【聞きたい放題】袴田裕太郎「自分のすべてをアルディージャに注ぎたい」

選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回は大宮アルディージャに完全移籍での加入が発表された袴田裕太郎 選手に話を聞きました。

聞き手=須賀 大輔

「自分のすべてをアルディージャに注ぎたい」


完全移籍を決断した理由

――昨年の12月19日に完全移籍での加入が発表されました。決断した理由や思いを聞かせてください。
「リリースのコメントにも書かせてもらいましたが、昨季の半年間はすごく楽しくプレーできました。今までのサッカー人生のなかでもすごく充実した時間であったことが大きかったですね。ジュビロ磐田にいた最初の半年は“どん底”とまではいかなくても、どうやってもなかなか試合に絡めず気分も落ちていてすごく苦しかったです。そんな状況のときに大宮アルディージャから声をかけていただきました。その苦しい期間を経てのアルディージャでの半年間で、最初の半年がウソのようにうまく結果も出ました。もちろん、ジュビロで試合に出られなかった悔しさをぶつけられたところもあると思います。ただ、それ以上に、自分を助けてくれたクラブに恩返しするではないですけど、いまもっている自分のすべてをアルディージャに注ぎたいと思い、今回、完全移籍の決断をしました」

――昨季から『大宮に残りたい』と話してくれていましたが、このオフは補強ができない磐田の状況もあり自分の意思だけではどうしようもできない部分もあったと思います。その中で完全移籍が決まった流れを教えてくれますか?
「自分の気持ちは正直に伝えていました。それは代理人の方にもそうですし、ジュビロの強化部の藤田俊哉さんとも直接お会いしてお話をさせてもらいました。その場で『アルディージャでプレーしたいです』と正直に伝えたところ、藤田さんも理解してくださり、『裕太郎の気持ちを尊重するし、プレーしたいところでプレーすることが選手として一番の幸せだから無理に帰って来いとは言わない』と言ってくれました。その言葉はすごくうれしかったですし、本当にありがたかったです」

――とはいえ、愛着ある磐田を離れる決断も簡単ではなかったと思います。
「小さいころから本当に大好きなクラブでしたし、いつも観に行っていました。憧れのクラブであり、いつかはサックスブルーのユニフォームを着てヤマハスタジアムでプレーしたいと思ってずっとやってきました。大学を卒業するタイミングでもジュビロには入れず、そのときの気持ちをバネにプロでもずっとやってきたので、正直に言えば、たった半年間で出てしまって何も結果を残せなかった悔しさはあります。ただ、それよりもいまはアルディージャのために戦いたい思いが強いです」

――今季はカテゴリーが同じで完全移籍のため出場に支障もないので対戦が楽しみですね。
「地元に帰った際にも『ジュビロ戦は観に行くから頑張って』と友達や知り合いに言ってもらいました。絶対に負けたくないですね」

――このオフは結婚式に完全移籍と大きな“区切り”を付けました。その分、期待や責任も大きくなると思います。
「結婚式を挙げられたことは本当にホッとしました。旅行先のオーストラリアでは、しっかりと走り込んできます()。もちろん、完全移籍を決断したからには、期待や責任が大きくなることは重々承知していますし、その期待と責任に応えないといけないことも分かっています。今季は一日、一日に妥協せずにやり続けることが自分のテーマとしてあるので、それを続けることで結果は付いてくると信じています。そういう日々の積み重ねを大事にしてファン・サポーターのみなさんの思いに応えられるように頑張りたいです」

守備陣のリーダーとなる

――今季への思いを聞く前に、昨季を振り返ると、どのような印象ですか?
「結果だけを見れば上位陣に勝てた試合もありました。加入して2試合目と3試合目で横浜FCとベガルタ仙台に連勝できたことは最終的な順位に大きく影響したと思いますし、上位チームに勝てる力があると証明できたと思います。個人的にも加入後は全試合に出られて学べたこともたくさんあります。試合に出ることで成長できると実感できましたし、あらためてサッカーを楽しめました。
ただ、その一方でチームとしてみれば、ザスパクサツ群馬など順位の近い相手に勝てない試合があったことも事実です。今季はそういう大事な試合を落としてはいけないと思っています。そのためにはもっともっと練習から厳しくやらないといけないとは、昨季の時点で感じていたので、今季は開幕前から厳しくやっていきたいと思います」

――昨季から今季にかけての修正点はどこになると感じていますか?
「自分が守備陣のリーダーとしてやっていくくらいにならないといけないと感じています。周囲の選手を統率する意味でもコミュニケーションを取ることや声を出すことはすごく大事です。その二つは積極的に取り組んでいきたいです。あとは、武器としているキックの部分ですね。昨季は少し出せたと思いますけど、その特長はもっともっと出していかないといけないと感じています。キックでゲームメークをしたり流れを変えたりして貢献していきたいです。また、チーム全体で見れば残留できたとはいえ、昨季は失点が多かったのでクロス対応など、守備の緩さをなくすために練習から要求し合ってやっていきたいです」

――発信役を担っていってほしいです。
「もちろん、先頭に立ってやることも大事だと思いますし、反対にパイプ役としていろいろな選手とコミュニケーションを取ってやっていければいいなとも思っています。何よりもまずは自分が試合に出られるように努力して周りの選手と切磋琢磨しながら競争していくことが大事だと思っています。その上で試合に出続けたい。今季はすごく結果を求められると思いますので、結果にどん欲にこだわってやり、どんな試合でも勝点を積んでいきたいです」

――42試合でピッチに立ち続けたらそれがチームの成績に直結すると思います。
「そういう存在になって試合に出続けないといけないですし、そのためには周囲からの信頼を得ないといけないです。毎日、思い残すことがないように日々を過ごしていきたいと思います」

――昨季のパフォーマンスを観ていても、いま言葉を聞いていても、“熱さ”や“激しさ”が伝わってきます。本来、備わっていた“熱”が出るようになったのか、大宮に来てから引き出されたものなのか、本人の感覚としてはいかがですか?
「小さいときから負けず嫌いな性格はずっと変わらないですね。そのなかで昨季は悔しい気持ちを抱えたまま大宮にきて、その思いをピッチ上で晴らしたい一心でした。そういう背景もあり、感情が表に出た場面は多かったとは思います。そこは今季も継続して表現していきたいです」

期待に応えるために

――完全移籍のリリースが出た際のファン・サポーターの反応は届いていましたか?
「はい。メッセージをたくさんもらえたので目を通しました。『25番のユニフォームを買います』とか、『来季こそ、大宮のことを頼みます』とか、いろいろな形でメッセージをいただきました。今季こそはファン・サポーターの皆さんと一緒に幸せな時間を過ごせたらなと感じているので、多くの勝利を一緒に味わいたいですね」

――昨季半年のプレーで多くのファン・サポーターのハートをつかんだと思いますが、ファン・サポーターからの思いもしっかりと受け止めていたんですね。
「もちろんです。僕はいただいたメッセージには目を通しますけど、ここまでの反応をもらった経験はなかったのでびっくりしました。昨季の最終戦後にもSNSを通じて200件くらいのメッセージがきて、それがすごくうれしかったです。そういう方々の思いや気持ちに今季こそは結果で応えたいと思います」

――2023シーズンは、どんなプレーを見せてくれるでしょうか?
「特長でもある粘り強い守備は見てほしいです。失点しないためにゴール前では何としてでも体を張ります。それは自分のなかでのポリシーとしてもっています。また、ゴールで期待に応えたい思いもあるので、セットプレーからズドンと決めたいです。攻守で勝利に直結するプレーをしていきたいです」

――“オレンジ好き”を公言している袴田選手からすると、NACK5スタジアム大宮の雰囲気はどうですか?
「雰囲気が本当に好きです。最高です。昨季も言いましたけど、小さいときからアルディージャの応援が好きでした。だから、毎試合、気持ちが昂ります。NACK5スタジアム大宮であのオレンジのファン・サポーターが味方にいることはすごく心強いですし誇りです。今季こそはNACKでゴールを決めて勝ちたいですね」

――ファン・サポーターの方々にメッセージをお願いします。
「今季は1年間を通して一緒に戦えることが本当にうれしいです。昨季はなかなか結果が出ずに申し訳ない気持ちでいっぱいだったので、その悔しさを今季はスタートからぶつけてたくさんの勝利を届けたいと思います。ぜひ、スタジアムに足を運んでください」

――岡庭選手も言っていましたが、個人チャントほしいですね。
「作っていただきたいです! 特にこだわりはないですけど、かっこいいチャントがいいです。ぜひ、よろしくお願いします」

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