は電車で来られましたか?」
今野「う~ん、そうですね……。いや、大宮から歩いてきたんだっけかな」
及川「なるほど」
今野「そこそこ歩いた記憶があります」
及川「大宮駅からニューシャトルで一駅です。あそこが駅の改札で、直結しています」
今野「最初に来たとき、まずはスイカで入館できることに感動しました」
及川「あははは。今はシステムが変わりチケットでの入館になりました」
今野「いまでこそ当たり前ですけど、当時は建物にスイカで入るなんて」
及川「確かに。いまは営業時間前なのでシャッターが閉まって、ポールも立っていますけど、一般のお客様はここの通路を通ってこられます。足下、何かお気づきになりましたか?」
今野「これね……」
及川「はい。時刻表なんです」
今野「昔からですか?」
及川「そうです」
今野「全然気づかなかった」
及川「このタイルの幅が時刻表を書くのにちょうどよかったのではないかと。新幹線の開業当初の時刻表になっています」
今野「これは壮大な質問になっちゃいますが、誰が考えたんですか?」
及川「う~ん、誰なんでしょう」
今野「天井にあるのはダイヤグラムですか?」
及川「そうです! よくご存じですね」
今野「なんとなく……」
及川「乗務員とか運転関係者が使っているものです」
今野「見方はまったくわかってないです」
及川「数字とかアルファベットが、列車の番号なんですね。まぁ、一般的にはこの足下にある時刻表のほうが馴染みあると思いますが」
今野「そうですね。ただ、もはや時刻表を見るよりもネットですかね」
及川「それが一番早い方法かもしれないですね。当館は10時開館ですが、10時に汽笛が鳴って、煙が出るんです。みなさん、ここでよく写真を撮られています」
今野「へ~」
150年前の機関車がお出迎え
及川「じゃ、次に行きましょう。ここから先の車両ステーション内に36両の車両が置いてあります。入ってすぐ、この機関車の名前は何ていうかご存知ですか?」
今野「そういうものでは、D51しか聞いたことがないですね」
及川「これは1号機関車と呼ばれていまして、国の重要文化財です。今年は日本で鉄道が開業して150周年なんですね。この機関車は150年前に実際に走っていたものです」
今野「レプリカじゃなくて?」
及川「本物です」
今野「えぇーー!」
及川「新橋、横浜間を走った蒸気機関車で、非常に珍しいものです。当時、イギリスから10両を輸入してきました」
今野「どうやって持って来たんだろうなぁ」
及川「おそらく船、ですね」
今野「そうでしょうね。よく錆びないですね」
及川「しっかりメンテナンスしていますからね」
今野「ちゃんとやれば走りそうですね」
及川「かなりコンパクトに見えますよね。正面から見た大きさは一緒ですけど」
今野「そうなんですね」
及川「レールの幅は今も変わっていないので、横幅は一緒なんです。今と違っているのは車両の長さですね」
今野「ほう……。動かす部分がデカいんですね」
及川「運転室には機関士さんと助手が乗っていました」
今野「なるほど」
レトロでお洒落な車内
及川「これは昔、山手線で走っていた電車で、ナデ6110と言います。昔の映画やアニメに出てきそうな雰囲気ですよね。中に入ってみましょうか」
今野「はい。おぉ~、お洒落ですね。木製なのかな?」
及川「照明も含めて、当時の雰囲気が想像できますよね」
今野「広いですね。大江戸線とかに比べると」
及川「(苦笑)。大江戸線は地下なので、どうしても小さく、コンパクトになりますよね」
今野「座り心地も全然いいし。いま、走っていても相当お洒落だな」
及川「みなさんホームから電車を見ることが多いと思いますけど、こうして外から見ると車輪の部分が結構大きいことがわかります」
今野「そうですね。普段はここから上しか見てないですからね。こうやって下から見ると、ホームってずいぶん高いんだってわかります」
及川「今野さんが来館されたのは、何年前ですか?」
今野「え~、いつだろう。20年くらい前かな。ここはいつからですか?」
及川「2007年開館なので、15年前です」
今野「じゃ、20年前は嘘だ(笑)」
及川「それまでは秋葉原に交通博物館がありましたが、老朽化したので移転しリニューアルしました」
今野「京都とかにもありますよね」
及川「あぁ、よくご存じで。京都にも、名古屋にもあります。名古屋はJR東海が、京都はJR西日本が支援していて、ここはJR東日本です」
「はやぶさ」と2ショット
及川「こちらが屋上です」
今野「これは良い景色ですね」
及川「左側が高架化されていますけど、ニューシャトルと新幹線。右が在来線です」
今野「すごい線路がありますね」
及川「そうなんです。間もなく電車が来ると思います」
今野「これは高崎線、宇都宮線、川越線……。あと何がありましたっけ?」
及川「試運転線ですね」
今野「試運転?」
及川「すぐ隣にJRの車両センターがあるので、メンテナンスを終えた車両などを試運転する線で、営業線ではないんですね。なので、高崎線、川越線、試運転線です。宇都宮・東北線は、もう少し向こうを走っています」
今野「そうなんだ。この路線、全部が一緒に来ることあるのかなぁ」
及川「在来線と新幹線が一緒になることはあると思いますが、さすがに全部は」
今野「そう思うと、ダイヤを考えるのって大変だな」
及川「新幹線は数分に1本来ますけどね。ここ鉄道博物館の中で昔の車両を見ていただき、屋上では現役の車両を見ていただける。こういう立地条件はなかなかないです」
今野「そうですね」
及川「それが、ここの博物館の特徴でもあるかと思います」
今野「こんな中洲のような土地、なかなかないよなぁ」
及川「そろそろ新幹線が来そうです」
今野「写真の用意しておいた方がいいですね」
及川「上りなので、向こうから手前に来る感じですね」
今野「こういう機会でもなければ、いい大人が写真なんて撮っていられないですよね」
及川「そうですね(笑)」
今野「子どもに譲らざるを得ない。あれ? 後ろから来た。何あの車両、見たことない!」
及川「金沢の方に行く車両ですね」
今野「へ~。綺麗ですね。あっ、また来た。あれは川越線か。臨海線乗り入れのやつかな。今日、このあとは新木場まで行って仕事なので」
及川「そうなんですね。上りが、なかなか来ないですね」
今野「待ちましょう……」
及川「はやぶさなので、色鮮やかな新幹線がくると思います」
今野「おっ、来たんじゃないですかっ!」
一同「来た来た!」
今野「写真を撮ろうと思うと、新幹線が見られないじゃないですか(笑)。……いいなぁ、グランクラス。一度乗ってみたいな」
及川「そうですね。飛行機で言うファーストクラスですからね。ぜひ、お仕事で北海道や東北に行くようなときに、ご利用いただければ。次はジオラマを見ますか」
今野「(移動中に施設の廊下を通りながら)この窓いいなぁ」
及川「11時30分くらいになると、四季島っていう豪華列車が来るので、それをみんなでこの窓から見送るんです」
今野「へ~」
及川「お客さまに旗をお配りして、それを振ってもらっています。四季島も鉄博の前を通るときはゆっくり走って、汽笛を鳴らしてくれるんです」
今野「それはいいですね」
及川「これが日本最大級の鉄道ジオラマです」
今野「うわぁ」
及川「車両のストックは1400両くらいありまして、これはほんの一部です。10分くらいのプログラムを見ていただいています」
今野「へ~。物語性があるんです」
及川「そうなんです。ストーリーに沿って解説員が説明しています。照明を落として夜を演出するなどして」
今野「いいなぁ、見てみたいな。これはどこかの街を再現したんですか?」
及川「いや、そういうわけではなく、都市部と山間部といったイメージです」
今野「確かに、こんな街ないか」
及川「小さな人がたくさん駅に立っていますが、細かなところまでこだわって作っています。架空の駅ですね。好きな方にとっては昔の車両と現役の車両が並走したり、交差したり、そういうところが大きな魅力なのだそうです」
今野「なるほどね」
及川「ちなみに、川の土手のところに駅があって、黒っぽい車両が見えますか?」
今野「はい」
及川「あれが最初に見ていただいた1号機関車です」
今野「あれも走るんですか」
及川「はい。今年が鉄道開業150周年ということで、特別なプログラムを組んでいます」
構成:粕川哲男
協力:鉄道博物館
〒330-0852 埼玉県さいたま市大宮区大成町3丁目47番