【聞きたい放題】奥抜侃志 後編「結果を残さないと生き残れない。勝利へのこだわりはだいぶ変わりました」

選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。前回に続いてポーランド1部リーグのグールニク・ザブジェへ期限付き移籍中の奥抜侃志選手のインタビュー後編をお届けします。

聞き手=須賀 大輔

「結果を残さないと生き残れない。勝利へのこだわりはだいぶ変わりました」


ポーランド生活は快適?

――後編ではピッチ外の様子も聞いていきたいと思います。オフはどのように過ごされていることが多いですか?
「家の近くに公園があるのでそこを散歩しています。あとはショッピングモールも近くにあってよくぶらぶらしています。スタバはありますけど、日本と比べると少ないですし、ポーランドはあまり英語が通じないんですよ。でも、1日に1回は外に出たいタイプで一人なりに楽しんではいます。良い経験はできていますね(笑)」


奥抜選手が暮らすザブジェの街の近くにある、世界一高い木造建築物のラジオ塔(写真本人提供)

――食事はどうしていますか?
「外食は高いのでスーパーに行って食材を買って自分で作るようにはしています。クックパッドを見れば誰でもできるんだなとは思いましたけど、日本のときはまったくしていなかったので、腕前はぜんぜんです(笑)。それに、日本の食品はあまり売っていなくて、こっちに来るときに持ってきた分だけなのでなくなってしまったら大変です……。お米は現地の方に手配してもらって仕入れてますけど、調味料はほとんどそろわないですね。ネットで買えるらしいんですけど高いみたいなので、次に日本に帰ったときに調達しようと思います(笑)」


後日、奥抜選手から送られてきた自炊の写真

――ポーランド料理は食べましたか?
「あんまり好きではなかったですね……。ピエロギという伝統料理とお餅みたいなモノを食べてみたんですけど、あまり口には合わなかったです。主食はジャガイモでそれはすごく美味しいです。フライドポテトでもマッシュポテトでも何でも美味しいですね」

――寒さは厳しいですか?
「僕も寒さは覚悟していたんですけど、まだそんなに寒いとは感じないですね。こっちの家は作りとして暖かくなるようにできているみたいで部屋の中はすごく暖かいんですよ。いまのところ暖房は必要ないです」

――泉澤選手が「ポーランドは移動が大変」と話していました。
「移動はかなりきついですね。バスで5時間とか普通です。日本ほど公共交通機関が発達していなくてバスが一番楽で速いらしいです。バスの設備はすごく充実していて足も伸ばせるし、クオリティーは高いです。でも、往復10時間はきついですね(笑)」


ポーランドの日本人事情

――おしゃれなお家に見えますがクラブが用意してくれたんですか?
「移籍してからマネージャーと一緒に探して見つけました。たまたま、この部屋のオーナーさんが以前日本人の男性と結婚されていた方で日本語が話せるので、それはだいぶ助かりましたね」

――住んでいる街に日本人はいるんですか?
「ぜんぜんいないらしいです。オーナーさんの知り合いが何人かはいるらしいですけど、本当に数人だと言っていました」

――近くに日本人選手はいないんですか?
「国としてはドイツが近いけど、近いと言っても車でふらっとは行けない距離ですね。チェコやスロバキア、スロベニアは近いみたいですけど、なかなか知り合いはいないです」

――では、今回のインタビューでひさしぶりに日本人と話しましたか(笑)?
「電話はちょっとするのでまったくないわけではないですけど、日本語を話すのはそのくらいですね。さっきもちょうどシバ(柴山)と電話していました(笑)。あとは、クリくん(栗本)とか佐相(現・相模原)とか、何人かは連絡を取っていますね」

――シーズン途中での移籍とあり、大宮の成績は気にしていましたか?
「まだ3カ月前は日本にいて、大宮でプレーしていたとは思えないくらいかなり前のことだと感じていますが、家では日本の回線をつないでアルディージャの試合は観ていました。自分が移籍して直後の試合はアウェイでの熊本戦だったと思いますけど、負けてしまったのでちょっと責任を感じました」

――そのなかで、大宮アルディージャは何とか残留が決まりました。
「本当に良かったの一言です。やはり、J3に落ちるようなクラブではないと思っていますし、J1にいないといけないクラブだと思うので、何とか昇格してほしいです」


ザブジェのサッカー熱は?

――日本よりもサッカーが生活に染み付いているということですが、サポーターの反応はどうですか?
「普段、道を歩いているとけっこう話かけられます。むしろ負けたあとは『××××(Fワード)』みたいな感じでめっちゃ言われます(笑)。ちょうど先週も負けちゃって、その後、サポーターの人に出くわしたときに何を言っているのかは分からなかったけど、怒っていることは伝わってきました」

――そのくらいサッカー熱が高く、クラブが街の象徴なんですね。
「いまいるチームがポーランドの中でも熱狂的なサポーターが多いらしくて、一番“危ない”サポーターらしいです。スタジアムの雰囲気も良い意味ですごく殺気立っていて、ピリピリしていますね」

――スタジアムの大きさはどのくらいですか?
「サッカー専用のスタジアムで確か2万5000人くらいの収容で毎試合ほぼ満員で声援もすごいです。野太い声が響き渡っている感じでゴールを決めたときは最高に気持ちよいですね。この前の試合では1-1の状況で2点目を取ったのでそのときの歓声はすごかったです」

――日本では味わえないような空気感ですか?
「そうだと思います。J1を経験していないので何とも言えないですけど、J2では味わったことのない雰囲気ですね。女性や小さい子どももいて、『ユニフォームちょうだい』とかよく言われますけど、男の人たちはとにかく声が低くて重いからすごく響くんですよ。発煙筒が投げ込まれることもあります。実際に来てみて感じるのはサポーターの熱やサッカーへの思いなど、本当にこの人たちは毎週、試合を楽しみにしてくれていると伝わってきます。さっき話したように負けたらすごくたたかれますけど、勝ったらすごくフレンドリーに話しかけてきて、気分の上げ下げがすごいです。やはり、キャプテン翼の影響もすごくあるみたいで、点を取ったときには侃志コールではなく、翼コールが起きますね(笑)」

――ファン・サポーターの見る目も肥えていて結果にシビアなんですね。
「いまの監督は相馬さんの考え方に近い人で、ゴールに直線的に向かっていくこと求められます。だから、相馬さんのもとでそういうサッカーを経験できて良かったと思っています。ただ、とにかくこっちでは試合に勝たないと何も意味がないですね。いくら内容のいいサッカーをしても勝たないとファン・サポーターの人たちがまったくと言っていいほど喜ばない。0-3で負けた試合があったんですけど、ポゼッション率では70対30くらいで上回っていました。でも、短い時間で失点が続いてしまい負けました。やはりものすごくブーイングされましたね。内容では圧倒していたけど勝てなかった。結果以外は何も評価されないと強く感じました」

――結果の大切さに気が付いたということですか?
「本当に勝たないと意味がないんだなと痛感しています。勝った上でポゼッション率など内容が評価される。何よりも先に勝利が来ないといけないと。その意味では勝利への欲がかなり出てきていると思います。それは個人としても同じで試合に勝ったりゴールを決めたり、結果を残さないと生き残れない。チームメートといい関係を築くためにも結果を出すことが一番です。日本にいたときよりも1試合1試合に対する勝利へのこだわりはだいぶ変わったと思います」

――いい選手、うまい選手ではなく、結果を出す選手が生き残っていく。そういうことですね。
「それを一番感じます。ポドルスキからは試合前に『結果を残せ。ゴールを決めろ』といつも言われています」

――この短期間でも成長していることが伝わってきました。最後に活躍を楽しみしている大宮アルディージャのファン・サポーターの方にメッセージをお願いします。
「画面越しですけど移籍してからも常に気にかけていましたし、残留が決まったときは本当に良かったと思いました。あとは、自分も声出し応援があるなかでプレーしたかったですね。声出し応援が解禁されてからチームの調子も上がったと思うので、サポーターの力はすごいと思いました。こっちにきて、応援してくれる人の大切さはすごく感じているので、今後もアルディージャを支えてもらったらうれしいです。そして、自分の活躍が少しでも届けられるように頑張ります。ちょっと遠い場所ですけど、ポーランドまで試合を観にきてくれたらうれしいです」

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