【聞きたい放題】室井彗佑「試合に出たら自分が点を取って勝たせたいし、J1昇格に貢献したい」

選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回はJFA・Jリーグ特別指定選手として2022シーズンを戦い、関東大学サッカーリーグでは得点王を獲得した東洋大の室井彗佑 選手に話を聞きました。

聞き手=飯嶋 玲子

「試合に出たら自分が点を取って勝たせたいし、J1昇格に貢献したい」」


プロ入り前の貴重な経験

――まずは、プロとしてのスタートを大宮アルディージャに決めた経緯を教えてください。
6月の頭くらいに声をかけてもらって、3日間ほど大宮に練習参加をしたんです。その前にも1チーム練習参加して、大宮の後にも1チーム予定があったんですけど、練習後に大宮からオファーをいただいたので、すぐに(大宮に)決めました」

――決め手となったのは?
「練習の質が良かったことですね。もちろん、施設も良かったんですけど。試合に出ていない方たちと練習することが多かったんですが、全体的にレベルが高い。あと、オファーのときに、状況が許せば早めに特別指定選手にするというようなことも言ってもらえたんです。自分としては、学生時代にJリーグを経験できたらすごくプラスになると考えていたので、それも大きかったです」

――その言葉どおり、第34節のロアッソ熊本戦ではJFA・Jリーグ特別指定選手としてJリーグデビューを果たしました。
「めちゃくちゃキツイ15分間でした。とにかくやらなきゃ、と思って動き続けていたんですけど、途中出場だったのでなかなかゲームの流れに乗れなくて。ボールやプレッシャーの速さが全然違う。もちろん慣れもあるとは思うのですが……。自分は課題として筋トレを強化しているのですが、その大切さも強く感じました。あと、自分はそう大きいほうじゃないので、相手から少し離れたところで駆け引きするとか……本当にちょっとした動きなんですけど。そういうところをうまくやれないと、上のレベルではやっていけないと痛感しました。それを大学生から感じられたことはすごく貴重だし、本当に良かったです」

――ほかに大宮に練習参加して学んだことは?
「練習中は北嶋(秀朗コーチ/今季限りで退任)さんが見てくれることが多かったですね。北嶋さんは同じFWだったということで、いただいたアドバイスすべてに説得力がある」

――たとえば?
「一番はクロスへの入り方ですね。大学サッカーのほうでも後期リーグではクロスからの動きに気をつけていて。実際、大宮から戻ってすぐの順天堂大学戦(第15節・101日)で、クロスからゴールを決めて勝つことができました。北嶋さんのおかげだなって思って。すごく参考になったし、わかりやすかったです」


関東1部得点王に輝く

――関東大学サッカーリーグ戦では13得点を挙げて1部リーグ得点王に輝きました。
「正直なところをいえば、得点王を取れるとは思っていませんでした。東洋大ではシーズン始めに、井上監督にその年の目標を書いて送るんです。でも4年になった今年に書いた目標は“2桁得点だけでした。ただ、前期リーグの終わりくらいですかね。トップが6点で、自分を含めて3人が並んでいる状況で、『これはもしかしたら狙えるんじゃないか?』と思って。それからですね、得点王を意識し始めたのは。後期リーグからはコンスタントに点を取れるようになったので、それも得点王を取れた要因かもしれません」

――あらためて、東洋大での4年間を振り返って。
「自分が東洋大に入ると決めたとき、東洋大は1部リーグにいたんです。だから関東1部でできると思ってワクワクしていたんですけど、入学したら2部に降格していて。ショックはショックだったんですけど、自分が4年生になるまでに1部に戻せばいい、と考えていました。そういう意味では、最終学年の今年、1部リーグで結果を出せて良かったと思います。個人としても、前橋育英高時代とはいろいろな面で意識が変わりました。たとえば一試合のスプリント回数は、高校時代に比べると倍以上に増えていると思います」

――その他に、自分で感じる変化は?
「入学してすぐのころは、まだ自分のプレースタイルがわかってもらえていないこともあって、ボールが全然まわってこないんですよ。それで、苦手だったポゼッションも意識するようになりました。高校時代は本当に自分のスピードだけで勝負できると思っていたし、前線にずっといればボールが来ると思っていたんです。でもポゼッションを意識していれば、自分からボールをもらうこともできますし……。大学に入ってボールを大切にするという部分は向上したと思います」

――大学で4年間“遠回り”することへの不安はありませんでしたか。
「最初はなかったわけじゃないですけど、高校の監督との話し合いで『東洋大はどうだ』と。練習参加させてもらったら、自分でもいいと思ったので不安はなかったですね。むしろ焦りが大きかったのは大学3年生のとき。よく監督とも話をして、アドバイスをもらっていたのですが、なかなか試合に出られなくて。このままで、本当にプロになれるんだろうか……と不安でした。ただ、高校時代も12年生のころはほとんどスタメンで出られていなかったんです。大学でも同じ。高校と大学の両方でそういう経験をしているから、プロになって、たとえ最初は出られなくても乗り越えられるんじゃないかと思っています」

兄の存在

――サッカーを始めたきっかけは?
「兄の影響です。3人兄弟の3番目なんですけど、兄二人がサッカーをやっていて。子どものころは、憧れのプロ選手とかじゃなく兄しか見ていませんでしたね()。父親は野球をやっていたみたいで、よくキャッチボールとかもしていたんですけど……気がついたらみんなサッカーをやっていました。一番上の兄は大学までサッカーをやっていて、高校時代からずっと試合後にメッセージやアドバイスを送ってくれます。いまは仕事の関係で関東以外の地域にいるんですけど、試合を見に来てくれることもあるし、映像を見ていろいろ連絡をくれたり。だから大宮に決まったときは、本当に喜んでくれて」

――熊本戦のときもメッセージはきた?
「はい。全然やれるじゃん、みたいなメッセージが。それで少し、安心したところもありました」


背番号への思い

――その、特別指定選手としてのデビュー戦では33番をつけてプレーしました。番号にこだわりはありますか。
33番は自分で選びました。小学校、中学校時代にも33番をつけていたんです。だから空いている番号を見せてもらったとき、33番があるのを見て即決でしたね」

――東洋大では今年9番をつけてプレーしました。
「東洋大の番号は監督が決めるんです。だから9番は監督からの指定なんですけど……。なんとなく自分は11番のような気がしていて。チームメートも自分は11番だろうと予想していたので意外でした。ただ、それが嫌っていうわけじゃなくて、とにかくいい番号をもらえたのがうれしかったし、早く試合をしたいなと思っていました」

――その東洋大のチームメートでもあり、大宮でもチームメートとなる高柳郁弥選手のことを教えてください。
「いじられキャラです! 初めて会ったときは無口な印象で、仲良くならないと自分から喋ってくるタイプじゃないと思っていたんですけど……。慣れてくると、どれだけいじっても大丈夫! ただ、ファンサービスとかかなりぎこちない感じになりそうですね()。プレーヤーとしては、とにかく頼りになる。自分と郁弥の間にはホットラインがあると思うのですが、それ以外の部分でも、郁弥にボールを出しておけば絶対に取られないし、的確にさばいてくれる。僕にとってはいちばん頼りになる選手です」

――最後に、サポーターに一言お願いします。
「大宮はJ2にいるチームじゃないと、本当に思っています。いまの自分がどこまで試合に絡めるかわからないけれど、試合に出たら自分が点を取って勝たせたいし、J1昇格に貢献したい。そういう強い気持ちをもっていきたいと思います。応援よろしくお願いいたします」

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