【ライターコラム「春夏秋橙」】3年生から後輩たちへ、託されたバトン

ピッチで戦う選手やスタッフの素顔や魅力を、アルディージャを“定点観測”する記者の視点でお届けする本コーナー。今回は、アカデミーの定点観測を続けている土地記者に、高校年代最高峰のリーグである高円宮杯 JFA U18サッカープレミアリーグ2022 EASTを戦った大宮アルディージャU18について振り返っていただきました。


【ライターコラム「春夏秋橙」】土地 将靖
3年生から後輩たちへ、託されたバトン

124日、高円宮杯 JFA U18サッカープレミアリーグ2022EASTおよびWESTの全日程が終了した。大宮アルディージャU18は、22試合を戦い1237敗、勝点39で第3位。森田浩史監督は、「年間を通して選手がすごくしっかりやってくれた。3位でフィニッシュしたのは立派だと思います」と選手の健闘を称えた。

序盤は苦しかった。開幕戦から阿部来誠(来季トップ昇格内定)、小澤晴樹といった攻守の核を欠く緊急事態。主力メンバーとなるはずの3年生に離脱者が多く、先発メンバーの半分近くが12年生という試合も少なくなかった。黒星が先行し、星を五分に戻すのがやっとというような状況が続く。結局、夏の中断までの前半戦12試合で525敗、6位で折り返すこととなった。

夏の日本クラブユースサッカー選手権U-18大会を経て、再開したプレミアリーグの後半戦では、大きく成長した姿を見せた。再開直後の2試合で2連勝。プレミアリーグでは過去一度も勝てていなかった強豪・青森山田高に、敵地で勝つこともできた。

3年生を中心に自分たちでやるというところ。特に、試合のなかでも自分たちでコミュニケーションを取りながら、自分たちでスイッチを入れていくとか、いろんな選手を巻き込んでいくとか、みんなでパワーを持ってやっていくとか、そういうところを自分たちでやれるようになった」(森田監督)

また、1年生から斉藤秀輝や山中大智といったレギュラーポジションを勝ち取る者も出てきた。

12年生も、隣に3年生がいてくれるから思い切ってプレーできたところもあると思うし、それを成長につなげていくことがうまくできたんじゃないかなと思います」(森田監督)

後半戦10試合は、712敗という驚異的な強さを見せた。目標としたプレミアリーグEAST優勝は達成できなかったが、初めてこの年代を率いた指揮官にとっても、手応えは大きかったようだ。

「やっぱりプレミアリーグって1試合も楽な試合がなくて、どこも強くて大変で、そのなかで1年かけてリーグ戦をやるということで選手が育つ。それぐらいタフなリーグで、僕自身は初めてですけど、すごく勉強になった、いい経験をさせてもらった1年になったと思います」(森田監督)

最終戦となった横浜FCユース戦、1-1で迎えた試合終了間際に2年生の種田陽が挙げた決勝点は、種田が1年生の山中に預け、最後は3年生の高橋輝が落としたボールからしっかりと蹴り込み決めたもの。引退する3年生へ、下級生から「来年は僕らに任せてください」と贈ったはなむけのように思えたファインゴールだった。

12年生にとってはこの後、まだJユースリーグなども残っている。来季への戦いは、もうすでに始まっていると言っていい。次こそさらなる上へ、そして、クラブの新たな歴史を築き上げてほしい。

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