今野浩喜の「タダのファン目線記」小石田農園 後編

今野さんが「ただのファン目線」で行きたい場所に行ったり、会いたい人に会う本連載。前回に引き続き、大宮アルディージャサポーターでありモノマネ芸人の小石田純一さんの農園から後編をお届けします。


孫悟空のような気持ち

今野「ところでこのコーナー、前回も小石田さんと話しましたよね。2回連続で同じゲストは初めてですよ。じゃあ、次回もお願いしようかな。そのうち俺のほうがフェードアウトするかもしれない……」

スタッフ「小石田さんが来られた後に、アウェイゲーム観戦の回を挟んでます」

今野「あっ、そうか。ゲストは小石田さんが2回連続だけど、その間にアウェイゲームを挟んだか。あの試合、小石田さんも観に行っていたんですよね?(ハマカーンの)浜谷君にも会ったな」

小石田「(J3第10節)YS横浜戦ですよね?行ってましたよ。どこで観ていたんですか?」

今野「ゴール裏の端っこの一番前で観ました。普段、ゴール裏で観ることも一番前で観ることもないし、あの日は空いていたから」

小石田「ゴール裏、どうでした?」

今野「ピッチに近づけば近づくほど、サッカー全体は見にくいですね。まあ、全体の見やすさを求めると、テレビのほうが分かりやすいっていう話になっちゃいますけど」

小石田「でも、近いほうが迫力はあるじゃないですか」

今野「そうなんだよなあ。小石田さん、アルディージャの試合は全部見てます?」

小石田「DAZNを含めてで言えば、全試合見ていますよ」

今野「僕は、なぜか仕事と重なって見れない日が多いんですけど、今季は、相変わらず強いですよね。僕が観に行ったYS横浜戦からアルトゥール・シルバが活躍したんじゃなかったかな?」

小石田「確かに、あのころからでしたね」

今野「あの試合で、良いボランチの選手なんだって認識したんですよ。どういう選手か知らなくて、勝手に前めの選手だと思っていたから、ボランチで使ったのは奇策だと思ってましたよ、最初」

小石田「点を取れる選手という触れ込みだった気はしますね。でも、ボランチが本来のポジションですよね」

今野「そうなんでしょうね、今の活躍を見ると。ほかの選手も含めて中盤がすごいし、今季のチームは強い。試合を見ていて大丈夫かなと思うような内容でも、なんか点を取って勝っている。内容が良い感じはいつもしないけど」

小石田「いやいや、何試合かは良い内容もありますよ」

今野「今まではなんか負けてたのにね。でも、これでいいんですよね。内容がどうとかじゃない」

小石田「うん、本当に。今季は強いですね。でもなんか物足りないですね。『今日も勝つんだろうなぁ』と思って見ているので、ハラハラ、ドキドキ感がないというか」

今野「ドラゴンボールの孫悟空のような気持ちというか」

小石田「『オラ、もっと強い奴とやりてえ』って(笑)?今日の天皇杯2回戦は、J1の京都が相手なので、どうなるのかなとワクワクしますね(※取材日は京都戦当日の6月12日)」

今野「なるほどね。週末にはリーグ戦があるし、お互いに主力は出ないのかもしれないけど、今季はもうJ3で1位は行けそうだから、天皇杯に全力を注ぐのも良いかもしれない。リーグ戦では、ここから信じられないくらい油断していくというのは、どうですか?」

小石田「マズイですよ(笑)!そんなことをしたら、足もとをすくわれちゃいますよ」

今野「去年負けが続いたからここ(J3)にいるんだということを、勝ち過ぎて忘れていそうだから、思い出すためにも」

小石田「確かに、忘れているかもしれないけど……」

鬼気迫る杉本。市原への期待

今野「それにしても杉本健勇は監督が全然、休ませないし、本人も手を抜かない。相手DFへのプレスなんて、勝っている試合でも『あれ、負けてる試合だったかな』と思うくらいに激しいですよね」

小石田「そうですよねえ」

今野「鬼気迫る圧力。足からボールを奪いに行っているというより、あの長身でのぞき込んで、顔から圧力をかけて行っている感じ」

小石田「ヤバイですよね。確かに、ボールを奪うというより、相手に圧をかけに行っている感じ、ありますね。相手をピッチ外に押し出そうとしているのかなって思うくらい。ネームバリューのある選手にあんなプレーされたら、相手は怖くてしょうがないですよね」

今野「なんでこのチームにいるんだろう。調子に乗ってダメになった選手なのかと勝手に思い込んでいたけど、めちゃくちゃがんばる。でも、来年はいないんだろうな、もう……」

小石田「これだけ活躍すると、ほかのチームも放っておかないでしょう」

今野「あと、市原もいいですよね。ケガでU-19日本代表に行けなかったのは残念だけど、そういう場に行く選手ですよ。どんどん芽が出て花が咲いているイメージ」

小石田「身長もいまだに伸びているんじゃないですか?大きくなっている気もします」

今野「右SBとかもやっているし、日本代表の冨安(健洋)みたいになっていきそうですね。川崎Fにいる高井(幸大)と、いつか日本代表のCBを組むんだろうな。日本代表のトレーニングパートナーとかって、その後の日本代表になっている選手も多いし。そういう未来が大宮のファンからは見えてますよね」

小石田「それしか見えないですね。ほかのチームのファンの人からは、見えてないですかね?」

今野「どうなんだろう。市原は日本のサッカー界でどれくらい有名なんだろう。すごく人気が出そうだけどな。見た目も良いですよね。本人はそんなところ見てほしいわけじゃないだろうけど」

小石田「さわやかですよね。CBだけど、ゴリゴリしていなくて、スマート」

今野「確かに。でも、熱い感じもする。この間の試合も1対1を止めてガッツポーズしてましたよね。そういう一面もあるし」

小石田「来年はやっぱりいないのかな……。市原をもっと上のカテゴリーで見たいですよね」

今野「そうなんですよ。大宮が昇格しても来年まだJ2じゃないですか。それだと、彼のキャリアに響いてしまわないかと心配しちゃう。悲しい話だけど」

小石田「引き留めるためには、天皇杯を優勝してACLに出るくらいしないと……。でも、そうすれば、杉本だって引き留められるかもしれない」

今野「そうか、ACLに行けば引き留める理由になるか。やっぱりリーグ戦は捨てて、天皇杯に全力をかけるしかないな。京都戦、杉本も市原も出そう」

小石田「市原が出てたらマズイですよ(笑)!ケガで代表を辞退しているんだから」

今野「でも、ネイマールなんてサウジアラビアのリーグ戦は休んでても、ブラジル代表の試合には出るっていう話だよ?実際、これだけJ3で首位を走れるんだったら、少しメンバーを代えても上位で戦えるとは思うんだよな。だって、最近の試合に出ていない選手でも泉澤とかいるんですよ?すごい選手層」

小石田「だから油断しちゃダメですって!(笑)。今日の試合で京都に負けてたら、これを読む人は何の話だよという感じになりそうだし……」

勝っているからこそ

小石田「そういえば、ルヴァンカップでも違うカテゴリーと戦えたけど、負けた名古屋戦はJ1との違いを感じましたよ。両チームともリーグ戦とは選手を代えていましたけど」

今野「全然、違う?」

小石田「スタジアムで観ましたけど、プレッシャーとかそれに対する判断とか、スピードが違うと思いました。最近、J3で勝っているところを見て、自分も上のカテゴリーのチームともっと戦えるはずだって調子に乗ってしまっていたと気づきましたもん」

今野「J1だと厳しいか。今のメンバーでJ2なら戦えるんじゃないの?」

小石田「そういうのが気になりますよね。昨年より戦えるんじゃないかと思うんですよ」

今野「ルヴァンは名古屋だし、天皇杯は京都。なんで、いきなりJ1と当たっちゃうのかな。順番に、まずはJ2のチームと戦いたかったですね」

小石田「そうですねぇ」

今野「今までの大宮は、監督が代わって序盤は良いけどすぐに調子が悪くなるイメージ。でも、今季はまだずっと良いから、最後まで勢いが持ちそうだなという気がする。でも、どういうサッカーをしているかと聞かれたらまだよく分からないところも」

小石田「攻められている試合もありますしね」

今野「でも、なぜか点を取って勝つ。選手の質で勝っている気がするな。今話しながら気付いたけど、今季は例年より試合を見てますね。やっぱり勝てているから(笑)」

小石田「去年とか毎週末どよーんとしてましたもんね」

今野「去年は途中まで勝っていても負けているような気しかしなかった……」

小石田「リードが1点しかなかったら不安でしたね。今は1点リードなら勝てそう」

今野「今の状況なら、別に引分けでも余裕があるから感じ方が違う。残留争いだと『負けられない!』という感じが強過ぎましたよね」

小石田「やっぱり、勝っているからいいんですよね」

今野「ですねぇ。小石田さん、言い残したことあります? 暑くなってきましたしなければ終わりましょうか。ありがとうございました」

小石田「ありがとうございました」

構成:平野 貴也

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