【聞きたい放題】阿部来誠「早くNACK5スタジアム大宮のピッチに立ちたい」

選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回は、天皇杯2回戦のジェフユナイテッド市原・千葉戦でプロデビューを果たした、ルーキーの阿部来誠 選手の素顔に迫りました。

聞き手=須賀 大輔

「早くNACK5スタジアム大宮のピッチに立ちたい」


プロの世界を肌で体感

――トップチームに昇格して半年が経ちました。
「プレースピードや強度など、多くの部分でU18との差を感じています。ただ、先輩たちとプレーしていると『みんな、サッカーが大好きなんだな』ともすごく感じます。一つひとつのプレーに本気だし、こだわっている。熱が伝わってきます。そういう高いレベルでやれていて、サッカーを楽しめていますね。また、これまではボランチでプレーしてきましたが、トップチームに上がってからはサイドハーフやSBなどもやるようになりました。全然ネガティブにはとらえていないですし、いろんなポジションでプレーできたほうが今後のためになると思っているので、いろいろな人のプレーを見てできることを増やしているところです」

――特に伸ばそうとしている部分はありますか?
「守備の強度はこだわってやっています。守備ができたうえで、攻撃で自分の持ち味を出せるようになりたいです。U18のときも守備を意識していなかったわけではないし、不得意なつもりもなかったですけど、プロの基準に比べると甘い部分はあると思います。プロの世界では守備ができないと難しいというか、局面で負けていたらそこでやられてしまう。だから、守備はこだわってやるようにしています」

ケガを乗り越え昇格をつかむ

――少し時間をさかのぼってアカデミー時代のお話も聞かせてください。まずは、トップチームへの昇格が決まったときのことは覚えていますか?
「高校3年生のときに大きなケガをしてしまい、上がれるか上がれないか不安な気持ちはあったので、昇格を告げられたときはうれしかったです。そこからは、やってやるぞという気持ちが大きく、ワクワクや楽しみな思いであふれていました」

――大事な“ラストシーズン”をケガで棒に振ってしまいました。どんな思いでしたか?
「ケガをしてもトップチームに上がりたいという思いに変わりはなかったです。諦めてもいませんでした。でも正直、『プレーできていないのでどうかな?』という気持ちもありました。治っても普通にプレーできるのかという不安やストレスもだいぶありました。そのときに『待っているよ』、『来誠なら大丈夫』とみんなが声を掛けてくれ、それが支えになりました」

――やはりリハビリは辛かったですか?
「けっこう大変でした。最初は膝が曲がらないし、歩けなかった。本当に復帰できるのかなと思った時期もありました。でも、ジョギングができるようになってきてから明るくなれたというか、先が見えるようになってきました」

――そもそも、アルディージャのジュニアに入るようになったきっかけは?
「父に自分の立ち位置を知ることができればいいと勧められてセレクションを受けました。そのときはJリーグを観ていなかったので、アルディージャというチームも知りませんでした(笑)。他のチームのセレクションも受けようとしたり合格していたチームもあったりしましたけど、アルディージャに来ました。小学4年生からお世話になっています。知らないまま入っちゃいました(笑)」

――ジュニア時代を振り返ると?
「元々は地元のクラブでやっていて、そこはドリブルが主体のチームでした。ただ、アルディージャはパスを回すチームで小学生ながら最初はまったくサッカーが変わってしまい難しい部分もありました。特長のドリブルを全然出せずにパスばかりになってしまい怖い選手ではなかったですね。正直、サッカーが楽しくないと思う時期もありました……。でも5年生になると自分を出せるようになり、気がついたら楽しくやれていました」

――思い出に残っている試合はありますか?
「ワールドチャレンジでバルセロナとやれたことですね。決勝で対戦して負けてしまったけど、みんなが憧れとするチームと対戦できて刺激を受けました。そのときは知らなかったですけど、いま思えばガビがいました(笑)。ガビが有名になったときに、『あのときに雰囲気が似ている選手がいたな』と思い調べたら、やっぱりガビでした」

――U15に上がると競争も激しくなってきたと思います。
「中学1年生のときはケガもあってあまり試合に出た記憶がないです。ただ、その中でもやれることはあって、自分の特長を出すこと、磨くことは意識していました。2年生になると3年生の先輩たちとプレーする選手も出てきましたが、自分はそこに絡めませんでした。それでも、ブレることなくサッカーに取り組んでいました。まだ本格的にプロを意識していたわけではないですけど、U15からU18に上がる自信はありましたし、ここで上がれなかったらプロにはなれないとは思っていました」

――U18の3年間はどんな時間でしたか?
「高校1年生のときから3年生との練習には参加していたけど、試合には出られずということが多く、自分たちの代に戻ってきたときに、上を経験しているから良いプレーをしてやろう、違いを出さないといけないというプレッシャーを勝手に感じてしまっていました。でも、いま考えればすごく良い経験をさせてもらったと思います」

背番号31の由来

――ケガもありNACK5スタジアム大宮のピッチでプレーした経験がないと聞き、びっくりしました。
「小学生のときに前座試合をやった記憶はありますが、それ以降はプレーできていないです。高校3年生のときにプレミアリーグで“コーチ”としてベンチには入りました(笑)。スタッフの人たちがいろいろと考えてくれて、プレーできる状態ではなかったけど、スタンドではなく近いところでサポートできるようにとベンチに入れてもらいました。だから、早くNACK5スタジアム大宮のピッチに立てるようにしたいです。あそこでボールを蹴ったら気持ちいいでしょうね」

――ポジションはずっとボランチですか?
「小学生のときからずっと真ん中でプレーしてきました。真ん中から崩したり相手を揺さぶったりと攻撃の起点になれたときは気持ちがたかぶりますね。ゴールやアシストもいいですけど、ボランチが中心となってボールを回すことが好きです。いまのサッカーはボランチがどれだけ違いを見せられるかだと思いますし、真ん中から攻撃ができればゴールに1番近いので相手は守りづらいはずです。そこは意識しています」

――理想の選手像は?
「苦しいときにボールを預けてもらい絶対に取られない選手です。パスを付けておけば何とかしてくれると思ってもらえる選手になりたいとずっと思っています。アカデミーのときに観た家長選手はすごく印象に残っています。まだまだなので、コツコツと積み上げ、そういう存在になっていきたいです」

――背番号31のこだわりが『お母さんの誕生日だから』と聞きました。
「そうです。3月1日なので。あと、ジュニア時代の背番号が31だったので初心に戻る意味も込めて選びました。母と父とも相談してこの番号に決めたので、もっともっと頑張らないといけないです」

――趣味や息抜きはありますか?
「甘いものが大好きです。何でも食べます。一番を聞かれても難しい……。いまはチョコが食べたいです(笑)。チョコだとアーモンドチョコが好きですね。あとは、シュークリームも好きです。でも、試合前は食べないようにしてオフに食べるなど自制しています。誘惑に負けないように自分をコントロールしながら食べています(笑)」

――コンビニに行くとついついスイーツを買っちゃうことも?
「買っちゃいますね(笑)。いまはないと思うんですけど、前にローソンにザクザクシュークリームというのがあって、それがめちゃくちゃ美味しかったです。しょっちゅう食べてました(笑)。コンビニに行くと、必ずスイーツコーナーはチェックします(笑)。アイスも好きですし、ケーキだとチーズケーキですね。シンプルなチーズケーキがいいです。あと、チョコレートケーキも好きです。体重とかコンデジションとか気にしなくて良かったら、いろいろと食べちゃうと思います」

――18歳の素顔が聞けて良かったです(笑)。そんな阿部選手にとって、アルディージャはどんなチームですか?
「大好きなチームです。ここまで育てて成長させてくれたので感謝しかないです。だからこそ、早くNACK5スタジアム大宮のピッチに立ちたいです。小学生のころから見ているスタジアムで憧れの場所です。結果を出して、ファン・サポーターの方と一緒に喜びたいです。スタジアム全体がわーっとなっている光景がすごく好きなので、あの瞬間をピッチの上で味わってみたいです」

――では、最後にNACK5スタジアム大宮でのプレーを楽しみに待つファン・サポーターの方々にメッセージをお願いします。
「いまは厳しい状況ですけど、ファン・サポーターの方の声はすごく力になります。天皇杯でピッチに立ったときにそれをすごく感じました。最後のキツい時間帯にファン・サポーターが頑張って声を出してくれて、後ろから背中を押してくれ、それだけで頑張れるというか力になりました。いまの状況を考えると、自分たちがもっとやらないといけないし、自分はまだ試合に絡めていないのでもっと試合に出れるよう、練習から遠慮せずにやっていきたいです。後半戦も熱い応援をお願いします」


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