MF15 大山啓輔【マンスリープレーヤーインタビュー】

背負うものの重み

何気ない言葉が、彼の心の襞を刺してしまった。

シーズンインからのチームの状況をたどっていく中で、「何と言っても生え抜きですし、背番号15ですし」と会話をつなぐ。自身を形容する代表的なフレーズに対する大山啓輔の反応は、予想をはるかに上回るものだった。

「プレッシャーは……ありますね。プレッシャー、責任感、自覚……。そうですね……、人と同じことをしていてもダメなんだろうなと思います。やっぱりこの自分の立場、境遇でしかできないことをやっていかなきゃいけないと、すごく感じていて。自分にできることを探していく作業が、今は続いているというか。この立場で、この境遇の自分だからしなきゃいけないこと、できることは何だろうなって、すごく意識するようになってきました」

ジュニアの一期生としてトップチームに昇格した生え抜きであり、斉藤雅人が着けていた背番号15の後継者でもある大山は、ピッチに立つ以前に期待を背負っている。クラブにとってかけがえのない存在であり、大きな希望であり、未来の象徴でもある。それゆえに私たちは、知らず知らずのうちに厳しい視線を向けているのかもしれない。

「周りの評価は、どうしても……。見られ方をすごく気にするというか、そういうのを気にしないことも大事かなと思っているんですけど、やっぱり試合に使ってもらったりする中で、生え抜きだからとか、15番をもらっているからとか、そういうふうに思う人もいるんだろうなって。自分が逆の立場だったら、そういうふうに思うときもあるのかなって」

重圧にも責任も、真正面から向き合っている。これまで逃げたことはなかったし、これからも逃げるつもりはない。ただ、決意とか覚悟といった言葉では足りないぐらいの思いを抱えて、彼はアルディージャのユニフォームを着ている。

「外から加入してきた選手が試合に出るのとは、やっぱり違う感覚は持っていないといけない。『大宮に来てくれてありがとう』とは、僕の場合はならないので。『結果を残せよ。いつ結果を残すんだ?』という目線で見られているのは、すごく感じる部分です。周囲から認めてもらうには、監督が代わったり、自分を知らない監督が来たりした中でも、試合に出続けていくしかない。結果を残すことでしか、認めてもらえないんだろうなって」

悲痛な叫びにも聞こえるかもしれない。だが、大山は悶え苦しんでいるわけではない。言葉には確かな力があり、表情は精気にみなぎっている。

「生え抜きであることや背番号15を着けていることは、自分の良さというか、自分が頑張ってきた証で、大切にしなければいけないものです。時として、それがプレッシャーになることもありますけど、自分でエネルギーに変えていかなきゃいけない。チームメートにも試合を見ている人にも、『コイツが試合に出るのは当たり前だ』と思ってもらえるようなプレーを続けていくことが、僕にできること、やらなきゃいけないことだと思うんです」


とにかく勝ちたい

ボランチのポジションには、湘南ベルマーレから石川俊輝が移籍してきた。ユースまでアルディージャでプレーした生え抜きの先輩が、ライバルに加わってきた。

「年齢は少し離れているので、アカデミーでは一緒にプレーしていないのですが、もちろん、以前から知っていました。俊輝くんが湘南の選手だった当時に、練習試合で対戦したこともありました。ボランチを組む選手との信頼関係は、すごく大事です。チームメート全員と信頼関係を構築しなければいけないですが、ボランチ同士は特に大事だというのが僕の考えです。一方で、ライバルでもある。すごく難しい立ち位置でもあるのですが、俊輝くんがアドバイスをしてくれることもあるし、互いがライバルでありながら、いい関係を築けているのかな、と思いますね」

アカデミー出身のボランチは、石川だけではない。レジェンドの金澤慎、期限付き移籍から復帰した小島幹敏、ユースから明治大学を経て新加入の小野雅史も、ポジションを争う候補者たちだ。

「アカデミー出身の選手だけがライバルというわけではありませんが、下からの突き上げが刺激になっています。一つ下の幹敏や雅史は、危機感を持たせてくれる存在だなって、すごく感じています」

プロフェッショナルのキャリアは6年目となり、5月には24歳の誕生日を迎える。経験豊富な選手を追う立場でありながら、追われる立場にもなっている。

「自分の力で、自分を証明していかなければいけないですね。プロは年齢が関係ない世界です。力で認めてもらわないと」

生え抜きとしての矜持や中心選手としての自覚は、大山という選手を貫く芯である。ただ、何よりも大切なのはチームの結果だ。5節を終えて1勝2分2敗の成績が、餓えた思いを吐露させる。

「今はもう誰が出ても、どんな試合でも、とにかく勝ちたい。それだけです」

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