【聞きたい放題】泉柊椰×藤井一志 関西出身対談

選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回は、大阪府出身の泉柊椰 選手と小中学生時代を兵庫県で暮らした藤井一志 選手の“関西出身対談”をお送りします。

聞き手=粕川 哲男


エセ関西人疑惑?

──今回は関西出身対談のつもりだったんですが、藤井選手は東京生まれだとか。
藤井
「そうですね。それで、幼稚園の年中から小1までチェコにいて、小2から中3まで兵庫です。両親は神奈川と千葉なんで、家とかやったら標準語やし、高校からはこっちに来たので……。ただ関西の人、柊椰くんとかとしゃべるとね、関西弁になるよね」

「エセが出ます(笑)」

藤井「めっちゃエセって言われるんですよ~」

「僕も敬語のときは割と標準語になりますけど、克くん(中野克哉)とかとしゃべると、めっちゃ関西弁が出てきます。ただ、一志の関西弁はダメ。違和感がすごい(笑)」

藤井「全然普通やけどね」

「いや、許せない」

藤井「許してもらえないんですよ(泣)。ただ住んでいた年数的には兵庫が一番長いし、思い入れも強いので、出身は兵庫ってことに」

「思い入れあるの?」

藤井「あるよ。地元は西宮って言ってる」

「あぁ、阪神(タイガース)も好きだしね」

──となると、関西と関東でギャップを感じることはないですか?
藤井「う~ん、ありますよ。通じない言葉とか意外とあるんだなって。セブンイレブンをセブイレって言うと、『どこ?』みたいな」

「うん。セブイレだね」

藤井「俺もセブイレって言うから、まだ関西人だ」

「いやいや、大丈夫大丈夫(笑)」

藤井「あれは?エレベーター。いや、エスカレーターか」

「いや、全然。知ってたんで、左側にすっと並べる。ちょっと関東に憧れてたし」

藤井「自分が先頭のとき迷うことない?」

「ううん。関東はこっち側ってイメージしてたから。関西と関東の違いは、出汁の味が違うとかですかね。おでんとか」

藤井「そんなんあるんだぁ」

年季の入った“いちご好き”

──ちなみに、好きな食べ物は?
「魚って言ってるんですけど広すぎますよね。これって絞ると何だろう」

藤井「俺は、いちごッス」

「なんかヤダ」

藤井「ギャップ萌え狙ってる(笑)」

「やめてもう。かわいいって言ってほしいんか。イヤやわ~」

藤井「でも、いちごは本当に小さいころから大好き。お母さんが妹にかかりっきりのときに、俺はいちご食ってたら静かになってたらしい」

「そんな好きなんだ。僕はなんやろ。あっ、フグです。てっさですね。あれが大好き。年末年始に両親と弟と一緒に食べるのが、すごい好き。それが一番かなぁ」

藤井「俺も年1で、いちご狩り行きますよ」

「練乳つける人?」

藤井「いや、そのまま。純度100%」

「イヤやわ~」

藤井「本当のいちご好きはつけないから」

「そうなんだ」

藤井「いや、知らないけど(笑)」

──大宮で初めて会ったそうですが、お互いの第一印象は?
「う~ん……」

藤井「俺が柊椰くんのお世話してましたよね」

「僕すごく人見知りで、人に何か聞くとかもできないんですよ。それでクラブハウスでめっちゃ迷子になって、教えてもらいました(笑)」

藤井「共通の友だちもいたので、俺から話しかけました」

「仲良くしてます。ただ、自分から話しかけるのは、やっぱ苦手ですね。しゃべりたい意欲はあるけど」

藤井「俺も得意じゃないけど、いけると思ったら自分からいきます」

「ボールがないとムリ。ボールを介してじゃないと。サッカー小僧なんで」

藤井「急にアピールしてる(笑)」

緊張する藤井選手にかけた一言

──お互いの好きなところを教えてもらえますか。
藤井「悩まないでしょ」

「ある? 逆に」

藤井「1個上ですけど、それを感じさせない」

「褒めてる?」

藤井「話しやすい。波長が合う……ね?」

「ねって!」

藤井「柊椰くんけっこうしゃべるし、ボケたりもするんで。ちゃんと突っ込んであげてます」

「ありがとう。僕は、なしで」

藤井「なし!」

「アハハハ……」

藤井「こういう感じで、ツンデレなんですよ」

「良いところは、素直なところじゃないですかね。会話とかも素直で素朴。先輩としてかわいいと思うんで……って恥ずかしいから、このくらいで」

──ここは直してほしいと感じるところは?
藤井「開幕2戦目の岐阜戦かな、俺がめっちゃ緊張してたら試合中に笑顔で寄ってきて、『テンパってるね』って」

「あれで落ちついたでしょ」

藤井「そうだけど……」

「いいところやん、それは」

藤井「確かに、あの一言には助けられました。試合後にはみんなに言われけど、試合中に言ってきたのは柊椰くんだけ」

「あれは、めっちゃ面白かった。明らかに違った。僕は去年がプロ1年目だったから、何となくわかるんですよ。傍から見たらこんな感じなんだって」

藤井「一生イジってくるんですよ。毎試合『今日はテンパってる?』って」

「しつこい?」

藤井「そう(笑)」

「一志の直してほしいところは、ない。僕、不満があると離れていくタイプなんですよ。だから、関わっているうちは不満がないと思って」

藤井「じゃ、最近柊椰くんしゃべってくんないってなったら……」

「察して(笑)」

TWICEの魅力を熱弁

──オフはどんな感じで過ごしていますか?
「家でゲームしてます」

藤井「俺は出かけることが多いですね」

──この前、藤井選手が「TWICEが大好きだ~」ってさけんでいる動画を見ました。
「けっこう好きだよね」

藤井「だいぶ好きッス。オタクって言われても不思議じゃないくらい」

「ライブとか行ったの?」

藤井「日本でやるライブは毎回」

「誰が好きなの?」

藤井「ミナ。出身が西宮」

「めっちゃ調べてんじゃん」

藤井「基本、全部網羅してるから」

「好きね~」

藤井「ファンクラブが二つあって両方入ってる。入らないとチケットとか取りづらいんで。ライブではグッズも買うし」

──それじゃ、自分が大好きなゲームとTWICEの魅力について、お互いにプレゼンしてもらっていいですか?
「何がいいの?」

藤井「まず、かわいい!」

「全体的に?」

藤井「そう。ビジュは最強」

「じゃ、箱推しってやつ?」

藤井「そうッス。もう世界のトップじゃないですか、だけど謙虚らしく……。いや、俺が知ってるところでは、ですよ(笑)」

「踊れたりすんの?」

藤井「それができないんですよ。リズム音痴なんで。ライブでさけぶくらい」

「行ったことないからなぁ」

藤井「ライブ自体?」

「ない」

藤井「ライブいいよ。我を忘れる。だから、ライブ終わったあとシュンとなっちゃう」

「えっ、寂しくて?」

藤井「そう!ライブ前はめっちゃ盛り上がるけど、終わったら無口。虚無感ってやつ」

「そんなにいいんだ。興味が湧いたんで僕も行きます。チケット取ってもらって」

藤井「人任せ(笑)」

サッカーゲームのエースは自分

「僕は、完全インドアです。オフがあると、前の日に食事とか全部買い物を終わらせて、次の日は家どころか、ソファーから動かない」

藤井「俺、絶対ムリだわ。ゲームは何がいいの?」

「いまはFC24とeFootball。eFootballのほうが強くて、プロゲーマーと戦えるくらい」

藤井「すごっ」

「実際の選手を使ってチームを作れるゲームもあるんで」

──泉選手が使っているチームのエースは?
「僕です。周りにはネイマールとかビッグネームがいます。僕は去年のデータで、左に置いておいて、点を取って遊んでます」

藤井「自分いるんだ」

「だからけっこう面白い。スキルつけたりできるんで。去年、神戸にいたとき鳥栖戦で点を取ったんだけど、1週間後にコントロールカーブってスキルがついた(笑)」

藤井「更新されるんだ!」

「でも、鳥栖戦の1カ月後くらいにはスキルが外されてた(笑)」

藤井「自分を操れるのは面白そう」

「J2に復帰できれば来年できるから、ぜひ、PS5を買って自分を使って」

藤井「面白そうッスね」

「ファンダイクをぶち抜いて点とか決めたら、めっちゃ気持ちよくない?」

藤井「興味沸いたッスね」

「でしょ。いつか配信しようと思ってます(笑)」

日々成長を実感

──リーグ戦は二人とも全試合に出場していますが、ここまでのチームの出来、個人の出来をどう捉えていますか?
「面白いサッカーはできてるのかな、と僕は思っています。もちろん課題はありますし、もっともっと良くなれるとも思いますが、この方向を続けて行ければ、もっと上で戦えるチームになれるという印象です」

藤井「自分たちがどういうサッカーをしたいかは、ちょっとずつ見せられるようになってきたかなって思います。練度はまだまだだし、課題も分かっているので、そこを上げていければ、もっと面白いチームになれると思います」

「やってて面白いし、観てても面白いと思うんです。90分を通した戦い方は課題ですが、そこは改善できる。それよりも、やりたいことをちゃんとやろうとしているって気持ちが大事だと思うので、どんどん良くなる期待感はあります」

藤井「チームとして、やりたいことを明確に表現できる試合とか時間帯が多くなってきています。だから、自分もプレーしていて楽しいです」

「神戸で経験しましたが、優勝するチームはシーズンを通して成長していくというか、やりたいこと、やらなきゃいけないことを同時にやって、相手が対策してきたらプランB、プランCと、やれることがどんどん増えていく感じがあるんです」

藤井「うんうん」

「結局、いろんな戦い方ができるチームが強いですよね。常に先手は取れているので、対策してきた相手を上回ることができれば、自ずと勝利がついてくると感じています」

──練習を見ていても、選手たちの充実感が伝わってきます。
「それはありますね」

藤井「自分はルーキーなんで毎日必死ですけど、試合で出た課題を明確に意識して日々の練習に取り組めているので、すごく充実しています。練習中の求め合いも、ただ言うだけじゃなく相手を理解しながら強度を出せてるので、良くなりつつあると感じます」

「いい練習ができている手応えは、かなりあります。練習でやったことが試合に出ると思うので、やっぱり練習の質を上げることが一番。練習は相手関係ないので、どこまでも突き詰めることができる。だから、もっとできると思います」

応援に勝利で応えたい

──ホーム、アウェイ関係なく、たくさんのファン・サポーターが支えてくれています。
藤井「自分は開幕戦のバス待ち。これが大宮サポーターなんだと思って、鳥肌えぐかった。そのまま気持ちもたかぶって試合に入れました」

「あれ? 緊張して良くなかったのは…」

藤井「これですよ、さっき言ったの(笑)」

「そうかそうか(笑)。申し訳ない」

藤井「完全にカラ回った(笑)」

「毎回熱量がすごい。サポーターの方も引分けでは満足してなくて、同じ方向を向いて一緒に優勝を目指せていると感じるので、勝利で応えたいと思っています」

──大宮での1年目を、どんなシーズンにしたいですか?
藤井「チームとしてはJ3優勝、J2昇格は変わらず。そこが最低ラインだと思っています。個人としては、チームが苦しいときに勝たせられる選手になりたい。もちろん目に見える結果も大事ですけど、それ以外の部分も(長澤)徹さんは評価してくれるので、そういうところを突き詰めて、やれるところまで走って、戦って。そこを1年通してやり切る姿を、ファン・サポーターの方々にお見せできればと思っています」

「開幕戦以降ちょっと物足りなさを感じていますが、壁があるからこそ成長できるとも思っています。対策されてしかけるのを止めるドリブラーはドリブラーじゃないですし。僕は突破することが一番求められていると思うので、相手を破って、得点とかアシストにつなげていきたい。チームとして最低限やらなければいけないことをやって、そのうえで自分の武器を出していければ、結果もついてくると思います」




粕川哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。

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