Vol.006 粕川 哲男「川島永嗣から学んだ“耐える力”」【オフィシャルライター「聞きたい放題」】

アルディージャ練習場では日々、様々な取材活動が行われていますが、サッカーと関係のないことはなかなか聞けない場合もあります。このコーナーでは、そんな話も含めて記者が気になる質問を、どんどん選手にぶつけます。今回は粕川哲男記者が、山越康平選手を直撃しました。

Vol.006 粕川 哲男
川島永嗣から学んだ“耐える力”

10月に入っても30度越えの日が続くなど、暑さは完全に消えていませんが、徐々に秋の気配が濃くなってきています。ということで、今回は「秋」をテーマに取材してきました。話を聞いたのは、山越康平選手。5月26日の明治安田J2第15節・柏レイソル戦で負傷した左肩関節脱臼も癒え、チーム練習に完全合流している山越選手の趣味は「読書」だとか。そのあたりから聞いてみようとしたところ、いきなり邪魔が入りました。

「山越の取材いります? いらん、いらん」(河面旺成 ※明治大学の1つ後輩)

――いやぁ、読書が趣味と聞いたもので。秋らしく。
「どうせゲームやろ。ドラクエの攻略本とか(笑)」(河面)

――……。
「いや、自己啓発ものとか好きですね。小説じゃなくて」(以下、山越)

――成功の秘訣とか、人生訓のようなものが書かれているものですか?
「日本代表で活躍しているような、有名なサッカー選手の本が多いですね。最近読んで特に印象に残っているのは、川島永嗣さんの『耐心力』。すごくためになったというか、僕もどっちかと言うと耐えて、耐えて結果を残してきた方なので、すごく勉強になりましたし、考え方とか生き方に共感できる部分がありました。どれだけ苦しい状況に立たされても、自分自身の考え方で状況を変えられる。自分のケガに置き換えて、辛かったけど、辛いと思わずポジティブに取り組むことが大事、ということを学びました」

――5カ月近く、これだけ長い間ピッチを離れたことは?
「初めてです。復帰までは長かったですが、これからのサッカー人生を考えると、非常に有意義な時間だったと思えるようになりました。何より、サッカーができる喜びを感じることができましたし、こうやってみんなと一緒にボールを蹴るのは、やっぱり楽しいです。ケガの間にお世話になった方々のためにも、いち早くピッチに戻って、勝利を届けることで恩返しをしたいと思っています」

――小さいころから読書の習慣があったのですか?
「いや、大学を卒業して、プロになってからですね。サッカー選手にとって大事な睡眠の本とか、食事の本とか。ホスト界の帝王ローランドさんの『俺か、俺以外か。ローランドという生き方』にも、見習わなきゃいけない部分がたくさんありました」

――次はスポーツの秋ということで、運動会の思い出は?
「応援団長やったんですよ。(宇都宮市立田原)中学校のときに。立候補しました。いい思い出です。ドラム缶の上に立って『フレー、フレー』って。運動会は一大イベントで、どの競技もすごく盛り上がるんですよ。応援は3年生が中心になって、夏休みから時間をかけて準備する。結局、僕たちの組はビリだったんですけど、みんな泣くほど感動して、あれは熱かったですね」

――競技の方でもヒーローでしたか?
「小学校のときはリレーの選手でした。アンカーじゃなかったし、ぶっちぎりで速かったわけでもないですが、そこそこ活躍していました」

――最後、食欲の秋。好きな食べ物を教えてください。
「餃子です」

――宇都宮だけに。
「小さいころは、そこまで好きじゃなかったんですよ。だけど、こっちに出てきて『あっ、餃子っておいしいな』と思うようになったんです。栃木の餃子だけじゃなくて、普通の餃子もおいしいですよね。イチオシは『スタミナ健太の宇都宮餃子館』。あそこが一番おいしいと思います」

粕川 哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。

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