Vol.003 平野貴也「40歳まで現役でいたい」【オフィシャルライター「聞きたい放題」】

アルディージャ練習場では日々、様々な取材活動が行われていますが、サッカーと関係のないことはなかなか聞けない場合もあります。このコーナーでは、そんな話も含めて記者が気になる質問を、どんどん選手にぶつけてみます。今回は先日、第3子誕生が発表された三門雄大選手に話を伺いました。


Vol.003 平野貴也

40歳まで現役でいたい

――5月20日に第3子を授かったとのことで、おめでとうございます。初めての立ち会い出産だったのですね。
「ありがとうございます。妻は『練習に行って。サッカーが仕事でしょう』という感じなのですが、僕は最初の子の出産から立ち会いを希望していて、もうチャンスは最後かもということで今回、立ち会いました。感動しました」

――お子さんの名前は、どのように決めたのですか。
「長男が『春瀬』で、関わりを持たせて『絢瀬』という名前にしました。瀬という字を付けるのを最初に決め、音の響きで『あやせ』にして、漢字を当てはめました。音の響きが先でしたね」

――ご自身は「雄大(ゆうた)」。漢字に意味を込められた名前のように思います。
「いや、『雄大に』という意味付けが最初ではないらしいです。もともとは『けんた』が第一候補だったとか。母は『格好良い顔の男の子』と『けんた』という名前のイメージが一致するそうで。Jリーガーで言うと、狩野健太選手(徳島ヴォルティス)をイメージしてもらえば、分かりやすいですかね。でも母は、僕が生まれて来た瞬間に『けんたじゃない』と思ったらしく(笑)、『ゆうた』になりました。なので、僕の名前も音の響きが先に決まって、漢字は後から当てはめたものです。小学生くらいになると、学校の先生から『名前の由来を聞いてきなさい』とか言われますよね。音の響きだけ……じゃなくて、どう説明しようかな……」


――やはり、お子さんが生まれると、父親としてより頑張らなければいけないという気持ちになりますか。
「子どもが生まれると、一層、気持ちが入りますね。(多くの観客の視線が注がれる)公式戦で子どもと一緒に入場するというのは、Jリーガーになって先発出場しないとできない経験です。他のクラブでは子どもと一緒に入場できる試合が限られていることもありましたし、貴重な機会です。そういう経験を子どもにさせられることは、Jリーガーになって良かったと思うことですね。長男はもう7歳なので覚えてくれていると思いますし、長女も4歳で記憶に残るかなという年齢になってきていますけど、3人目の子が5歳になるころには、僕は38歳(現在33歳)。3人目の子が長男と同じ年齢になるまでと考えたら、40歳までプレーしないといけないので、頑張らないといけません」

――「記憶に残る年齢で一緒に入場」というのは、選手にとって大きな喜びなのですね。
「写真や映像では残りますが、覚えていてくれたら一番うれしいです。僕の父(治さん)は、アメリカンフットボールの選手で、アサヒビールの社会人チーム(シルバースター)でプレーしていました。父が東京ドームや横浜スタジアムでプレーしていた姿を、僕は小さいころに見ていますし、鮮明に覚えています。幼稚園のころじゃないかと思います。僕にとっては、遊園地とかよりスタジアムの雰囲気が印象的でした。僕がふざけてチームのヘルメットを被っている写真も残っています。観客がすごく多かったというわけではないですけど、ユニフォームを着て目の前で戦っている父の姿を見て、格好良いと思いました。だから、そういうふうに良い思い出になってほしいと思います。僕も現役を引退したら太ってしまって、ソファーでデーンと座っているお父さんになっているかもしれませんが(笑)、ちょっと格好良いところの記憶があれば、少しは尊敬してくれるのではないかと思います。先日は、ちょうど生まれてすぐの試合で起用してもらったということもありますし、年齢を重ねて大変な部分も出てくると思いますけど、頑張っていきたいと思います」

――30代後半まで第一線でプレーすることは、容易ではありませんよね。
「そうですね。僕は試合に出場できずにいるときに、『今後どうなっていくのだろう』と考えてしまうことが多いタイプです。投げやりな気持ちになるわけではありませんが、『34、35歳くらいで引退することになるのだろうか……』と考えたこともありますし、考える年齢になってきていることは確かです。でも、家族が増えたことで、できるだけ長くプレーして、その姿を子どもに見せたいという気持ちが強くなりました。僕は、気持ちがあれば体はついてくると信じています。ケガをしてしまう場合もあると思いますが、元気なうちに引退してしまう選手は、年齢のせいというよりも、気持ちが追いつかなくなるのではないかと思っています。だから、できるだけポジティブに考えるようにしています。今シーズンは、高木さんが新しいことを要求してくれて刺激がありますし、みんなが切磋琢磨していて、約束されたレギュラーなんていないと感じるので、試合に出ていないときも楽しめています。家族が増えたことで、できるだけ多くの試合に出て、できるだけ長くプレーできるようにしたいと強く思うようになったので、頑張ります!」

平野 貴也 (ひらの たかや)
大学卒業後、スポーツナビで編集者として勤務した後、2008年よりフリーで活動。育成年代のサッカーを中心に、さまざまな競技の取材を精力的に行う。大宮アルディージャのオフィシャルライターは、2009年より務めている。

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