Jリーグ ディビジョン1 第23節
2014.9.13 [SAT] 18:00 熊谷陸

大宮

  • 34' ムルジャ
  • 74' 高橋 祥平
2 - 1
1 前半 0
1 後半 1

鹿島

  • 69' 昌子 源
試合経過
メンバー

スターティングメンバー

GK 1 北野 貴之
DF 27 今井 智基
DF 18 横山 知伸
DF 17 高橋 祥平
DF 14 中村 北斗
65'
MF 23 金澤 慎
MF 5 カルリーニョス
MF 41 家長 昭博
MF 39 泉澤 仁
89'
FW 8 ムルジャ
84'
FW 11 ズラタン

控えメンバー

GK 31 清水 慶記
DF 3 福田 俊介
MF 22 和田 拓也
65'
MF 38 増田 誓志
84'
MF 10 渡邉 大剛
MF 4 橋本 晃司
FW 28 富山 貴光
89'

監督

スターティングメンバー

GK 21 曽ヶ端 準
DF 22 西 大伍
DF 4 山村 和也
DF 15 昌子 源
DF 16 山本 脩斗
MF 20 柴崎 岳
MF 40 小笠原 満男
MF 33 カイオ
MF 7 ジョルジ ワグネル
54'
MF 28 土居 聖真
56'
FW 11 ダヴィ
74'

控えメンバー

GK 1 佐藤 昭大
DF 6 中田 浩二
DF 24 伊東 幸敏
MF 27 梅鉢 貴秀
MF 13 中村 充孝
54'
MF 25 遠藤 康
56'
FW 18 赤﨑 秀平
74'

監督

試合詳細
7 シュート 18
13 GK 4
5 CK 8
13 直接FK 12
4 間接FK 3
0 PK 0
試合データ

主審

村上 伸次

副審

前之園 晴廣

副審

塚越 由貴

第4の審判員

塚田 健多太

入場者数

14,182人

天候

晴のち曇、強風

ピッチ状態

全面良芝、乾燥

気温/湿度

20.8℃/82%
熊谷で鹿島を撃破。11試合ぶりの勝利で渋谷新体制でのリスタートを飾る
J1リーグ戦は今日の鹿島戦を含め残り12試合。戦いの終幕が近づいている。第12節のF東京戦を最後にリーグ戦で10試合勝利から遠ざかっているアルディージャは、試合前の時点で3勝7分12敗の17位。今シーズンの目標だった勝点53以上に届かなくなったため、今後はまずは降格圏脱出を目指して戦うことになる。
 
新たにチームを指揮する渋谷 洋樹監督は、3日前の天皇杯4回戦で逆転勝利を収めた。「今後のリーグ戦につなげるために必ず勝利を手に入れる」という監督の思いを体現して8強進出を果たした選手たちは、小さくない自信を取り戻しているはずだ。難敵の鹿島を熊谷で下すことができれば、さらに勢いに乗って終盤戦に突入できる。大事なリスタートの一戦は、すっかり日の落ちた18時5分にキックオフを迎えた。

天皇杯4回戦と変わらず4-4-2で臨んだアルディージャは、同じく4-4-2で戦う鹿島と完全にマッチアップする格好となった。やや劣勢を強いられた序盤は、右サイドの今井がジョルジ ワグネルと、左サイドの中村がカイオと対峙。横山、高橋のCBコンビはダヴィ、土居と身体をぶつけ合った。それでも何度かサイドを破られて決定的ピンチを迎えたが、北野のファインセーブと高橋のヘディングにより失点は免れた。
 
ムルジャが単独突破を試みた立ち上がりの場面以外、なかなかチャンスを作れなかったアルディージャだが、連続した左サイドからの仕掛けで自分たちのリズムを作る。まずはオーバーラップした中村が積極的な突破でCKを奪い、続けて泉澤がジョルジ ワグネルを2度置き去りにしてクロス。ゴール前との呼吸が合わずフィニッシュには至らなかったが、鹿島に傾いていた主導権を奪うには十分なチャレンジだった。
 
そして34分、リーグ戦で実に9試合ぶりとなる先制点が生まれる。起点となったのは左サイドの泉澤だ。「縦を警戒されていると感じたし、ペナルティエリア近くだったのでシュートを打とうと思った」というドリブルから思い切りよく右足を振り抜く。ボールはコースに入った相手に防がれたが、こぼれ球に反応したムルジャの左足が豪快にネットを揺らした。待ちに待った先制点。アルディージャのファン・サポーターが沸騰した。
 
その後、アルディージャは反撃を仕掛けてきた鹿島の攻撃を凌ぎ、1点のリードを守り前半を折り返した。

後半早々に、鹿島はジョルジ ワグネルを下げて中村、土居を下げて遠藤を投入。早めの選手交代で流れを掴もうとしてきた。だが、アルディージャの高い集中力がそれを許さない。55分には泉澤がゴールの右にわずかに外れるシュートを放ち、61分にはカウンターからムルジャとズラタンがゴールに迫って追加点への期待を膨らませた。
 69分、小笠原のCKから昌子に同点ゴールを決められても、下を向く選手はいなかった。北野や金澤が後方から味方を鼓舞し、今井と横山は身体を張った守りで追加点をブロック。家長、泉澤は少ないチャンスを前線のズラタンとムルジャにつなぎ、ゴールへ向かう姿勢を貫きとおした。
 
歓喜の2点目が生まれたのは、同点ゴールを奪われた5分後だった。その直前にも鋭い一撃で鹿島ゴールを脅かしていたカルリーニョスの直接FKがこぼれたところを、高橋が魂を感じさせる左足シュートで締めくくった。
 
終盤は耐える展開となった。素早いパス回しとサイドからの崩しを見せる鹿島の前に、アルディージャのゴール前での攻防が多くなる。セカンドボールを拾われて、波状攻撃に晒される。しかし、アルディージャの選手たちは最後まで集中力を切らさず、一丸となりゴールを死守した。刻々と時計の針が進み、示されたアディショナルタイムは5分……。その瞬間、スタジアムを埋めた“今季最高”、さらには“熊谷陸史上最高”の1万4千人を超すファン・サポーターと選手たちが1つにまとまり、「絶対に守り切る」という熱気を発していたように感じた。
 
そして、タイムアップのホイッスル。最高の笑顔を見せつつ健闘を称え合って抱き合う選手たちの表情が、この1勝の価値、勝点3の重みを表していた。

試合後、天皇杯4回戦に続く連勝を飾り、リーグ戦で11試合ぶりとなる勝利を収めた渋谷監督は、「『最後の粘り強さ、忍耐力がないとやられる』と選手たちに言っていました。前半に身体を張って守れたことが勝利につながったと思います」と勝因を分析しながらも、「まだ何も掴んではいない。次に生かさないと意味はないので、いい準備をして次節に臨みたい」と口にした。とはいえ、チームとしての一体感と気持ちの強さを感じさせての今日の勝利は、どんなチームが相手でも通用するだろう。
 
殊勲者の高橋は「たかが1勝なのでまだまだですけど、今日は選手たちが一体になり、みんなで守り、みんなで攻めることができた。チーム全体が成長していると感じた」と、確かな手応えを感じていた。

(総評:粕川哲男/写真:山田勉)

続きを読む

監督コメント
監督 渋谷 洋樹
まず、今日は熊谷のホーム開催ということで今季ホーム最多、そして熊谷スポーツ文化公園では過去最多の1万4000人を超える方が来てくださいました。今、17位ということで、順位としては低迷しているにもかかわらず、これだけの多くのファン・サポーターの皆さんに来てもらえることに非常に感謝しています。選手にも(試合終了後に)それを伝えました。また、鹿島アントラーズの応援団の方もこれだけ集まって雰囲気を盛り上げてくれた。そのおかげでいいゲームになったのではないかと私は感じています。ゲームに関しては、鹿島は前半から圧力をかけてくるのは分かっていました。なので、それをどれだけ耐えられるか。我々の守備のオーガナイズを崩さずにいかにカウンターに行けるか。というところで、個の能力、特にダヴィについては(元甲府の選手なので)非常によく知っている選手ですが、彼に対して、序盤は対応が遅れる場面もありましたが、最後のところで体を張って選手たちは粘り強く守ってくれたと思っています。ただ、ボールを持った時に、本当にトレーニング不足が露呈されてしまったのは私の責任ですが、ボールを持った時に、タイミングを取ったり、ボールを受けるポジションを取ったりというのがちょっと伝わらずにゲームが進んでしまったのではないかと思います。ただ、後半セットプレーで取られましたが、守備のオーガナイズという点ではあまり崩れている感じはなかったと思います。1対1の対応で切り返されたり、個人のところでは持って行かれているなという感じはしましたが、ボールの軌道はピッチの横から見ていて悪い感じではなかったので、そのまま対応していればチャンスはある、セットプレーのセカンドボールではチャンスがある、キーパーにキャッチされなければと思っていたので、こういう形で結果としてピンチは凄くあったと思いますが、勝つためには体を張るところやタフな戦い方を選手に伝えていますが、そこができたことが勝利に結びつけられた理由なのかというのが私の印象です。この勝利は、今週の天皇杯のメンバーと今日のメンバー含めほぼ(全員が)出ています。ですので、選手全員の力で勝ち取ったものだと思います。また、クラブは今日の試合に向けてビデオを作ってくれて、選手に対してモチベーションを上げてくれました。今日の勝利はクラブ全体の一勝だと思います。ただ、これは、先日の天皇杯の1勝もそうですがリスタートしたにすぎません。あと11試合あります。まだ我々は何も掴んでいません。ですので、今日の勝ちを次に生かさなくては何もないと思います。いい準備をして次のゲームに臨みたいというのが私の希望です。

Q:「ボールの軌道が良かった」とは、前線から相手の攻撃を制限できていたという意味でしょうか?具体的に聞かせてください。
ストライカーからサイドに持っていくと、(相手の)サイドバックに高い位置をとられたときに、左サイドの泉澤と中村のところでは、ちょっとローテーションがうまくいかない、本来ならそこまで動かなくても良いとは思うのですが、相手のことが怖いという心理で、人について行ったりしてしまい、それは良くないことですが、前半に右サイドで、今井のところでダヴィが横に張られて縦に行かれたことがありましたが、段々それができなくなって、斜めにボールが入ってきてそれをボランチがカットしていたので、それはできていると。後半も思ったより鹿島からそこまでそのようなボールが出てこなかった。大体カルリーニョスと慎(金澤選手)がカットしたり、プレスバックしてボールを奪ったり、そこで軌道がしっかりしていた。家長選手も中や斜めにボールが入った時にも、外からカットしたりと、そういうところでのボールの軌道がはっきりしていたので、ああいった形でインターセプトができたのではないかなと私は見ていました。もちろん最後の局面で守っている場面もありましたけど、そういったところで軌道がしっかりしているなと私はピッチの横で見ていました。

Q:終盤に守備で押し込まれる場面がありましたが、あれは監督から見ると修正したい点なのでしょうか。
いえ、相手がリスクを背負ってくる時には、ゾーン(ディフェンス)というのは非常に難しいと思います。それは選手にも伝えていますが、ピンチだと思っているときは「人」につく、オーガナイズが崩れているときは「人」を意識するというのは絶対なので。ただし、ボールが無いときには4-4-2をつくるという、ボールがしっかりと保持されているときに4-4-2をつくる、相手に惑わされない。深い位置になった時は人がフリーになるので、大外は特にですが、そこはサイドハーフが危険を感じて(対応する)ということですね。そこは個人の戦術とか、コミュニケーションということで、マンツーマンになっていたと思います。だから(ボールを)取った後はカウンターになりました。

Q:天皇杯から先発を7人変えましたが、今日の試合に向けての意図というのはどういうところでしょうか。
(水曜日に天皇杯の試合のなかった)鹿島さんもパワーを溜めているということで我々もパワーを溜めた選手を使う。ある程度攻撃的にできる選手を配置しました。それで今日はこのメンバーになりました。

Q:今日は最後まで気持ちの部分や、一つになって戦うというところを非常に感じたのですが、そこは選手たちにはどのようなことを伝えたのでしょうか。
その通りその点について話をしました。最後のところの粘り強さ、忍耐力ですよね。前半から忍耐強くやっていなければ、恐らくやられていたと思います。ピンチはたくさんありました。ですが、耐えることができれば必ず自分たちのところにボールが来る。そう私は思っていますので、やはりあそこで体を張れたことが勝利に結びついてきたと私は感じています。前半の戦いが勝利に結びついたのかなと。

Q:ボランチは人選を悩まれたと思いますが、カルリーニョス選手と金澤選手のコンビにした狙いを教えてください。
和田選手もそうですし、金澤慎選手も一緒ですが、彼らは守備のところですごく頭を使うことができる選手なので、和田選手と金澤選手を二人並べても守備のところはいいと思いますが、相手が2バックでやっていることもあって、ボールも出せなければいけない、攻撃もできなければいけないとなった時に、カルリーニョスを入れようと決断しました。

Q:今日のカルリーニョス選手は、3日前の天皇杯の時と比べて守備のポジショニングに関して渋谷監督が求めることをこなしていたと思うのですが、どういう指導をしたのでしょうか。
いえ、この2日間では特に指導はしていません。たぶん、コンビネーション、(チーム)全体のプレッシャーのかけ方がしっかりしていたので、彼自身だけではなく、周りとの連係が良かったのだと思います。
選手コメント
FW 8 ムルジャ
長いこと待ちましたが、いつ勝っても遅過ぎるということは無いと思います。まず今日は勝てて本当によかったです。どの試合においても勝つチャンスがあるなら絶対にものにしていかないとこの後が詰まっていますので、勝てるチャンスをしっかり利用しきって勝つことができたのは本当によかったと思います。特にこの後、試合数が沢山ある訳では無いので、あるチャンスはしっかり利用していきたいと思います。今日はチーム全体の闘争心でもって勝利した結果だと思います。勝ち方として、チーム全体の闘争心を持って勝利したことは、勝利の意味をより重いものにするのではないかと思います。

Q:これまで得点をなかなか勝利に結びつけることが出来ませんでしたが。
今日は100%ハッピーです。今までは得点すれど勝てなかったので、今日は勝利に繋がるゴールになったので、とてもハッピーです。

Q:ダービー後、監督交代など色々とありましたが、どういった気持ちで今日の試合に臨みましたか。
さっきも言いましたが、残り試合数が少ないので、残りの試合全てにおいて今日の様な闘争心を持った試合の入り方をしなければいけないと思いました。今日この試合を勝ったキーポイントとしては、先取点を奪えたことだと思います。得点はすれど勝てなかった試合が続きましたが、私もコメントの中で、リードされた状態で試合を行う、追う展開の試合は難しい、逆に自分たちがリードしているときというのは、やり易いですし、更に攻撃力を増していくこともできますので、そういったことを今日の試合では体現出来て、先制点から勝利出来た素晴らしい試合になったと思います。ここまで自分が来てからの試合全て先制をされて追いかける難しい展開ばかりでしたので試合の運びとしてとても難しいものがありました。逆に今日は自分たちが先制できたことで、どれだけやり易いのか、プレーの内容が良くなるのか、どれだけ闘争心を持って臨めるのかというところが、証明できたと思います。いつもよりも多くの選手たちがスライディングをするであるとか、より激しいプレー、闘争心のあるプレーができたのではないでしょうか。そういった内容としてはこの勝利の意味合いを重くするもだと思います。

Q:本日の試合で意識されたのはどのようなことでしょうか。
先ほど言ったことを、今日の試合もどの試合でも漏れなく意識していることなので、実践しました。いいプレーをするため、得点するための集中力を高めること、落ち着いてやることが最も重要なキーポイントだと思っていますので、今日もそこを考えながら集中して試合に臨みました。

Q:(集中して試合に臨むために)試合前に“秘密”のことをやっているようですが。
自分自身の集中を高めること、落ち着きを高めるためにやっていることですので、秘密とは言いましたけど、隠すようなことではないですし、いつもやっていることですので、選手毎に自分たちのやり方を持っていると思います。他の人からしたら細かなつまらないことかもしれないですが、それぞれ選手一人ひとりが自分のやり方を持っていると思います。自分がやっていることと言うのは、あくまでグラウンド上で最大限を尽くせるための準備ですので、この試合は当然ですが自分ひとりで勝ち取った試合ではありません。選手全員で勝ち取った試合です。一人ひとりが集中し、最大限の努力をした結果だと思います。この後の試合も全員が同じことを続けていけば、J1に残留するということは決して難しい仕事ではないと思います。
DF 17 高橋 祥平
本当に嬉しかったです。勝てなかったことが多くて、本当に苦しかったので、今日は本当に嬉しかったです。

Q:前節・浦和戦での敗戦後、監督交代もありましたが、今日の試合に臨むにあたってどのようなことを心がけましたか。
もう内容どうこうより、結果を求めてひとつでも順位を上げていきたいと思って、死にもの狂いでやっていました。

Q:今日のチームの2得点は内容というよりも結果を求めたゴールのように印象を受けましたが、いかがでしょうか。
チームとして、まだ内容とか結果がどうこうという話は聞いてないですが、自分なりに考えていたのは内容よりも結果が大事で、チームを降格させるわけにはいかないので、結果が出て良かったです。

Q:ご自身のゴールを振り返ってみていかがですか。
あまり覚えてないのですが、シュートを打ってパッと見たらゴールに入ってました。

Q:今日はスタジアムも一体になっていたイメージでしたが、ピッチでどのように感じていましたか。
今日はすごくたくさんのサポーターが来てくれているなと思いましたし、すごく良い雰囲気を作ってくれていたと思います。

Q:勝利の瞬間はどんなことを考えていましたか。
『やったぞ、持ってるな』と思いました。今日は子供もできたばかりですし、両親からも連絡が来て、たまたま今日が母親の誕生日で、母親から『私の誕生日だから点取ってね』と言われていたので、結果が出て良かったです。

Q:まだまだ厳しい戦いが続きますが、次節に向けて意気込みをお願いします。
この1勝は大事だと思いますが、まだまだ11試合ありますし、結果的にはまだ降格圏なので、(降格圏を)まずは脱出してからひとつでも、ふたつでも上の順位に上がっていけるよう努力していきたいと思います。
フォトギャラリー

カテゴリー


X

パートナーバナー